地場ゼネコン3つの特徴と魅力!ゼネコンとの違いを説明

この記事は約6分で読み終わります。

地場ゼネコンは「地場コン」ともいわれ、特定の地域に根差した活動をしており、全国展開しているゼネコンとは異なる特徴を持ちます。 建設業界への就職や転職に興味がある人なら、地場ゼネコンはどのような会社を指すのか、特徴や働く魅力などが気になるのではないでしょうか。 今回は地場ゼネコンとゼネコンの違いを、建設業界への就職・転職を考えている人に向けて紹介します。

地場ゼネコンとゼネコンの違い

ゼネコンとは、ゼネラルコンストラクター(General Constructor)の略称で、「総合建設業」「総合建設業者」「総合請負業者」などを指します。

以下では、地場ゼネコンとゼネコンの違いについて説明します。

地場ゼネコンは地域を限定して活動する

地場ゼネコンは、特定のエリアで営業活動を行うゼネコンのことを指します。

地場ゼネコンは営業エリアを限定しているため、ゼネコンと比較すると活動範囲や携わる業務が小規模になります。特定の地域における工事を請け負う元請業者として、建築から土木まで建設に関わる施工管理を一貫して担います。

地場ゼネコンが請け負う主な工事は、建設工事と土木工事のふたつです。

建設工事は民間関連の業務が多い

建設業界における投資額の比率は、90%が民間関連の事業になっています。請け負う工事は以下のような業務を行います。

・戸建住宅

・アパート

・小規模マンション

・オフィスビル

・店舗

規模は小規模ながら地元のコネクションによって依頼を受ける業務もあり、全国展開するゼネコンには請け負えないような業務も行います。

参照:「建設産業の現状」(国土交通省)

土木工事は公共事業の業務が多い

土木建設は、道路や下水道などの公共事業の業務が79%になっています。請け負う主な工事は以下のとおりです。

・県道や市道の建設・舗装・植栽

・上下水道の配管・改修

・砂防ダムの建設・補修

道路や水道・砂防ダムの工事は、一度きりの工事ではなく長期的・定期的な事業計画の見直しとともに進められます。たとえば定期的に河川工事は堤防や川底を強化したり、逆流を防ぐ水門を設置したりすることにより大雨や台風などの水害を防げます。

そのため、中小規模で定期的に行う工事は、全国展開するゼネコンが請け負うよりも地場ゼネコンが行う場合が多いです。

地元だからこそ、公共工事は地場ゼネコンの優位性が高いといえます。

参照:「建設投資の内訳」(国土交通省)

ゼネコンは広いエリアで活動する

施工時には専門工事業者を集めなくてはなりません。専門工事業者を集め、工事の元請け業者にあたるのがゼネコンです。

地場ゼネコンとゼネコンの違いは、活動エリアが異なる点にあります。

地場ゼネコンは、地域を限定し決まったエリアで活動するのに対し、ゼネコンは全国あるいは、複数の都道府県にまたがって活動します。一般的なゼネコンは特定エリアにとらわれず、全国に展開し活動を行っているのが特徴です。

また、ゼネコンの多くは工事施工以外にも、設計や案件獲得につなげる営業や資材を開発する研究などに力を入れています。設計については、外観や内観の意匠設計・梁や柱などの構造設計・インフラ整備の設備設計など、範囲はさまざまです。

ほか、ゼネコンの中でも年間売上高が1兆円を超える企業は「スーパーゼネコン」と呼ばれます。

地場ゼネコンの特徴3つ

地場ゼネコンとゼネコンの大きな違いは、活動範囲や経営方針が異なります。ここでは、より地場ゼネコンについて理解を深めてもらうために3つの特徴を紹介します。

地域密着型で地元が基盤になる

地場ゼネコンの多くは都心部以外の地方に本社を置き、地域に密着して活動エリアを限定しています。活動エリアを狭めることで、全国展開しているゼネコンよりも優位に地元の案件受注を行っています。

また、地場ゼネコンは地域密着型であるため、建設とは無関係の地元企業や地元住民とのコネクションを作りやすいことも大きなメリットです。

ただし、受注するクライアントも普段から関わりのある企業が多いため、計画にはなかった工事などを依頼される場合があります。クライアントの希望に沿った工事を施工することで、結果的にクライアントの満足度につなげられます。

地場ゼネコンの社員は、建設工事の施工管理を最初から最後まで携わるので、クライアントと顔を合わせる頻度も高くなります。クライアントとこまめにコミュニケーションをとって相手の反応をみながら業務を進められるのは、地場ゼネコンならではの強みです。

地元地域の公共工事で本領を発揮する

都市部以外の地方の公共工事を行う際に、入札条件として「地元の業者であること」が含まれることが多くあります。地場ゼネコンは地域に税金を納めていることで、全国展開しているゼネコンよりも入札の優位性が高くなり、地元地域の公共工事で本領を発揮します。

また、地場ゼネコンの企業は市区町村で行われるイベントに出席するといった地域との交流も多く、より公共工事の依頼が集まりやすい傾向があります。

地域住民から信頼を得ている

地方地域の活性化を促進しやすい地場ゼネコンは、地域や住民から信頼を集めています。そのため、地元の企業や店舗などから新築・増改築工事の依頼が多くあるのが特徴です。

最近ではSNSやホームページで、工事の施工事例やイベント情報などを発信している企業も多くなっています。

また、地域に根ざした情報誌などに広告を掲載することで、その地域の人なら誰でも知っている企業となり、就職先の候補にもあがりやすいといえます。

とくに地場ゼネコンは、地域の活性化や地域との連携を強めたいといった理由から、地元出身者を積極的に採用する傾向にあります。地元の人材を採用することで、地元における人脈が広がり建築や土木の工事を請け負うきっかけにもなるのです。

地場ゼネコンは決まった地域で働きたい人におすすめ

地場ゼネコンは地方地域に根差して活動するため、地元で働きたい人や特定の地域で働きたい人におすすめです。

ここでは地場ゼネコンで働く魅力を紹介します。

転勤がなくひとつの地域で長く働ける

地場ゼネコンは地元に根付いているため、活動地域が限定的で転勤がほとんどありません。結婚後も同じ地域で長く働けるため、家族や子どもと一緒に生活できます

転勤がなく家族と一緒に生活できることで、子どもの成長を見守ることができ、万が一家族に怪我や病気、不意の事故が起きた場合にもすぐに対応できて安心です。

地域の発展に貢献ができる

地場ゼネコンに勤務すると、地域の発展に貢献できる点も魅力のひとつです。とくに生まれ育った地元なら「子どもの頃から慣れ親しんだ地域の発展に貢献したい」と考える人も多いでしょう。

地場ゼネコンで働くことは、地元の活性化に直結します。自分が携わっている工事がどのように地元へ貢献しているかもわかります。また、地元出身者が多数勤めている場合もあり、共通の話題が見つけやすく人間関係も良好に保ちやすいといえます。

まとめ

2022年に株式会社学情が実施したアンケート結果によると、2023年3月卒業予定の大学生の38.7%がUIターンや地元での就職を希望しています。UIターンや地元での就職を希望する理由でもっとも多く挙げられたのが「地元に貢献したい」という声でした。次いで、「家族と一緒に暮らしたい」「もともと卒業後は地元に帰ろうと思っていた」なども、地元での就職希望の大きな理由になっています。

参照:「あさがくナビ2023登録会員対象 2023年卒学生の就職意識調査(UIターン) 2022年1月版」(株式会社学情)

地場ゼネコンで働くことは、上述のアンケート結果にあるように、地元で働くうえでのひとつの選択肢といえます。特定の地域で長く働きたい人や地元に貢献したい人は、地場ゼネコンは、就職・転職の志望先にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。