土木業界の今後はどうなる?現状を踏まえて転職を成功させるポイントを紹介

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土木業界は建物や道路、橋、トンネル、ダム、港湾、空港、鉄道など、さまざまな建設プロジェクトに関わる業界です。インフラを支える重要な役割を担っていることから安定した需要がありますが、今後はどうなるか気になる方もいるのではないしょうか。 今回は、土木業界の現状と今後について解説します。土木業界の魅力や転職を成功させるポイントも紹介しているため、転職を検討している方は参考にしてみてください。

土木業界の現状とは

土木業界の今後について知る前に、まずは現状を把握しましょう。

安定した需要がある

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの業種がダメージを受けました。国土交通省が令和4年に公表した調査結果によると、土木工事の受注高は3年連続上昇しています。この結果から、土木業界の需要は高いといえます。

また土木工事はインフラ整備に関わる仕事であり、社会の基盤を維持し、発展させるために欠かせません。

現在使用されているインフラは、高度成長期に建設されたものが多いため、多くの地域でインフラ施設が老朽化しており、定期的な保守・改修作業が求められています。とくに道路や橋、鉄道、港湾、水道、下水道などのインフラ施設は、安全性や効率性を確保するために定期的なメンテナンスが必要です。

ほかにも、自然災害への対応においても土木工事は必要とされています。地震、洪水、台風などの自然災害が、インフラに大きな影響を及ぼすことは少なくありません。災害からの復旧や、将来の災害に備えた耐震性や防災施設の整備など、常に一定の需要があるといえます。

出典:「報道発表資料:建設工事受注動態統計調査(大手50社調査 令和4年計)について」(国土交通省)

徐々にDX化が進んでいる

土木業界において、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が進展しており、作業効率の向上を目指すためにさまざまな技術とアプローチが採用されています。

近年注目されているのが「i-Construction」です。i-Constructionは建設現場におけるあらゆる工程にICT技術を活用し、業務効率化や経営環境の改善を行うプロジェクトです。

たとえば、建設現場ではドローンを使用して航空写真を撮影し、地形や建設進捗を監視することでプロジェクト管理の能率と精度が向上し、問題の早期発見が可能になりました。また、工程管理や作業計画の最適化に人工知能(AI)やビッグデータ分析を活用している企業もあります。

【土木業界】今後の動向は?

土木業界は今後も安定した需要を見込めるでしょう。現在安定した需要がある理由と同じく、自然災害への対応と復旧工事が必要であるためです。自然災害(地震、洪水、台風など)は依然として発生するため、土木業界による災害対策や復旧工事が求められます。

加えて、老朽化したインフラ施設(道路、橋、水道、下水道など)の改修と定期的なメンテナンスも必要です。施設の寿命を延ばし、安全性や効率性を確保するために土木業界の力が求められます。

このように現在も未来も、土木業界は基本的な社会インフラの維持と発展に関わっており、その需要は安定しているといえるでしょう。一方で、サステナビリティ(持続可能性)や技術の進化、労働力の確保など、さまざまな課題に対応しながら変化し続ける必要もあります。

土木業界の抱える課題

土木業界は私たちの生活になくてはならない業界ですが、課題も山積しているのが実情です。ここでは、土木業界の抱える課題を3つ紹介します。

労働者の高齢化

土木業界において多くの労働者が高齢化しており、退職者が増える一方で、若者の入職者は減少しています。そのため、ベテラン労働者から若手労働者への技術・知識の継承が難しくなっているのが現状です。

この問題に対処するためには、土木業界の魅力を高めるための取り組みが必要といえます。給与の向上や福利厚生の改善、キャリアアップできる機会の提供など、若者にとって魅力的な条件を整えることが大切です。

また、技術承継のためのトレーニングプログラムやメンターシップ制度の強化など、若手労働者のスキル向上も欠かせません。

人手不足

少子高齢化や若者の入職数減少によって、人手不足が深刻化しています。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年7月分)」によると、土木作業従事者の有効求人倍率は6.25倍です。

有効求人倍率は、求職者ひとりに対する求人の数を示す数値のことで、有効求人倍率が約6倍ということは、求職者ひとりに対して6件の求人があることを意味します。同じ月の平均有効求人倍率は1.29倍であるため、それと比較しても土木業界は「売り手市場」となっており、深刻な人手不足であるといえるでしょう。

人手不足はプロジェクトの遅延や品質低下につながることがあります。作業者が不足していると、工事スケジュールを守ることが難しくなり、長時間の残業や休日出勤が増えて労働環境が悪化する恐れがあります。

出典:「一般職業紹介状況(令和5年7月分)について」(厚生労働省)

地域のインフラ整備に手が回らない

上記で挙げた人手不足に反比例するように老朽化施設が増加し、地域のインフラ整備に手が回らないという問題があります。上下水道や道路などの土木インフラの多くは、耐用年数40〜50年が目安です。そして、国土交通省の公表によると、2020年から2040年の間に建設後50年を超える施設の割合が大幅に増えることが明らかになりました。

2040年で、建設後50年以上経過する施設の割合は以下のとおりです。

・道路橋:約75%
・トンネル:約53%
・河川管理施設(水門など):約38%
・下水道管きょ:約35%
・港湾施設:約66%

土木業界は人手不足が深刻化していく一方で、こうしたインフラ整備の需要はますます高まっています。老朽化が加速するインフラ施設をどのように維持・改善するか、戦略的な対応が求められます。

出典:「社会資本の老朽化の現状と将来」(インフラメンテナンス情報)

土木業界の魅力

土木業界は責任感が求められるため大変な仕事である一方、魅力も多くあります。ここでは、土木業界の魅力を解説します。

社会貢献していることを実感できる

土木業界は、社会基盤やインフラの整備・維持・改良に関わる重要な役割を担っています。道路、橋、鉄道、港湾、水道、下水道などのインフラ施設を建設・管理することで、人々の生活を支え、経済活動を促進し、災害から保護することにつながります。その貢献度を実感できる点が土木業界の魅力です。

また社会基盤の維持は常に必要であり、安定した需要があります。上述のように、老朽化によってインフラ整備の需要は高まり続ける見込みです。また、AIやロボットに代替される仕事が増えていく中、土木の仕事には人の力が欠かせないため、仕事を奪われる心配もないといえるでしょう。

自分の仕事が歴史に残る

土木の仕事は、自分が関わったプロジェクトが建物や施設としてかたちに残るのが魅力です。目に見える成果を残すことで、社会に貢献した達成感と満足感を得やすくなります。また有名な橋やダム、建物は地域や国のシンボルとして存在し、歴史に残るでしょう。

大きな構造物やインフラ施設の建設に関われば、その分大きな達成感を得られます。「これは自分が建設に関わったダムなんだ」といったように、家族や友人に自慢できるでしょう。

土木業界への転職を成功させる3つのポイント

土木業界は人手不足であるため未経験者も積極的に採用しており、転職の難易度はそれほど高くはありません。しかし、何も対策をしないまま選考に臨めば選考で落とされる可能性があります。ここで紹介する3つのポイントを押さえておきましょう。

志望動機を入念に作る

採用担当者は応募者の志望動機から、入社意欲や将来性を見ています。志望動機がどこの会社でも通じるありきたりな内容だと、「ほかの会社でも良かったのでは」と入社意欲が低いと思われるでしょう。

志望動機を作成する際には、企業研究を入念に行うことが大切です。求人票に記載された情報だけでなく、実際に企業のHPやSNS、口コミサイトなどを見てしっかりと情報収集をしましょう。そして、数ある企業の中から「なぜその企業を選んだのか」を志望動機に盛り込みます。

未経験者は経験者と比べて選考でアピールできるスキルや経験が乏しいため、志望動機が選考通過の鍵を握っているといっても過言ではありません。

面接は定番の質問を押さえておく

面接対策も入念に行いましょう。面接では入退室や受け答えなどのビジネスマナーも見られます。鏡を見ながら受け答えの練習をしたり、面接の練習風景をスマートフォンで撮影したりするのがおすすめです。

また面接でスムーズに受け答えができるように、定番の質問に対する回答を用意するのも良いでしょう。例えば、「あなたの長所・短所を教えてください」「なぜ土木業界に興味を持ったのですか」などは定番の質問です。

面接の最後には「何か質問はありますか」と、企業側から応募者に対して質問する「逆質問」もあります。逆質問は企業が応募者の入社意欲や当社への関心度をはかる質問であり、「とくにありません」と答えるのはNGです。「当社への興味がないのでは」と思われてしまいます。

逆質問は企業研究の成果をアピールするチャンスでもあるため、事前に質問する内容をいくつか用意しておきましょう。

未経験者はまず派遣社員で経験を積むのもおすすめ

土木業界未経験で自信がない場合は、まず派遣として働き、経験を積んでから正社員を目指すのがおすすめです。派遣であれば、多種多様な現場を経験できます。

異なるプロジェクトで経験を積むことで、土木業界における幅広い知識とスキルを身につけられるでしょう。また実務経験を積めば資格取得も可能となり、採用を有利に進められます。

土木業界で派遣として働きたい方は、共同エンジニアリングをご利用ください。共同エンジニアリングは、2022年時点で3,450名の技術社員を抱えており、土木をはじめ建築・設備・電気・プラントなど幅広い分野の案件を取り扱っています。。教育制度や研修プログラムも充実しており、未経験者でも自分のペースでスキルを習得できます。

まとめ

土木業界はインフラ整備に関わる仕事で、今後も安定した需要が予想されます。土木の仕事は自分の関わった建設物や施設が目に見える形で残るため、やりがいや達成感を得やすいのが魅力です。

土木業界は若者の入職者が減少しており、人手不足で求人も増加しているため、未経験の方もぜひ挑戦してみてください。