【建設業界】現場責任者の仕事内容と求められるスキルを紹介

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建設現場で指揮・監督する人を現場責任者と呼びます。これから現場責任者を目指す人は、仕事内容や役割について知っておくことが大切です。この記事では、現場責任者に該当する法律上の役職と主な5つの仕事内容を解説します。

現場責任者は「建設現場を管理する役職」を指す通称

現場責任者とは、建設現場や工事現場を管理する代表者のことです。ほかにも、「工事責任者」「現場所長」「現場監督」など同じ意味合いで呼ばれることもあります。しかし、いずれも建設業法で定められた正式な呼び方ではありません。

詳細は後述しますが、工程管理や品質管理、安全管理などを行う役職です。現場責任者という立場上、工事や建設において専門的な知識と経験、決断力が求められます。

また、多くの工事関係者と連携を取ることが多いため、コミュニケーションスキルも欠かせません。

現場責任者に該当する法律上の5つの役職

工事現場では業種や人数、作業現場の規模などに応じて、責任者を選任しなくてはいけません。ここでは、現場責任者に該当する法律上の役職について紹介します。

主任技術者

主任技術者は建設業法で定められている技術者のことです。外注総額が4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)の元請け現場や下請け現場では、主任技術者の設置が必須とされています。

主任技術者になるためには、「一定の学歴・実務経験」あるいは「資格を取得する」といった2種類の方法があります。指定された学科を卒業していない場合、10年以上の実務経験が必要です。

主任技術者になるための資格は多数ありますが、「施工管理技士」「建築士」「電気工事士」「技術士」が代表的な資格として挙げられます。

参考:「技術検定の概要」(国土交通省)

監理技術者

主任技術者と同様に、建設業法により定められている役職です。外注総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の元請け現場には、主任技術者に代わり「監理技術者」の配置が必須とされています。

大規模な工事での総合責任者であるため、主任技術者よりも厳しい資格の取得や豊富な経験が必要です。

監理技術者になるには、「一級国家資格を取得する」「主任技術者としての要件を満たし、指導監督として一定の実務経験を積む」といった2種類の方法があります。自分に合った取得方法を選択し、現場責任者としてのステップアップを目指すと良いでしょう。

参考:「技術検定の概要」(国土交通省)

統括安全衛生責任者

労働者が混在する現場において、労働災害を防止するために各事業所から安全衛生責任者が選任されます。それらの安全衛生責任者への指揮・統括管理を行う役職です。

特定事業である建設業や造船業において、労働者の人数に応じて、統括安全衛生責任者を選任しなければいけない決まりとなっています。

統括安全衛生責任者になるために必要な資格はありません。しかし、統括安全衛生管理に関する教育を受けた者から選任するよう義務付けられています。統括安全衛生責任者を選任するのは、特定元方事業者(元請け業者)です。

参考:「職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)

元方安全衛生責任者

統括安全衛生責任者の指揮の下、技術的事項を管理するために選任されるのが元方安全衛生責任者です。技術的事項とは、専門技術に限ったものではなく、安全・衛生に関する具体的事項を指します。

統括安全衛生責任者を選任した事業者で、特定の業種に属する事業者は元方安全衛生責任者を選任することが定められています。

元方安全衛生責任者は、作業場所の巡視や作業間の連絡および調整といった、統括安全衛生責任者の業務を補佐するのが主な仕事です。元方安全衛生責任者になるには、学歴や実務経験など、一定の要件が定められています。

参考:「職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)

安全衛生責任者

建設業や造船業といった特定元方事業者の現場において、事業主の代理として現場の安全管理を担う役職です。選任区分は統括安全衛生責任者と同様で、下請けの業者が選任します。

安全衛生責任者になるための資格は定められていませんが、職長が選任されるケースが多いようです。職務内容は、統括安全衛生責任者との連絡、労働者の作業に危険がないかの確認などです。統括安全衛生責任者とともに現場の統括安全衛生管理を行います。

参考:「職場のあんぜんサイト」(厚生労働省)

現場責任者が担う5つの管理業務

現場責任者は現場を指揮・監督する立場として、主に5つの管理業務を行います。ここでは、現場責任者が担う管理業務について紹介します。

工程管理

建設工事の工期を守るためにスケジュール管理を行う仕事が工程管理です。具体的には、全体工程表・月間工程表・週間工程表といった工程管理表を作成し、全体および各工程の工期を管理します。

また、建設現場の工程表には、下請け業者を管理する「バーチャート工程表(横線式工程表)」、作業を管理する「ネットワーク工程表」なども用いられます。工程管理では工期を守るだけでなく、効率良く作業を進めることも役割のひとつです。

品質管理

設計図書や仕様書どおりに建設対象物が作られているか管理を行う仕事が品質管理です。具体的には、設計図書の寸法に沿った建設物か、仕様書に記載されている強度・材質・機能が守られているかを試験および点検します。

また、適切に管理されているかを証明するために、施工記録の作成や施工状況の写真を作成するのも業務のひとつです。工事完了後に、行政や依頼者に建設物に問題がないか確認してもらいます。

安全管理

建設現場において作業中の事故を防ぐように管理を行う仕事が安全管理です。安全管理の代表的な対策には以下3つがあります。

・KYK:危険予知活動

・5S活動:整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)

・ヒヤリハット運動

KYKは作業を行う前にミーティングを行い、作業現場に潜む危険を話し合い、対策や目標を立てます。5S活動とは、職場環境を整える5つの要素のことです。

ヒヤリハット運動は、作業中に「ヒヤッとしたこと」「ハッとした体験」を報告しあって、同じことを繰り返さないように安全な職場作りを目指すことです。このような活動を通して、職場の安全管理を行います。

原価管理

建設現場で発生する原価の管理を行うのが原価管理です。原価管理の目的は、利益確保とリスク管理のふたつあります。

施工管理で算出された実行予算よりも、実際に発生する原価が上回らないように管理しなくてはいけません。なぜなら、予算内で工事が進められないと赤字になってしまうためです。利益を上げるためには、無駄なコストを削減し、効率化することが重要です。

環境管理

自然環境・周辺環境・労働環境の管理を行う仕事が環境管理です。

工事の内容次第では、工事が原因で空気や水、土壌などの自然環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、振動や騒音、粉塵が周辺住民にとって悪影響になることも考えられます。そのような環境問題に対しても、現場責任者は対策を取らなくてはいけません。

そのほか、労働者が働きやすい環境を作ることも重要な業務のひとつです。日頃からコミュニケーションを密にとるなどして信頼関係を築くことを意識しましょう。

まとめ

現場責任者は建設現場・工事現場を管理する仕事です。工期に間に合うようスケジュールを管理したり、作業において危険がないよう管理したりします。

専門的な知識やマネジメントスキル、コミュニケーションスキルなどが必要で、責任の重い仕事ではありますが、その分やりがいのある仕事といえます。