目次
ゼネコンの仕事の概要

まずは、ゼネコンの仕事内容について詳しく解説します。
ゼネコンとは総合建設業者のこと
ゼネコンとは、建設に関して総合的に請け負う建設業のことです。
ゼネコンは一般的に発注者から建築工事を請け負うと、建設業者や土木業者を雇用し、建設プロジェクトのリーダーとして彼らを取りまとめ、指示する役として業務を進めます。
下請け業者をまとめるためには、「設計」や「施工」はもちろん、業務効率化や建築物の品質向上のための「研究」の3つが必要です。
ゼネコンが携わる業務は多岐にわたり、社会の生活基盤であるインフラのプロジェクトから商業施設やテーマパーク、ランドマークの建設プロジェクト、競技場など大きな建築案件のほか、震災後の復興支援を行うこともあります。
ゼネコンの3つの種類
ゼネコンは一般的に、以下の3つに分けられます。
スーパーゼネコン
スーパーゼネコンは、売上高が1兆円を超えるような大手ゼネコン企業を指すのが一般的で、日本を代表するような建造物の工事を数多く手がけています。超高層ビルや大規模開発、海外事業など、国内外の大型案件を多数受注しているのが特徴です。
スーパーゼネコンは建設の幅広い領域で豊富なノウハウ、高い技術を持っており、施工以外にも設計や研究開発、エンジニアリング、都市開発の部署を抱えています。
準大手ゼネコン
準大手ゼネコンは、売上高3,000億円〜1兆円程度の総合建設会社を指し、スーパーゼネコンに次ぐ規模を持ちます。大規模プロジェクトから中規模案件まで幅広く手がけ、スーパーゼネコンと比較して、より専門性の高い分野に注力している傾向があります。
中堅ゼネコン
中堅ゼネコンとは、売上高1,000億円〜3,000億円程度の企業を指し、専門性の高い分野や地域に強みを持つのが特徴です。既存建物の改修や増改築に強い中堅ゼネコンもあれば、地域社会に貢献する中堅ゼネコンもあります。
【ゼネコンの仕事内容1】最適な提案で案件獲得につなげる「営業」
営業職は、発注者と接する窓口の役割を担います。発注者のニーズを聞き、内部の各部門と連携を取りながら企画書や提案書をまとめるのが主な仕事です。社会の基盤となる町単位のプロジェクトに関わることもあり、仕事のスケールは億単位を超えることもあります。
ゼネコンの仕事は基本的にBtoBで行われるため、営業先は民間企業や官公庁、公共団体などが多いです。仕事の取り方は、官公庁ならオークションのような入札制、民間企業からは依頼の受注を行う方式になります。また、ゼネコン側から企画・提案をすることもあります。
ゼネコンの営業には、ディベロッパーや商社のような企画・営業の能力や、取引先と信頼関係を築く能力が求められます。1人当たりの担当取引先数が少ないため、他業種の営業と比べて信頼関係の構築がより重要です。
【ゼネコンの仕事内容2】建物の完成イメージを具体化する「設計」
ゼネコンの設計職の仕事は、発注者のニーズを汲みながら利便性・デザイン性を工夫して具体化していくことです。頭の中でつくり上げたイメージを図面や立体の模型に起こし、多くの人たちの協力を得て実際の建物へと仕上げていきます。
設計職の魅力は、自分が設計した建物が形になっていく様子を見られることです。ただし、ゼネコンによっては設計を外注している場合もあるため、志望するゼネコンの設計部門がどの程度外注しているかをしっかりチェックしておきましょう。
2022年からはBIMに完全移行
設計職に就くには、建築士の資格やグラフィックデザイン、CADなどを習得していると有利となります。加えて2022年からは国交省の決定により、ビルなどの大規模建築工事にBIMの使用が求められるようになるため、こちらの技術も必要になります。
BIMとは既存の図面やCADを利用した設計と異なり、コンピュータ上に作成した3Dモデルに建築物のデータをすべて盛り込んで管理するシステムです。BIMを利用すると、建築物の完成イメージがわきやすくなったり、起こりうるトラブルを予測できたりするメリットがあります。
建築設計の3分野
建築物の設計は、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3分野に分けられます。ひとつずつ紹介していきます。
〇意匠設計
意匠設計は、建築物のコンセプトや配置を決定し、建築の外観や内部のデザインをつくる仕事です。意匠設計以外のセクションを取りまとめるプロデューサーのような役割も担うため、設計の技術のみならずコミュニケーション能力も求められます。
意匠設計は、あらゆる建築物や構造物に欠かせない仕事です。建造物の構造や配管、レイアウトを含むすべてに関わり、施主の希望や要望、コンセプトといったすべての課題に応えられるような提案を行う必要があります。
〇構造設計
構造設計は、地震や防風、積雪などに対する安全性能を計算し、梁や柱といった骨組みを設計します。安全性を保障し、建物のデザイン性を損なわないような緻密さや正確さが求められる仕事でもあります。
構造設計の仕事は意匠設計のように華やかなものではありませんが、人命を守るために必要な仕事です。仕事を遂行するためには、意匠設計を行う建築士や現場の人とコミュニケーションを取り、安全性に配慮して工事を進めることが求められます。
〇設備設計
設備設計は、建物を維持するためのインフラを整備する設計です。具体的には、以下のような項目が含まれます。
・配管空調設備
・電気設備
・上下水道処理設備
・排煙脱硫装置
・FA(ファクトリーオートメーション)設備
インフラを機能させるように設計するのはもちろん、ランニングコストや室内環境のことも考慮して設計を行う必要があります。
【ゼネコンの仕事内容3】建設現場を管理して取りまとめる「施工管理」
施工管理とは、建物の工事が円滑に進むように現場の管理・調整を行う仕事です。建築の施工計画を管理するため建築の知識や技術が求められるほか、年齢やキャリアが異なる職人をまとめるためのマネジメント能力やリーダーシップが必要な役割でもあります。
施工管理が担う4つの管理業務
主な管理業務は、「工程管理」「品質管理」「原価管理」「安全管理」の4つです。それぞれ、どのような業務であるか解説します。
〇工程管理
定められた納期までに、建築作業が完了するように管理を行う業務です。建築には土台作りやコンクリートの注入といった複数の工程があるため、複数の業者が関わって進めていくことになります。
工程管理の仕事は、各企業の進行具合を把握して業者間の連携を取り、管理していくことです。また、建設が進むごとに出てくる変更箇所を調整するのも、工程管理の役割になります。
〇品質管理
品質管理は、設計図や施工計画書通りに建築が進んでいるかを確認し、建物の品質を管理・保障する業務です。工事を急いで品質が劣る資材を使用していないか、仕入れ状況を確認したり計測状況を把握したりする必要があります。
品質管理の仕事には、「品質検証」と「品質改善」といったものがあります。品質検証では製品が確かなものであることを検査し、品質を作りこむ能力があるかを精査します。また、品質改善は発生した不具合を改善したり、未然に防ぐ努力をしたりするのが仕事です。
〇原価管理
材料費や人件費などの原価を管理し、予算内に収める業務です。より安い仕入れ先を探したり、進捗に合わせて人員を適切に配置したりするのも重要な役割です。また、当初の計画から変更した箇所を計算に入れ、予算内に収めることも求められます。
〇安全管理
作業現場の安全を管理・確保する業務です。建築現場の通路確保や物資の落下防止、作業員の転落防止などを考え、現場で働く業者の作業員の安全を確保する重要な役割を担います。また、作業員の労働時間の管理も業務のひとつです。
ゼネコンの施工管理を目指すなら正社員型派遣がおすすめ
未経験からゼネコンの施工管理を目指すなら、正社員型派遣がおすすめです。共同エンジニアリングなら、資格や実務経験がなくても応募できる求人が揃っています。
共同エンジニアリングでは、完全未経験から手に職をつけて活躍できます。研修は年間70件以上を実施しており、基礎研修だけでなく資格支援研修などキャリアアップに向けた教育体制も整えています。
未経験からゼネコンの施工管理として活躍したい方は、ぜひ共同エンジニアリングにご相談ください。
【ゼネコンの仕事内容4】建設に必要な資材を受注する「調達」
ゼネコンにおける調達業務は、受注した建設プロジェクトの工事に必要な資材を調達する仕事です。それぞれの案件に適した取引先を選定し、予算や納期などの交渉を行います。
資材にかかる費用は建設費を大きく左右するため、原価コストを抑えながら高品質の資材を調達しなければなりません。費用が安くても品質が悪ければ良い工事を行うことはできませんが、逆に品質は良くても費用が高いと赤字につながってしまいます。
調達業務は、コストと資材の品質の両方を調整しなければならない難しい仕事です。日ごろから情報収集を行い、新たな技術や資材などの導入も検討しながらより良い調達を目指す必要があります。
【ゼネコンの仕事内容5】建築工法や新しい資材の開発を行う「研究開発」
ゼネコンの業務はマネジメントが中心ですが、理想的な空間づくりや独自技術の開発を目的とした研究開発を行うこともあります。特に独自技術の開発はゼネコンにとっての強みになるため、多くのゼネコンが研究開発への投資に積極的です。
また、別の側面として、建設現場の業者や施工主の意見を参考にした研究も可能です。ただし、実務経験に乏しいと現実的に利用できるものが作れないため、現場や設計などの部門に期間限定で所属できる制度が用意されていることもあります。
【ゼネコンの仕事内容6】建設における設計や管理を行う「エンジニア」
スーパーゼネコンをはじめとした大規模な企業では、建築物の設計や進行管理を行うエンジニア部門が存在することもあります。
エンジニアは主に生産・製造工場、再生可能エネルギー発電所、水処理施設といった工場のコンサルティング、設計、施工、保守、および情報システムの構築を担う技術職です。
専門的な知識が必要な職種であり、中にはAI・IoT・ITインフラなどの先端技術を扱うシステム開発の経験を活かせる場合もあります。未経験でも建設エンジニアにはなれますが、実務と並行して必要な資格を取得するケースが多いです。
ゼネコンで働くのに役立つ資格は?
ゼネコンで働くために必須の資格はありませんが、以下のような資格を取得することでキャリアアップやスキル向上に役立ちます。
一級建築士
一級建築士は、建築物の設計や工事監理を、一級建築士試験への合格と国土交通大臣からの許可を受けて行える資格です。
試験に合格すると一級建築士免許証が交付され、超高層ビルやドーム、学校といったさまざまな建築物を扱えるようになります。
大学や専門学校にて所定科目を履修後に卒業するか、所定の資格を取得しておくことで受験資格を得られます。
一級建築士について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「一級建築士の難易度とは?合格率や勉強方法についても解説!」
1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技士は、すべての建築工事の施工計画の作成や、作業現場での工程管理、品質安全管理などが行える国家資格です。そのほか、現場の資材調達、発注者との打ち合わせ、予算管理などさまざまな業務を行えます。
管理可能な工事の規模に上限がないため、大規模な建設工事現場に関われたり、幅広い業務に携わりながらキャリアアップを目指せたりするのが魅力です。
1級建築施工管理技士について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:「1級建築施工管理技士はすごい?理由や年収、最短で目指す方法を解説」
1級管工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士は、配管接地工事のプロであることを認可される国家資格です。取得することで主任技術者や専任技術者として業務に携われます。
配管接地工事において監理技術者として活躍が期待できるため、キャリアアップがしたい方や幅広い業務に携わりたい方におすすめです。
1級管工事施工管理技士について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
1級電気工事施工管理技士
1級電気工事施工管理技士は、建築学における電気工学、電気通信学などの一般的な知識を有する者に与えられる国家資格です。
資格を取得すれば、工事現場における安全や品質の管理を担当できたり、全体の指揮に携われたりするなど、現場での責任が大きい仕事を担えるようになります。
1級電気工事施工管理技士について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「一級電気工事施工管理技士の年収相場は?資格取得のメリットと目指す方法」
1級土木施工管理技士
1級土木施工管理技士は、土木工事現場での工程、安全、品質、原価などさまざまな管理ができるようになる国家資格です。
資格を取得すると、あらゆる土木工事現場の業務に携われるほか、施工管理の正式な担当者として主任技術者や監理技術者に選任されることもあります。
1級土木施工管理技士について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「土木施工管理技士の難易度はどれくらい?必要な勉強時間とは」
まとめ
ゼネコンの仕事内容は大きく「営業」「設計」「施工管理」「調達」「研究開発」「エンジニア」の6つに分かれ、それぞれが建築の依頼受領から遂行、他社との差別化といった重要な役割を担っています。
未経験で建設業界、ゼネコンへの入社を考えるなら、正社員型派遣として所属するのが近道です。施工管理の仕事に興味がある方は、ぜひ共同エンジニアリングにご応募ください。







