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建設業・建築業で働く女性が活躍する職種8選

建設業界において女性の活躍が期待される職種は多岐にわたります。力仕事のイメージが強い建設業界ですが、実際には女性の感性やスキルを活かせる職種が数多く存在しています。
ここでは、女性が特に活躍できる8つの職種について詳しく紹介します。
建設現場の「施工管理」
建設現場では力仕事を行うイメージがありますが、施工管理は実作業を行うことはありません。施工管理は、建設現場の進捗・安全・予算などのさまざまな管理を行い、指揮をとることが主な仕事です。
建設現場に関わる人をとりまとめるコミュニケーション能力や、きめ細かい気遣いや配慮は、男性よりも女性に適性があることが多いといわれています。
また、危険な箇所を察知する能力は、男性よりも女性の方が優れているという意見もあり、今後、女性の施工管理者の増加が期待されています。
女性が施工管理で勤務する魅力については以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
建築物の設計を行う「建築士」
建築士は、建築物の設計や工事の監理を行うことが主な仕事です。女性目線で建設物をイメージし、設計する感性、柔軟に対応できるスキルは、発注者に評価される傾向にあります。男性とは異なる目線で設計できるため、顧客の満足度に影響します。
また、ゼネコンでは、日々の業務を分業しているところが多くあります。分業することで社員にかかる負担を分散でき、ワークライフバランスの確保が実現します。仕事と家庭を両立させやすいことを理由に建築士になる女性も少なくありません。
建設に必要な予算を計算する「建築積算士」
建築積算士は、建設プロジェクトにかかる費用の計算や予算を策定する専門家です。建物の設計図面や仕様書をもとに、材料費、労務費、機械費などを詳細に算出し、工事全体のコストを見積もる重要な役割を担っています。
建築積算士として働くために必須の資格はありませんが、専門性を高めるためには公益社団法人日本建築積算協会が認定する「建築積算士」の資格を取得することが推奨されます。
この資格は、建築積算に関する体系的な知識とスキルの証明となり、キャリアアップにつながります。
リモートワークも可能な「CADオペレーター」
CADオペレーターは、設計士の指示を受け、CADソフトを使って図面の修正や調整、制作することが主な仕事です。
建築士や設計士の意図を汲み取ることや、作業が丁寧であることも必要な素養のひとつです。
また、ほかの職種に比べて、CADオペレーターは外での打ち合わせ回数が少ない点や、自宅にPCとインターネット環境が揃っていれば、リモートワークを行いやすい点が特徴です。
リモートワークであれば育児、家事と両立しやすく、実際に家事と両立しながら活躍している女性も珍しくありません。
建築物を3Dモデルで作成する「BIMオペレーター」
BIMオペレーターは、建築業界で急速に普及が進んでいる職種のひとつです。BIMとは「Building Information Modeling」の略称で、建築物の企画から設計、施工、維持管理までのすべての情報を3Dモデルで一元化する技術のことを指します。
BIMオペレーターは、この技術を活用して建築物や構造物の詳細な3Dモデルを作成し、プロジェクト全体の情報を管理する専門家です。従来の2D図面では表現しきれない空間の把握や、設計変更時の影響範囲の可視化など、建築プロジェクトの効率化と品質向上に大きく貢献しています。
お客さまからの信頼を支える「品質管理」
品質管理は、建設プロジェクトにおいて一定の品質を保てるように生産工程に介入し、検査・検証・保証などを担う重要な職種です。体力や肉体労働の側面が少なく、鋭い観察力やリスクマネジメント能力がある方に適しています。
建設業界の品質管理は多岐にわたる分野で活躍の場があります。例えば、アスファルト工場では道路材料の耐久度検査を行い、安全で長持ちする道路づくりに貢献します。また、浄水場では水質検査を担当し、市民の安全な水の供給を支えています。
これらの業務では、細かな数値の変化を見逃さない注意力と、品質基準を維持するための継続的な管理能力が求められ、女性の丁寧で責任感の強い特性が大いに活かされます。
プロジェクトをICTでサポートする「DX推進」
建設業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が強化されており、これをサポートする職種として注目を集めているのが、DX推進の仕事です。DX推進の専門家は、ICTツールや施工管理アプリの導入支援を行い、現場の生産性向上とデジタル化を推進する重要な役割を担っています。
また、現場のニーズに合わせたシステムカスタマイズの提案や、データ活用による業務改善の支援なども行います。
ICT分野と建設業界への理解の両方が求められる専門性の高い職種です。 建設業界のデジタル化が加速する中、今後ますます需要が高まることが予想される職種です。
関連記事:「建設DXについてわかる!主な技術と推進のための取り組み」
建設業で女性が働く魅力・メリット

男性が多い仕事のイメージがある建設業ですが、女性が働く魅力・メリットがたくさんあります。どのような魅力・メリットがあるのかを紹介します。
女性ならではの視点を活かせる
建設業界は男性が多く活躍する業界であるため、視点やニーズが男性目線に偏ってしまいがちです。例えば、女性向けの設備が不足していたり、趣向の偏りが生じていたりといった問題があげられます。
近年は女性の入職促進や就労継続への取り組みが進んでおり、女性の技術者・技能者も増加していますが、定着は未だに進んでいません。
このため、すべての人が働きやすい職場環境の構築へ向けて、女性目線の気遣いや意見が必要とされているのです。
また、女性ならではの感性と細やかな気配りを活かした設計デザインが、高く評価されることもあります。特に生活動線に配慮した間取りや優しい空間デザインの提案など、女性として施主側の視点を理解できる点は強みとなるでしょう。
年収が高い
ほかの職種よりも高い年収を得やすいのも、建設業で女性が働く魅力・メリットです。国税庁発表の「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、女性給与所得者の平均給与は333万円です。
対して、建設業で1年を通じて勤務した女性給与所得者の平均給与は334万円となっており、女性給与所得者の平均給与よりも高いことがわかります。
資格を取得して専門性が上がれば年収アップも見込めるため、やりがいを感じられるでしょう。
出典:国税庁
「令和6年分民間給与実態統計調査」
「第9表業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額」
名前を覚えてもらいやすい
建設業に従事する女性は増えてきていますが、まだまだ女性は少なめです。そのため、社内はもちろん社外の方からも名前を覚えてもらいやすくなります。
建設現場では多くの人とコミュニケーションを取る必要がありますが、名前を覚えてもらえるとやり取りがスムーズに進むことが増えます。
建設業界全体が人手不足のため採用されやすい
建設業界は、都市再開発による建設ラッシュや災害復興など、建設需要が高まっているため仕事は増加傾向にあります。
しかし、「建設業離れと職人の高齢化で若年層が少ない」「比較的厳しい労働環境による離職率の高さ」などが原因で、建設業界は慢性的な人手不足です。
その解決策の一つとして女性の採用を強化している企業が増えているため、採用されやすいというメリットもあります。
さらに労働環境の整備や女性リーダーの育成など、女性の定着・活躍支援に力を入れている企業も増加しているため長く働き続けられるでしょう。
建設業における女性人材の就業について考える

総務省が調査した結果をもとに、「建設業界における女性就業者の比率の推移」と、企業が行っている「女性の活躍を促進するために働き手を増やす取り組み」について説明します。
建設業における女性就業者の比率
総務省の「労働力調査」によると、建設業における女性の就業数は90万人(2025年8月データ)です。
2012年に約70万人だった建設業の女性就業者と比較すると、約20万人増加しています。全体(475万人)に占める割合も、13.9%から18.9%に上がっています。
建設ラッシュだった2019年を過ぎて、割合は低下しましたが、建設業界で働く女性は増加傾向が続くと見られます。
今後、さらに建設業での女性の活躍が期待されています。
出典:総務省「労働力調査」(「労働力調査」は、全国の100万調査区から毎月選定される2900調査区において、抽出された各15戸を、調査員が訪問して行う標本調査)
女性が活躍するために建設業で行われている取り組み

建設業での女性の活躍機会を増やすために、入職支援を行う企業も増えています。具体的な入職支援の内容として、以下のことがあげられます。
〇女子学生が建設業を身近に感じられる機会を提供
女性の人材採用に積極的な企業では、女子学生向けに合同説明会やインターンシップが実施されています。女性技術者の講義なども行われています。
女性技術者の言葉を直接聞くことで、学生が建設業に従事した後の自分の姿を具体的にイメージでき、建設会社を身近に感じられます。
〇女性人材の定着率を上げる
定着率を上げるために、ハラスメント防止・性差別を防止する整備、また、労働環境の改善も行われています。具体的には、女性用トイレやロッカーを設置するなどのハード面の整備を充実させるなどです。
〇柔軟な働き方の導入
結婚・出産・育児・介護など、数あるライフイベントに柔軟に対応できる環境も整いつつあります。これは男女に関わりません。
在宅勤務や短時間勤務など、仕事と生活の両立がしやすいように働き方の選択肢は増えつつあります。
共同エンジニアリングでは女性が働きやすい環境を整えています
共同エンジニアリングでは、女性技術者が活躍できる環境を整備しています。定期的な面談のほか、女性だけの座談会を開催するなど、女性へのサポートも充実している現場として選ばれているのが強みです。
その結果、当社から派遣している技術者の3割以上が女性と、業界平均の約2倍の水準を実現しています(2022年12月時点)。
また、今回紹介した職種のうち、以下は紹介実績があります。
・施工管理
・CADオペレーター
・BIMオペレーター
・品質管理
・DX推進
そのほか、資格支援研修を通して、国家資格(施工管理技士)を目指せる環境があり、将来的なキャリアプランを含めて専門の担当者へ相談も可能です。年間休日が120日程度あり、ワークライフバランスも確保できます。
面接では求職者に寄り添った対応を心がけ、入社前や研修中のフォロー・サポート体制も整えておりますので、ぜひご相談ください。
女性が建設業・建築業で働く際のポイント

建設業・建築業界は業界全体として女性の活躍推進に向けた取り組みが進められており、多くの企業が女性技術者の採用拡大や労働環境の改善に積極的に取り組んでいます。
加えて、女性が建設業・建築業界で長く活躍するためには、重要なポイントがあります。最後に、転職前に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
希望の働き方を明確化する
将来のライフプランに合わせて、どのような働き方ができるのかを考えておくと安心です。
結婚や出産を見据える場合は、在宅勤務などに対応した職種を選ぶことで、ライフイベントに応じた柔軟な働き方が可能になります。
例えば、CADオペレーターやBIMオペレーターなどの職種は、自宅にインターネット環境があれば業務継続が可能な場合も多く、育児と仕事の両立を図りやすい特徴があります。
働き方や福利厚生を確認する
女性が建設業・建築業界で長期的に活躍するためには、産休・育休を取得しやすい環境が整っているかの確認が重要です。
制度が存在するだけでなく、実際に制度を利用した社員がいるかどうか、復職後のサポート体制が充実しているかなど、具体的な実績や取り組み状況を事前に調査することが大切です。
特に、子育てをしながら働く場合、急な休暇や勤務時間の調整が必要になることがあるため、職場の理解とサポート体制が整っているかが重要です。
ロールモデルとなる先輩社員がいるか
女性技術者のロールモデルとなる先輩社員が在籍しているかどうかも確認すべき点です。
出産や育児を経験しながらキャリアを継続している女性社員がいることで、将来のキャリアパスを具体的にイメージしやすくなります。
企業によっては、女性社員の情報共有やネットワーク形成を支援する制度があるため、そうした取り組みの有無も事前に確認しておくと安心です。
まとめ
「男性の肉体労働」というイメージが強い建設業ですが、建設業は力仕事だけではありません。女性ならではのスキルや感性を強みにして、建設業で活躍している女性は多くいます。
女性が生活と両立しながら活躍できる職種や、企業の就業支援策によって建設業は変わりつつあり、働く女性は今後も増えていくと考えられます。
他の職業よりも高い収入も期待できるため、ぜひ就職・転職先として検討してみてはいかがでしょうか。



