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建設業の職種1.施工管理
建設工事には、予算管理から資材発注、スケジュール調整や作業員の手配に加え、工事に着工する前にも施工計画が必要となります。そのため、それらの業務を一手に担う施工管理部門は、建築現場において不可欠な存在です。
また、ひとくちに施工管理といっても、その職種は多岐にわたります。ここでは施工管理と呼ばれる職種を紹介していきます。
建築施工管理
建築施工管理は、ビルや戸建てなどの住宅・マンションや商業施設など、建物を建設するときの施工管理を行います。業務内容は大きく分けて、施工計画・工程管理・安全管理・品質管理の4種類があります。
建築施工管理職に携わる際、「建築施工管理技士」という国家資格を取得していると優遇されやすくなります。建築施工管理技士の資格区分は、1級と2級に分かれています。資格区分により仕事内容に大きな違いはありませんが、より大きな規模の施工管理に携わりたい場合、1級を取得すると建築現場の選択肢が広がります。
土木施工管理
土木工事は、道路や上下水道・電力・トンネルなどのインフラ整備や保全を行う工事です。発注者の多くが国や地方公共団体などの官公庁といった特徴があります。これらのインフラ整備を行う工事の施工管理の役割を担うのが土木施工管理です。
土木施工管理の国家資格には、土木施工管理技士があり、1級と2級の資格区分に分かれます。2級を取得すると主任技術者になれます。1級は主任技術者に加えて、監理技術者を専任できます。
設備施工管理
設備施工管理の仕事内容は、電気・配管・空調設備・造園・電気通信などの設備に関する工事の施工や工程管理を行います。資格があると優位となるのが、以下の3つの管理です。
管理内容 | 資格 |
電気工事の管理 | 電気工事施工管理技士 |
配管の施工管理 | 管工事施工管理技士 |
通信設備の施工管理 | 電気通信工事施工管理技士 |
これらの資格は必要に応じて取得していけば良く、あらかじめ取得していなくても問題はありません。
プラント施工管理
プラント施工管理は、作業工程のリスク管理・工期スケジュール管理を行います。プラント施工管理独自の作業内容としては、プラントの設計・製造・品質検査などが挙げられます。
プラント施工管理に就くために必須の資格はありませんが、マネジメントスキルや危機管理能力が不可欠です。プラント施工管理については、こちらで詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
建設業の職種2.設計
実際の建設は、着工前に設計や図面の作成を行う必要があります。ここでは設計に関する職種を紹介していきます。
意匠設計
意匠設計とは、建築の外観や内部のデザインを考える設計です。
施主の要望やコンセプトを満足させながら、工程や予算のことも考慮しなければなりません。そのため、施主や社内の専門部署と打ち合わせを行い、施工方法や予算に無理がないデザインとなるように設計します。
構造設計
構造設計とは、建設する建物の安全性に配慮する設計のことです。建築物、設備などの重量に加え、自然災害による外的な力に対し、安全な骨格・土台を設計する役目があります。厳格な建築基準法をクリアすることは前提として、発注者のニーズにも応える設計を目指します。
設備設計
設備設計とは、電気・ガス・給排水・空調などの設備をレイアウトし、インフラを整備する設計です。近年では省エネ・エコ住宅が建築されているため、断熱性・気密性を高めるためにシビアな計算が必要になります。
建物のインフラを問題なく機能させることはもちろん、ランニングコストや室内環境も考慮し、エネルギーを無駄なく利用できる設計を行わなければなりません。
CADオペレーター
CADオペレーターは、CADというコンピューターツールを使用し、設計者やデザイナーが設計した図面の作成や、修正を行います。手書きの図面をCADでトレースする作業もあるため、図面の読解能力や、専門用語を理解できる知識が必要です。
CADオペレーターに必ず必要な資格はありません。CADの専門知識を有している証明として、2次元CAD利用技術者試験や、建築CAD検定などが挙げられます。
CADオペレーターの特徴や将来性については、下記の記事で詳しく紹介しています。建築業界にCADオペレーターとして挑戦したいと考えている方は、参考にしてみてください。
「専門性の高さが重要!将来性のあるCADオペレーターの特徴を紹介」
建設業の職種3.営業
建築業の営業は、業務の属性によって内容が異なります。たとえば、不動産を商材とした顧客への提案では、新規開拓の場合、土地の所有者にマンションやアパートの建築を提案します。数千万規模の提案になるため、顧客の持つ土地の特徴を理解し、周辺環境のリサーチを入念に行ったうえで、工事を受注につなげる仕事です。
また、官公庁が発注する工事の入札にも参加します。公告されている施工内容が自社でも取り扱えるものかを調べ、申請書類を整えて提出します。
営業職のプロフェッショナルを目指すなら、宅地建物取引士資格の取得を視野にいれるのもおすすめです。宅建士しかできない業務があるため、企業でも優遇や昇給が期待できます。
建設業の職種4.技術
建設業には、技術部門も欠かせません。職人を抱えて、フレキシブルに活動している企業も多くあります。ここでは技術部門に関わる職種を紹介していきます。
職人
建設業界の中で職人は、特別なスキルを習得している人を指します。たとえば、とび職人や建具職人などです。
とび職人は、高所での工事・作業を専門にする職人です。建築現場で組み上げられる足場に、特別な図面は用意されません。そのため、足場を組み立てつつ、強度管理や作業の効率化などを考慮する、段取り力が重要な職種です。
また、建具職人は、障子・ふすま・扉といった建具を作ったり設置したりします。伝統技術を用いた和建具から、フラッシュドアや洋建具を扱う場合もあります。開口部の寸法に建具をぴったりと合わせられなければなりません。
技術開発
より快適な住まいを生み出すためには、技術開発が必要不可欠であり、建築材料も日々開発が進んでいます。たとえば、コンクリートに添加する混合材を変更することで、コストダウンを図れたり、耐久性の向上が望めたりします。
ただし、ひび割れの不具合や逆にコストアップのおそれがあるため、従来のものとどのような違いがあるのかを知識や経験で見極めていきます。
建設業の職種5.事務管理
建築業を継続するためには、工事だけでなく事務管理も重要です。事務管理では、主に経理、人事、総務、法務などが行われます。
また、近年では公式ホームページを運営したりSNSで会社の情報を発信したりしている企業も珍しくありません。それらの情報発信を事務管理部が担うケースもあります。
給与や勤怠管理から、請求書の発行、情報発信まで、事務管理者の業務は多岐にわたるため、業務にあわせて臨機応変に対応する能力が求められます。
建設業の職種6.維持管理職
建築業界は新しいものを0から作り上げる側面にフォーカスされがちですが、今ある建造物やインフラを健全な状態で使い続けるために従事する職種もあります。それが維持管理職です。
建築物は建造から年数が経ったり、長期間使用したりするにつれて劣化していくものです。そのため、維持管理職は、電気や水道、道路・鉄道などのインフラを維持していくために定期的な点検やメンテナンスを行います。
寿命を迎える建築物やインフラが増加する中で、維持管理職の需要は世界的にも需要が大きく、今後も拡大していくので将来性があるといえます。
建設業の職種7.安全部門
重機を使用したり、高所作業したりする建設業の現場は、事故のリスクと常に隣り合わせです。そのため、労働災害の防止を喚起する安全部門が必要不可欠となります。現場で危険箇所がないかチェックしたり、社員へ対して安全に関する教育を行います。
また、安全管理部門は、建築現場のきつい・汚い・危険、いわゆる3Kイメージを払しょくするための重要な役割も担っています。
まとめ
働き方改革法の猶予期間が終了することで、2024年から建設業は、労働時間の上限規制や正規・非正規社員の同一労働同一賃金などの制度が適用されます。そのため、建設業では2024年に向けてこれまでの制度・ルールが変わり、働きやすい環境が整えられます。
2023年からは時間外労働の割増賃金率引き上げも行われ、政府主導で働きやすい環境が整えられているため、これから建設業界の就職や転職を志す若手や女性でも挑戦しやすい環境になっていくことが期待できます。