ビルメンテナンスの仕事に役立つ資格8選!取得難易度は?

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ビルメンテナンスの仕事に就く上で有利になる資格はあるのでしょうか。 今回は、ビルメンテナンス業務で役立つ資格として「4点セット」や「三種の神器」などの試験概要を難易度を交えながら紹介します。ビルメンテナンス業界への転職を検討されている方はぜひ参考にしてください。

ビルメンテナンスの仕事に資格は必要?

ビルメンテナンスの仕事は、資格の有無で業務内容が異なります。

資格を保有していなくてもできる業務は、主に日常清掃や定期清掃です。

フロアの掃除機がけ、トイレの清掃、ごみ出しなどの日常清掃では行き届かないフロアのワックス掛けやカーペットクリーニング、高所のガラス窓拭きなどを定期清掃で行います。

資格が必須の業務には、ビル管理や電気工事、危険物の取り扱いなどがあります。

需要の高い資格の有無は、収入だけでなく、その後のキャリアアップにも大きく影響する要素です。なかには学歴や年齢、実務経験を問わず、チャレンジできる資格もあります。

ビルメンテナンスの仕事内容や収入、業界の現状について詳しくは、下記の記事もご覧ください。

ビルメンテナンスの仕事内容がわかる!平均年収と収入を増やす方法
ビルメンテナンス業界の現状と今後は?課題や解決策を解説

「4点セット」と呼ばれるビルメンテナンスの資格

ビルメンテナンス業界で取得を推奨される入門レベルの資格は「4点セット」と呼ばれています。難易度が低めで、未経験からでも挑戦できる資格ばかりです。

まずは、4点セットと呼ばれる資格の概要について解説します。

第二種電気工事士

第二種電気工事士は、ビルの電気設備の保守管理に必須の国家資格です。

ビルや工場などの電気工事作業には、電気工事士の資格が必要です。第二種電気工事士の資格があれば、600V以下で受電する場所の配線や電気設備などの小規模な電気工事に従事できます。

具体的には、ビルや店舗などにおいて、コンセントや壁スイッチの交換・移設、防犯カメラの取り付けなどが可能です。

試験は年2回実施されます。年齢や学歴などの受験資格は特に設けられていません。令和6年度合格率は69.5%でした。

出題形式

学科試験:CBT方式もしくは筆記方式

技能試験

試験時間

学科試験:120分

技能試験:40分

合格ライン

学科試験:60%以上

技能試験:欠陥なく配線図を施工できる

合格難易度

初級

受験費用(非課税)

インターネット申し込み:9,300円

郵送で書面の申し込み:9,600円

※インターネット申し込みが原則

運営元

一般財団法人 電気技術者試験センター

URL

https://www.shiken.or.jp/

関連記事:
電気工事士は『やめとけ』といわれる理由は?魅力や向いている人の特徴も解説
第二種電気工事士に合格するための勉強時間や方法・スケジュール

危険物取扱者乙種4類

危険物取扱者乙種4類は、通称「乙4」と呼ばれる国家資格です。危険物取扱者は甲種、乙種、丙種の3種類あり、このうち乙種は扱える危険物の種類によって6類に分かれます。

危険物取扱者乙種4類は、ガソリンや灯油など、引火性液体の取り扱いが可能です。

引火性液体はビルのボイラーや非常用発電機の燃料に使用される場合があることから、ビルメンテナンス業界でも目指す方が多い人気の資格に数えられます。

乙種の資格試験には実務経験は不要で、誰でも受験可能です。受験者数が多いため、難易度は初級ですが合格率は比較的低く、令和6年度は31.9%という結果でした。

出題形式

筆記試験:五肢択一のマークシート方式

試験時間

120分

合格ライン

60%以上

合格難易度

初級

受験費用(非課税)

5,300円

運営元

一般社団法人 消防試験研究センター

URL

https://www.shoubo-shiken.or.jp/

危険物の取り扱い業務がある企業へのアピールポイントになり、ビルメンテナンス業界での市場価値も高められるでしょう。

出典:一般社団法人 消防試験研究センター「試験実施状況

二級ボイラー技士

二級ボイラー技士は、伝熱面積が25㎡未満のボイラーの運転、維持管理ができる国家資格です。冷暖房、温泉、大浴場、プールなどのエネルギー源として使用されるボイラーの点検、保守、管理業務に従事できます。

学歴や実務経験などの受験資格は特にありませんが、合格後に一定の実務経験が求められます。難易度は高くなく、令和5年度の合格率は54.7%でした。

出題形式

筆記試験:五肢択一のマークシート方式

試験時間

180分

合格ライン

各科目40%以上かつ合計点が60%以上

合格難易度

初級

受験費用(非課税)

8,800円

運営元

公益財団法人 安全衛生技術試験協会

URL

https://www.exam.or.jp/

ボイラー技士は、簡易ボイラーや小型ボイラーを除き、ボイラーの取り扱いには必須の資格です。

二級を保有していれば、ボイラーの基礎知識を有している証明となります。ボイラー設備のある施設も多く、ビルメンテナンス業界でも一定の需要が見込まれます。

出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 「労働安全衛生法・作業環境測定法に基づく試験

第三種冷凍機械責任者

冷凍機械責任者は、高圧ガスを扱う事業所で保守業務にあたる「高圧ガス製造保安責任者」の一種で、冷凍機械や空調設備の保守管理を担う国家資格です。

第三種冷凍機械責任者は、冷凍能力が1日あたり100t未満の製造施設で業務に従事できます。

食品工場、倉庫、病院などの冷凍設備で点検や保守、メンテナンスにあたるほか、高圧ガスを使用する大規模な空調設備のあるビルなどでも活かせる資格です。

年齢、学歴などの受験資格は特にありません。試験は年に1回行われています。令和6年度の全科目受験の合格率は36.1%でしたが、効率よく対策を行えば決して難しくありません。

出題形式

筆記試験:択一のマークシート方式

試験時間

法令:60分

保安管理技術:120分

合格ライン

各科目とも60%程度

合格難易度

初級

受験費用(非課税)

9,800円

運営元

高圧ガス保安協会

URL

https://www.khk.or.jp/

冷凍機械や空調設備に関する専門的な知識と技術の証明となる資格で、ビルメンテナンス業界での評価が高まるだけでなく、病院や工場、倉庫など、活躍の場が広がります。

出典:高圧ガス保安協会 「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表

「三種の神器」と呼ばれるビルメンテナンスの資格

ビルメンテナンスになくてはならない3つの上級資格は「三種の神器」と呼ばれます。これらはいずれも難易度が高めで、ビルメンテナンス業界でのキャリアアップや収入に影響する希少性の高い資格です。

次に、三種の神器といわれる3つの資格について紹介します。

電験三種

電験三種の正式名称は「第三種電気主任技術者試験」といいます。電気主任技術者試験のうち、電圧5万V未満の電気設備の保安監督にあたる国家資格です。

ビルや工場、店舗などで選任が義務付けられており、電気のスペシャリストとしてビルメンテナンス業界でも高い需要があります。

試験日は上期と下期の年2回です。受験資格は特にありません。令和6年度上期の合格率は16.0%でした。

出題形式

学科試験:CBT方式もしくは筆記方式

試験時間

理論:90分

電力:90分

機械:90分

法規:65分

合格ライン

各科目とも60%程度

合格難易度

上級

受験費用(非課税)

インターネット申し込み:7,700円

郵送で書面の申し込み:8,100円

※インターネット申込みが原則

運営元

一般財団法人 電気技術者試験センター

URL

https://www.shiken.or.jp/

ビルや工場のほか、再生可能エネルギーの発電設備などでも、今後は需要が高まることが予想されます。

上位資格の電験二種、一種も取得できれば、さらなるキャリアアップや収入アップにつながる可能性もあります。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 「令和6年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について

ビル管理士

ビル管理士は、3000㎡以上の施設に選任が義務付けられた国家資格です。正式名称は「建築物環境衛生管理技術者」といいます。

空気環境や水質、清掃、害虫防除などの管理、設備点検、保健所による立入検査の対応など、環境衛生の維持管理に従事します。

試験は年に1回実施されます。受験資格として、指定の施設において2年以上の実務経験が求められます。令和6年度の合格率は23.2%でした。

出題形式

筆記試験:五肢択一のマークシート方式

試験時間

午前:3時間

午後:3時間

合格ライン

各科目の40%以上かつ全体の65%程度

合格難易度

上級

受験費用(非課税)

13,900円

運営元

公益財団法人日本建築衛生管理教育センター

URL

https://www.jahmec.or.jp/

なお、試験の受験以外に、建築物環境衛生管理技術者講習会の受講によっても資格を取得できます 。

ただし、学歴や実務経験などの受講資格が定められているほか、101時間の講習を受ける必要があります。

出典:公益財団法人日本建築衛生管理教育センター 「令和6年度建築物環境衛生管理技術者試験の合格者発表について

関連記事: 「ビル管理士の資格取得の難易度は?合格するための勉強法

エネルギー管理士

エネルギー管理士は、工場や事業所におけるエネルギー使用の合理化や監視を担う国家資格です。

電気やガスなどのエネルギー源の効率的な運用計画の策定、設備の維持管理などに従事します。

受験資格は特に設けられておらず、年に1回実施される試験に合格すれば、資格を取得できます。

エネルギー管理士研修の受講による資格の取得も可能です。令和6年度の合格率は37.0%でした。

出題形式

筆記試験:マークシート方式

試験時間

必須基礎区分:80分

専門区分:300分

合格ライン

各科目とも60%程度

合格難易度

上級

受験費用(非課税)

17,000円

運営元

一般財団法人 省エネルギーセンター 

URL

https://www.eccj.or.jp/index.html

なお、特定事業者は、年間のエネルギー使用量に応じてエネルギー管理者やエネルギー管理員の配置義務があります。

エネルギー管理者はエネルギー管理士の資格取得者から、エネルギー管理員はエネルギー管理士の資格取得者と新規講習の修了者から選任されるため、一定の需要が見込まれます。

また、近年では環境に配慮した経済活動が活発化していることも、エネルギー管理士の需要を後押ししています。

出典:一般社団法人全国エネルギー管理士連盟「エネルギー管理士情報

関連記事:「エネルギー管理士の難易度は?合格に必要な勉強時間や勉強方法も解説

「8点セット」と呼ばれるビルメンテナンスの資格

4点セットと三種の神器に「消防設備士」を加えた8資格は、ビルメンテナンスの「8点セット」と呼ばれます。

続いて、消防設備士について詳しくみていきましょう。

消防設備士

消防設備士は、建物に設置された消火器や火災報知器といった消防設備の設置、整備などに必要な国家資格です。

甲種と乙種の2種類があり、消防設備の設置や交換、点検、整備のすべてに対応できる甲種に対して、乙種は整備、点検のみに従事します。

甲種の受験資格として学歴や実務経験などが定められているものの、乙種には特に制限がありません。令和6年度の合格率は甲種が29.5%、乙種が37.7%でした。

出題形式

甲種特類

筆記試験:四肢択一


甲種特類以外

筆記試験:四肢択一

実技試験:記述式

試験時間

甲種特類:165分

甲種(特類以外):195分

乙種:105分

合格ライン

甲種特類:各科目40%以上かつ全体の60%以上

甲種特類以外:筆記試験の各科目で40%以上かつ全体の60%以上、実技試験の60%以上

合格難易度

上級

受験費用(非課税)

甲種:6,600円

乙種:4,400円

運営元

一般社団法人 消防試験研究センター

URL

https://www.shoubo-shiken.or.jp/

難易度は高いものの、消防設備士や電気工事士などの資格取得者は試験の一部免除もあり、必要な対策を講じることで十分に合格を狙えます。

出典:一般社団法人 消防試験研究センター「試験実施状況

まとめ

必ずしもビルメンテナンスの業務に資格は必要ありませんが、今回紹介した資格を保有していれば、ビルメンテナンス業界への転職で有利に働きます。

共同エンジニアリングのビルメンテナンス求人では、未経験を募集しており、資格取得を支援しつつ、未経験から活躍できる職場環境を提供しています。入社前のフォローや研修中のサポート体制も整っているため、経験や職種にかかわらず、思い切ってビルメンテナンス業界の仕事に挑戦していただけるでしょう。

資格取得支援制度も充実しておりますので、働きながらキャリアアップを目指したい方はぜひお気軽にご相談ください。

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