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第二種電気工事士の概要

電気工事士は、電気工事法に定められた国家資格です。電気設備の設置や変更などの電気工事に従事するためには、電気工事士の資格が必要です。
電気工事士の資格には、第二種電気工事士と第一種電気工事士があります。第二種電気工事士は、一般用電気工作物を扱える資格です。600V以下で受電する一般住宅や店舗などの小規模施設の屋内配線工事や家庭用などの小規模な太陽電池設備工事などに従事できます。
なお、第二種電気工事士の資格だけでは自家用電気工作物に関する電気工事には従事できません。ただし、指定の講座を受講すれば、自家用電気工作物に関連する簡易電気工事に従事することが可能です。
第二種電気工事士の資格を得るには、学科試験と技能試験の両方に合格することが必要です。
電気工事士になるべきかどうかについては、下記の記事で詳細を解説しています。 「電気工事士は「やめとけ」といわれる理由は?魅力や向いている人の特徴も解説」
学科試験
学科試験は、電気の基礎理論や配電、関連する法令などについて知識が問われる試験です。マークシート方式で、希望すればPCで回答するCBT方式でも受験できます。合格基準は、100点満点中60点です。
なお、学科試験に合格すれば、技能試験で不合格になっても、次回の試験で学科試験が免除される制度もあります。
試験時間 | 2時間 |
出題形式 | 四肢択一のマークシート方式(希望する場合はCBT方式) |
問題数 | 50問 |
合格基準点 | 60点 |
出題範囲 | 1.電気に関する基礎理論(電流・電圧・電力・電気抵抗や電気回路の計算など) 2.配電理論および配線設計(配線や配電方式など) 3.電気機器、配線器具、電気工事用の材料・工具(性能や用途について) 4.電気工事の施工方法(配線工事の方法など) 5.一般用電気工作物などの検査方法(導通試験の方法など) 6.配線図(表示事項や表示方法) 7.一般用電気工作物などの保安に関する法令(電気工事法など) |
免除制度 | 1.前回・前々回の学科試験に合格している場合は学科試験の免除が認められます。 2.電気工事士法に定める電気工学課程の修了者は学科試験が免除されます。 3.第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の取得者、または旧・電気事業主任技術者の有資格者は学科試験が免除されます。 4.改正前の鉱山保安法で電気保安に関する事項を分掌する係員の試験合格者は学科試験が免除されます。 5.旧自家用電気工作物施設規則で電気技術に相当の知識経験があると認められる場合は学科試験が免除されます。 |
出典:一般財団法人電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」
技能試験
技能試験は、与えられた問題に従って、実際の工具を使用しながら作品を製作する試験です。電動でない作業用工具は自分で用意する必要があります。
第二種電気工事士の課題は、事前に公表されるのが特徴です。技能試験で製作する13課題の単線図が事前に公表されるため、試験を想定した練習時間が設けられます。
なお、技能試験で求められるのは、単線図に従って、試験時間内に欠陥のない作品を作り上げることです。限られた時間内でミスなく製作することが求められます。
試験時間 | 40分 |
出題形式 | 実技(与えられた問題を支給材料で一定時間内に完成させる) |
問題数 | 13課題のうち1課題(試験範囲の全部または一部を実施) |
合格基準点 | 作品に欠陥がないこと |
出題範囲 | ・電線の接続 ・配線工事 ・電気機器および配線器具設置 ・電気機器、配線器具、電気工事用の材料、工具の使用方法 ・コードおよびキャブタイヤケーブル取り付け ・接地工事 ・電流、電圧、電力、電気抵抗の測定 ・一般用電気工作物などの検査 ・一般用電気工作物などの故障部分の修理 |
出典:一般財団法人電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験」
第二種電気工事士「学科試験」の勉強方法

第二種電気工事士の試験内容を踏まえ、どのように学習を進めていけば良いのでしょうか。まずは、学科試験の学習方法について紹介します。
計算問題の傾向と対策
第二種電気工事士の学科試験は、毎年似たような構成で、分野別の出題数もおおむね同じ傾向にあります。
計算で頻出する分野は、直流回路、交流回路、三相交流回路、電力損失、電圧降下などです。計算問題を苦手としている場合は、出題数が多くないため、後回しにして学習を進める方法もあります。
ただし、完全に計算問題を捨てないことがポイントです。計算問題を捨てると、他の部分でのミスが合否に大きく影響を及ぼす可能性があります。計算問題が苦手な場合は、簡単な問題を優先して学習を進めましょう。公式を暗記し、過去問を反復して問題に慣れるのがおすすめです。
知識問題の傾向と対策
知識問題は、電気工事に関連する用語や法令、配線図、配線図記号などを中心に構成されます。問題のバリエーションも豊富で、正誤問題のほかにも、写真から使用方法を回答する問題、図面の記号から器具を回答する問題などがあります。
すべての学習範囲からまんべんなく出題されるため、得意な分野から学習を進め、関連性のある分野を学習するのが効率的です。テキストや参考書を利用して暗記を進め、過去問を活用して繰り返し問題を解くことで試験の感覚をつかみましょう。
第二種電気工事士「技能試験」の勉強方法
第二種電気工事士の技能試験の勉強方法やポイントを紹介します。
複線図の練習
複線図とは、電気の行き来する経路を複数の線で表した詳細な図面のことです。複線図は実技において必ず作成しなければならないものではありませんが、その後実際に行う施工に役立ちます。
第二種電気工事士の技能試験では、与えられた単線図を複線図に書き換え、実際に作品を製作するのが一般的です。
実技において作品を完成させるには、複線図を完璧かつ素早く描くスキルが求められます。完成までの時間を考慮すると、5分以内に複線図を仕上げられるようにしておきましょう。問題を見て、すぐに複線図を描けるようになるまで練習します。
複線図は、簡単なものから取り組み、まずは仕組みを理解しましょう。実技の問題は事前に公表されるため、完成写真からイメージして仕組みを考える練習にも役立ちます。
繰り返し施工練習
ケーブルの外装または内装の剥ぎ取り、ランプレセプタクル結線用の輪の作成など、基本的な作業は確実に実行できるよう繰り返し練習しましょう。完璧に作成できるようにすることで、試験当日も慌てずに施工できるようになります。
また、反復して練習することは、効率の良い方法を見つけるのにも役立ちます。施工手順を覚えて、自分自身でやりやすい方法を確立しておきましょう。
なお、実技の試験時間は40分です。練習の初期段階では時間はあまり気にする必要はありませんが、最終的に40分以内で完成できるように、徐々に時間を意識した練習に切り替えていきましょう。公表されたすべての公表問題について、2回以上練習すると良いです。
第二種電気工事士取得に必要な勉強時間
第二種電気工事士の合格に必要な勉強時間は個人差があります。おおむね30時間~150時間程度です。電気に関する知識や経験によって、勉強時間が変動することもあります。
なお、毎日短い時間でもコツコツ学習を進めれば数か月でも合格を目指せる資格です。他の膨大な学習時間が必要な資格などと比べると、難しい資格ではないといえます。
第二種電気工事士に合格するための学習のコツ

第二種電気工事士の資格に合格するには、どのように学習を進めていけば良いのでしょうか。意識したい学習のポイントを3つ紹介します。
概要を把握する
電気工事士の試験は、まったく知識のない段階でテキスト通りに進めると、学習効率が下がってしまう可能性があります。まずは、どのような範囲が試験で問われるのか、テキストから試験の全体像を把握しましょう。
テキストの内容をすべて完全に理解する必要はありません。まずはひと通り目を通し、その後問題を解くのが効率的です。全体を読んで難しい部分は後回しにして、内容をある程度理解することを優先します。
過去問を繰り返し解く
電気工事士の試験に合格するには、問題に慣れることが重要です。テキストから試験の概要や範囲をある程度理解した後は、過去問で問題演習に取り組みます。
過去問は繰り返し何度も解くようにしましょう。過去問に取り組むことで、試験の出題傾向を把握でき、問題にも慣れることができます。出題頻度の高い分野から始めて、試験で得点できるようにすることが重要です。過去10年分程度を目安に過去問に取り組みます。
技能試験の練習を行う
第二種電気工事士の試験は、学科試験の後に技能試験があります。学科試験に合格したのちは、技能試験の練習に取り組みましょう。
効率良く作品を製作できるように、複線図の書き方から覚えます。最新の候補問題を2週以上反復して取り組み、本番でも問題なく取り組めるように準備しておきましょう。制限時間が設けられているため、時間を意識した練習がポイントです。
まとめ
第二種電気工事士は、家庭用の配電工事などに従事できる国家資格です。第二種電気工事士の資格を取得するには、学科試験と技能試験の両方に合格する必要があります。技能試験に合格するには、工具の正しい使い方の知識や練習が必要です。
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