BIMオペレーターになるには?仕事内容やスキルも解説

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これから建設業の仕事に就きたいと考えているなら、BIMオペレーターを目指すのも選択肢のひとつです。現在建設業界では、大規模なプロジェクトを中心にBIMの導入が進んでおり、オペレーターの需要が高まっています。今回は、BIMオペレーターの業務内容について解説しながら、仕事の魅力、求められる資格やスキル、目指す方法を詳しく紹介します。

BIMとは?

BIM(Building Information Modeling)とは、建設物の設計から予算管理、施工、メンテナンスまで共通して使えるワークフローです。現在、建設業界で主流になりつつあり、次の代表的なソフトが使われています。

・ARCHICAD(Graphisoft社)
・Revit(Autodesk社)
・GLOOBE(福井コンピュータアーキテクト株式会社)
・Rebro(株式会社NYKシステムズ)

BIMソフトは従来のCADとは異なり、直接3次元で建物の図面を起こしていくのが特徴です。図面から完成をイメージしやすく、各工程を一元管理して業務効率を高められるため、生産性の向上に有効だと期待されています。

BIMオペレーターの仕事の内容

BIMオペレーターとは、設計士の指示のもと、おもにBIMソフトで図面の作成や修正を行う職種を指します。以下の通り、CADオペレーターと共通した業務が多くあります。

・設計補助
・モデリング
・図面のトレース
・3Dデータの作成
・3D図面のチェック

設計補助以外にも、建築用データの登録、ライブラリーの作成、BIM業務全体のマネジメントまで多岐にわたる業務を担当します。機能が豊富なBIMソフトを使いこなすには、より多くの知識や技術が必要です。

BIMは建設業界で積極的に導入されていて、オペレーターは建築会社・ゼネコン・設計事務所と、幅広い職場で需要があります。

また、雇用形態も正社員・派遣社員・アルバイト・フリーランスとさまざまで、テレワークや在宅で働ける企業もあります。

BIMオペレーターの需要や将来性

BIMオペレーターは、主に建設会社や設計事務所などで需要がある仕事です。

ここでは、BIMオペレーターが求められる背景やBIM関連の動向を紹介します。

国土交通省はBIMを推進している

国土交通省は、i-Construction(アイ・コンストラクション)を推進しています。

i-Constructionとは、建設現場においてICTを全面的に活用する取り組みです。ICTとは、コンピューターや通信機器などの情報通信技術を指します。

建設現場でICTの利用を進めることで、生産性向上や管理の高度化が期待されています。

近年は、情報通信技術の中でも、BIMが国際的な進展を見せるようになりました。国土交通省では、建設業において、3次元のデータをベースにしたシステムを実現できるように、BIM/CIMを推進しています。

国土交通省からは、令和4年3月に「BIM/CIM活用ガイドライン」の案が公表されました。さらに、令和7年3月には、BIM/CIM取扱要領や土木業務関連のBIM/CIM適用に関する実施方針を公表しています。

出典:
国土交通省「BIM/CIM関連
国土交通省「i-Construction

民間ではBIMの導入が増えている

大手企業を中心にBIMの導入が見られるようになりました。国土交通省がBIMの推進に伴い、公共事業でBIMに徐々に移行していることも、大手で積極的に導入されている要因のひとつです。

また、BIMで作成する3Dモデルが、複雑化した建造物の設計に適している理由もあります。大規模なプロジェクトでは建造物の構造が複雑化しやすいケースもあり、BIMは標準化しつつあります。

ただし、BIMと比較すると、以前から利用されているCADのほうが需要は高い状況です。しかし、建設業のICT活用が進むことにより、中小企業などでもBIMを導入する企業が増え、BIMオペレーターの需要も増加すると期待されています。

BIMオペレーターのやりがいや魅力

BIMオペレーターの仕事の魅力は、次の通りです。

・経験重視なので学歴や年齢を問わず活躍できる
・モノづくりの喜びを味わえる
・仕事を通じて多くの人と出会える
・作業フローにやり直しが発生しにくく業務負担が少ない

それぞれを詳しく解説していきましょう。

経験重視なので学歴や年齢を問わず活躍できる

BIMオペレーターの求人では、経験が重視されるのが一般的です。多くの企業が学歴や年齢不問で募集していて、男女を問わず、幅広い年齢で採用される可能性があります。BIMの業務が未経験でも、共通する業務が多いCADオペレーターの実績があれば、転職は夢ではありません。

また、次のようなBIM関連の資格を取得すれば、給料アップや将来的な転職にも有利です。

・ARCHICADオンライン認定試験
・Revit Architectureユーザー試験
・BIMプロフェッショナル認証

モノづくりの喜びを味わえる

BIMソフトを扱えるようになると、自分が作成した図面どおりに建物ができあがる醍醐味を味わえます。BIMオペレーターは作図を担当するだけでなく、各工程をとおして建物が完成していく様子を見守れるため、CADオペレーター以上に感動や喜びが大きいのです。

BIMは比較的規模が大きいプロジェクトにかかわる機会が多いので、難しい現場ほどやりがいがあり、完成したときの喜びは大きくなります。

仕事を通じて多くの人と出会える

建設の現場に携わる人は多く、さまざまな職種の人間が一緒に働きます。お互いに意見を出して協力しあうことで人脈が広がり、人間的に成長できるのもBIMオペレーターの仕事の魅力のひとつです。

プロジェクトの規模が大きいほど出会える人の数が増え、多くの仲間と喜びや達成感を共有できる仕事なので、やりがいをもって取り組めます。

作業フローにやり直しが発生しにくく業務負担が少ない

BIMソフトは干渉チェックが少なく、業務をスムーズに進められるのもポイントです。干渉チェックとは、起こした図面で柱や梁などが重なっていないか確認する作業工程を指します。

BIMでは3次元モデルで直接図面を起こしていくため干渉が発生しにくい傾向があり、作業をやり直す手間があまりかかりません。BIMソフトの扱いに慣れれば設計のミスが生じるリスクが少なく、ストレスを減らして仕事に取り組めます。

BIMオペレーターに求められる資質やスキル

BIMオペレーターに求められる資質やスキルは、次のとおりです。

・PCスキル
・コミュニケーションスキル
・責任感
・プログラミングスキル

なお、CADオペレーターに向いている人の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしましょう。

CADオペレーターに向いている人の特徴!必要なスキルは?

PCスキル

PCスキルは、BIMオペレーターにとって必須条件です。仕事の性質上、長時間PCに向き合う作業が多いため、細かい作業を丁寧にこなせる人が向いています。

PC関連の知識や技術は、未経験でもスクールや現場で働きながら学べます。BIMソフトだけでなく、Office系ソフトにも習熟しておくのが理想です。BIMソフトは定期的にアップデートが行われていくため、学習を継続して新しい技術を積極的に学ぶ姿勢も求められます。

コミュニケーションスキル

BIMオペレーターはチームでの仕事が多いため、コミュニケーション能力が必要です。円滑な交流ができれば、職場で良い信頼関係が築けます。

BIMソフトで図面を作り上げていくには、わからないことを素直に質問し、設計士や作業員の要望を速やかに汲み取るスキルが必須です。ときには、自分の意見をしっかり示す必要もあります。

責任感

仕事に対する熱意があることも、BIMオペレーターに欠かせない資質のひとつです。BIMソフトが使われるのは高層ビル・病院・スポーツ施設・商業施設などの大規模プロジェクトが多いため、責任をもって仕事に取り組む必要があります。

また、一人ひとりの仕事がプロジェクトの進行を左右するため、チームで協力しながら自分自身の仕事をしっかりこなす意欲が求められます。

プログラミングスキル

BIMソフトでの作業を自動化するためには、プログラミングスキルが必要です。ソフトを自動化すれば業務の効率が上がり、仕事がスムーズにすすむので現場で重宝されます。

BIMオペレーター向けの資格

BIMオペレーターになるために、資格は必須要件ではありません。しかし、資格があることで、BIMオペレーターとして仕事で知識を活用できるメリットがあります。 BIM関連でおすすめの資格を3つ紹介します。

BIM利用技術者試験

BIM利用技術者試験は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する資格です。BIMを利用する方が身に付けておくべき知識や技能が試験では問われます。国土交通省が推進する建築確認申請のフローをもとに試験問題が作成されています。

試験のランクは、1級、準1級、2級の3つです。2級は筆記のみの試験で、随時受付が行われています。

1級と準1級は、BIMソフトを使用した実技試験があり、受験するには、準1級は2級、1級は準1級の資格がそれぞれ必要です。

Revit Architecture ユーザー試験

Revit Architecture ユーザー試験は、オートデスクの認定資格プログラムのひとつです。BIMソフトのRevitの基礎知識や操作技術が問われます。

試験では、選択式の問題のほか、実際にソフトウェアを利用して回答する問題もあります。50時間以上のRevitの使用が推奨されている試験です。

Revitは、BIMソフトの中でもメジャーな製品のひとつです。業務でRevitを使用した経験がある、もしくは仕事でRevitを使用する可能性がある方に向いています。

Archicad BIM 認定試験

Archicad BIM 認定試験は、Archicadを制作するグラフィックソフトが主催する試験です。Archicad BIMは、直感的なインターフェースと効率的な情報共有を特長としています。

Archicad BIM 認定試験は、Forward / VIP service 会員と教育版ライセンス所有者が受験できるBIMやArchicadの知識を証明する試験です。

BIMの基礎やArchicadの基本モデリングツールの利用に適した「Archicad BIM User 認定試験」とArchicadの応用的な利用に適した「Archicad BIM Author 認定試験」の2種類があります。

BIMオペレーターになるには

BIMオペレーターは、未経験でも就業が可能です。同じ建設関連の仕事でも、建築士のように必須の資格はありません。より有利に就職活動をすすめたい場合は、スクールや通信講座などでBIM関連のソフトを学んでおきましょう。

また、建設業未経験でBIMオペレーターを目指すなら、CADオペレーターからキャリアアップするのが早道です。未経験の場合はCADオペレーターのほうが採用されやすい傾向があり、建設現場の実務をあわせて学べます。

共同エンジニアリングでは、CADオペレーター・BIMオペレーターの未経験者向け研修が充実しています。知識や技術を習得しやすく、建設業未経験でもスムーズに現場で活躍しやすいため、まずはお気軽にご応募ください。

まとめ

BIMオペレーターとは、3次元のモデルを使ったBIMソフトを利用して図面の作成・修正を行うスペシャリストです。業務全般のマネジメントも担当するやりがいのある仕事なので、ぜひ就業を目指してください。BIMオペレーターになるために必須の資格はなく、未経験でも就業できます。未経験者向けの研修制度が充実した会社を選んで、夢を実現させましょう。