目次
2級土木施工管理技士とは
2級土木施工管理技士は国土交通省が管轄する国家資格で、試験は「一般財団法人 全国建設研修センター」が実施しています。土木工事における施工計画の作成や工程管理、安全管理、品質管理などを遂行するために必要な資格です。
2級土木施工管理技術検定の試験種別には、「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」があり、合格すると当該分野における「主任技術者」または「専任技術者」として働くことが可能です。
2級土木施工管理技士は比較的小規模な工事の施工管理を担当する技術者向けの資格ですが、保有していれば「土木施工管理のプロ」として現場でも認められるでしょう。2級土木施工管理技士の上位資格には「1級土木施工管理技士」があり、取得すれば監理技術者として規模の大きい現場の指揮を執れるようになります。
2級土木施工管理技士を取得するメリット
2級土木施工管理技士は専門性の高い資格であり、試験に合格するのは容易ではありません。しかし、取得することで転職やキャリアアップに役立つなどのメリットがあります。下記で、2級土木施工管理技士を取得するメリットについて解説します。
メリット1|スキルを客観的に証明できる
2級土木施工管理技士は国土交通省が認める「国家資格」であり、取得することで土木工事に関する専門的な知識とスキルをもっていることが公的に証明されます。したがって、現場のチームや顧客から技術者としての信頼を得やすくなります。
また、2級土木施工管理技士は建設業法に基づき、「主任技術者」として工事現場の責任者を務めることが可能です。主任技術者は、工事の計画や進行を管理する中核的なポジションであり、施工に関する重要な意思決定を任されます。責任が大きくなる大変さはありますが、その分プロジェクトを完遂したときの達成感も増します。
メリット2|転職時に有利にはたらく
建設業界は人手不足に陥っており、未経験者でも転職可能です。とはいえ、アピール材料の乏しい未経験者よりも、経験者のほうが選考を有利に進められます。2級土木施工管理技士は一定の実務経験が必要な資格であり、取得することで一定の経験値とスキルをアピールできます。
また、一定規模の工事では「主任技術者」の配置が義務付けられていることから、資格をもつ人材は建設現場で不可欠です。2級土木施工管理技士を取得すれば、「幅広く業務をこなせる即戦力の人材」として転職市場で高い評価を得られます。
メリット3|年収が上がる
2級土木施工管理技士を取得すると、主任技術者や専任技術者といった責任のあるポジションを任せられるようになり、職責に応じた給与アップに期待できます。
また、資格取得時のお祝い金や資格手当を設けている建設会社も多くあります。2級土木施工管理技士の資格手当の相場は数千円から1万円程度で、一度資格を取得すれば継続的に手当が支給されるため、長期的な年収アップが可能です。
メリット4|一級土木施工管理技士に挑戦しやすくなる
2級土木施工管理技士の資格を取得することで、上位資格である「1級土木施工管理技士」に挑戦しやすくなります。なぜなら、2級土木施工管理技士の資格取得によって培った基礎知識やノウハウは、難易度の高い1級の試験でも役に立つためです。
1級土木施工管理技士を取得できれば、主任技術者より立場が上の「監理技術者」として工事全体の指揮を執れるようになり、さらなる年収アップが期待できます。また、転職の際にはさらなる専門性をアピールできるため、選考を有利に進められます。
出典:一般財団法人 全国建設研修センター「1級土木施工管理技術検定」
2級土木施工管理技士の仕事内容
2級土木施工管理技士は土木工事現場において、安全かつ効率的に工事を進めるための施工管理を担当します。下記は仕事内容の一例です。
・施工計画の立案:工事を円滑に進めるために、工程表の作成や予算管理をします。
・現場の工程管理:工事が計画通りに進むよう、工事の進行状況を適宜確認し、必要に応じてスケジュールを調整します。
・品質管理:完成した工事が基準を満たしていることを確認します。
・安全管理:作業員や周囲の人々の安全を守るための管理を徹底します。
上記のほかにも、主任技術者として作業員や下請け業者への指導、発注者や周辺住民との連絡・相談、事務手続きなど、仕事内容は多岐にわたります。
2級土木施工管理技士は、道路工事や河川工事、下水道工事、橋梁の修繕工事といったインフラにも関わります。主任技術者として、規模の大きな現場でプロフェッショナルな働き方ができる点が魅力です。
2級土木施工管理技士の難易度
一般的に難しいといわれる2級土木施工管理技士の試験ですが、実際にどの程度の難易度なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。下記では、2級土木施工管理技士の難易度を、合格率をもとに解説します。
第一次検定の難易度
下記は、国土交通省が公表している2級土木施工管理技術検定 第一次検定の合格率です。
【第一次検定】
令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
受検者数 | 30,160人 | 27,915人 | 43,501人 |
合格者数 | 21,876人 | 17,814人 | 21,339人 |
合格率 | 72.5% | 63.8% | 49.0% |
上記の表からわかるように、合格率は年々減少しています。今後も難易度が上がっていく可能性が考えられるため、万全な対策をして検定に臨みましょう。なお、2級土木施工管理技術検定の合格に必要な学習時間の目安は、約300〜400時間です。
引用:
国土交通省「報道発表資料:令和5年度技術検定結果について」
国土交通省「報道発表資料:令和4年度 2級土木施工管理技術検定 「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表」
国土交通省「報道発表資料:令和3年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表」
第二次検定の難易度
下記は、国土交通省が公表している2級土木施工管理技術検定 第二次検定の合格率です。
【第二次検定】
令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
受検者数 | 29,112人 | 32,916人 | 26,507人 |
合格者数 | 11,838人 | 12,409人 | 16,583人 |
合格率 | 40.7% | 37.7% | 62.6% |
第一次検定とは異なり、令和5年度の合格率は高い数値になっています。とはいえ、第二次検定は第一次検定よりも専門的な知識が問われるため、油断しないことが大切です。
引用:
国土交通省「報道発表資料:令和5年度技術検定結果について」
国土交通省「報道発表資料:令和4年度 2級土木施工管理技術検定 「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表」
国土交通省「報道発表資料:令和3年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表」
2級土木施工管理技士の試験概要
2級土木施工管理技術検定の学習に臨む前に、試験概要を押さえておきましょう。下記では、受検資格や試験内容、合格基準について解説します。なお、下記で記載するのは令和6年11月時点での情報です。最新の情報は公式サイトで確認してみてください。
出典:一般財団法人 全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定」
試験概要1|受検資格
制度改正にともない、令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が変更されています。下記は、令和6年度以降の2級土木施工管理技術検定の受検資格です。
第一次検定 | 第二次検定 |
17歳以上(受検年度末時点での年齢) | 【1級 第一次検定合格者】 【2級 第一次検定合格者】 【技術士第二次試験合格者 (土木施工管理技術検定のみ)】 【電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者、または電気通信主任技術者試験合格者であって1級または2級 第一次検定合格者(電気通信工事施工管理技術検定のみ)】 |
令和6年度から令和10年度までの5年間は、旧受検資格でも受検可能です。旧受検資格については公式サイトで確認してみてください。
試験概要2|試験内容
下記では、令和6年度に実施された2級土木施工管理技術検定の試験内容を紹介します。
土木
試験区分 | 試験科目 | 試験形式 | 問題数 | 試験時間 |
第一次検定 | 土木工学など | 択一式(解答はマークシート方式) | 66問 | 2時間10分 |
施工管理法 | ||||
法規 | ||||
第二次検定 | 施工管理法 | 記述式 | 9問 | 2時間 |
鋼構造物塗装
試験区分 | 試験科目 | 試験形式 | 問題数 | 試験時間 |
第一次検定 | 土木工学など | 択一式(解答はマークシート方式) | 47問 | 2時間10分 |
鋼構造物塗装施工管理法 | ||||
法規 | ||||
第二次検定 | 鋼構造物塗装施工管理法 | 記述式 | 9問 | 2時間 |
薬液注入
試験区分 | 試験科目 | 試験形式 | 問題数 | 試験時間 |
第一次検定 | 土木工学など | 択一式(解答はマークシート方式) | 47問 | 2時間10分 |
薬液注入施工管理法 | ||||
法規 | ||||
第二次検定 | 薬液注入施工管理法 | 記述式 | 9問 | 2時間 |
試験概要3|合格基準
第一次検定、第二次検定ともに合格基準は「60%以上得点すること」です。ただし、試験の実施状況によって変更される場合もあります。
2級土木施工管理技士に合格するためのポイント
試験対策の基本は過去問を解くことです。過去問を解くことで、試験の出題傾向や頻出分野を把握できます。また、自分の得意・不得意な問題が浮き彫りになるため、何に重点を置いて学習を進めれば良いのかも明確になります。
過去問は、科目ごとにピックアップして解くのがおすすめです。2級土木施工管理技術検定の出題範囲は広く、すべての科目を一度に学習するのは容易ではありません。「土木工学に絞って過去3年分の過去問を解く」といったように一科目ずつ進めることで、負担を軽減しつつも、効率的に知識をインプットできます。
そのほか、第二次検定では自身が経験した工事について記載する項目がありますが、書き方には注意が必要です。大事なポイントは、「事実を具体的かつ簡潔に書くこと」「数値は正直に記載すること」です。嘘の工事や誇張した内容を記載し、それが判明した場合は失格になる可能性があります。
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まとめ
2級土木施工管理技士は国土交通省が管轄する国家資格です。取得することで、土木工事に関する専門的な知識とスキルを証明でき、転職やキャリアアップに役立ちます。2級土木施工管理技術検定は難易度が高いため、しっかりと学習スケジュールを立てて万全な対策をして臨みましょう。
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