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電気工事施工管理の仕事内容とは
家を建てるためには、外側の建物だけではなく、実際に生活するための電気や水道などの整備も必要になります。しかし、各工程に必要な知識や作業内容が異なるため、ひとりがすべてに精通することはできません。
管理する分野を7つに分け、それぞれに精通した施工管理者を配置することで、より良い建築を行います。
施工管理者 | 業務内容 |
建築施工管理 | 建築に関する工事全般の施工管理を担当 |
建築機械施工管理 | 重機を使用する工事現場を管理 |
土木施工管理 | 道路や橋、トンネルなど土木工事を管理 |
造園施工管理 | 庭や公園など植物を扱う工事を管理 |
管工事施工管理 | 水道、ガス、空調設備の工事を管理 |
電気工事施工管理 | 照明や配線などの電気に関係する工事を管理 |
電気通信施工管理 | LANケーブルや電話線などの通信に関する工事を管理 |
電気工事施工管理は、ほかの施工管理技士と同じように、現場でのスケジュールを調整する工程管理、使用する原材料などの原価管理、品質管理、そして、従事する作業員の安全管理を行い、工事が円滑に進むように管理するのが仕事です。
電気工事施工管理技士の資格は、一級と二級の2種類に分かれており、一級は大規模工事に携われるほか、建設会社での監理技術者や専任技術者としての業務もあります。
電気施工管理がきついといわれる理由
ここでは、一般的に「電気施工管理の仕事がきつい」といわれる理由について解説いたします。
スケジュールがタイトで作業時間が長い
ひとつ目は業務量と時間です。建築現場において工期は必ず守らなければなりません。電気工事は建築の過程において最後になるため、ほかの土木や建物の建築スケジュールが予定よりも遅くなると、電気工事をよりスムーズに行う必要があります。
計画に間に合わせるために、深夜や休日、悪天候でも作業しなければならず、休日が週1日になることも少なくありません。また、施工管理はスケジュールの管理だけではなく、原価や品質の管理、従事する工員の安全管理など幅広い業務を請け負います。
管理業務の中には書類作成も含まれます。日中は現場に赴いているため、書類作成など業務は現場から戻らないとできません。紙の書類も多いことから、作成に時間が必要です。
しかし、働き方改革の流れもあり、残業時間の制限や週休2日制の導入、そして、建築に関する書類のIT化などが進められていることで、今後は業務時間が短縮される傾向にあります。
知識や技術を吸収し続ける必要がある
ふたつ目は、仕事に関する知識です。工事を円滑に進めるためには、電気工学や設備に関連する知識だけではなく、施工するうえでの法律などの知識も必要になります。
施工管理者になるために必要な電気工事施工管理技士の合格率は、一級、二級ともに毎年50%前後で推移しており、決して難易度が高すぎる資格ではありません。しかし、資格を取得するだけではなく、施工管理者として日々勉強をして、知識を高め続ける必要があります。
電気工事に関する根幹の法令である「電気工事士法」は、頻繁に改正が行われています。AIやICTの活用など電力需要が一層高まるなかで、新しい発電方法の開発など、電気に関する技術革新は目覚ましいものです。電気工事は一歩間違えれば感電や漏電のおそれがあり、常に取り扱いには慎重さが求められます。
また、現場の保安や作業員のケアのためには、法律や新しい技術の習得が必要です。しかし、膨大な業務のなかで、毎日のように勉強を続ける時間の確保が厳しいことが、電気施工管理がきついといわれる理由のひとつです。
ほかの業者との板挟みになりやすい
3つ目は、ほかの業者との関係です。晴天でしか業務が進められない土木や建築と異なり、電気工事の現場によっては、雨天でも関係なく業務ができるケースがあります。すると、工期に間に合わせるためのスケジュール調整を、ほかの業者から要求されやすいです。
ときには、働く工員のことを考えて、ほかの業者からの要求を断ることも必要になり、強いメンタルが求められます。また、電気工事は建築の工程のなかで最後に行われるため、スケジュールの遅れがあると、ほかの作業と同時進行になる場合もあります。
さらに、会社と現場工員との間で、工期や予算に関する要望の折り合いをつけなければならないことも多く、板挟みになることも多々あります。
ただ、電気工事施工管理は得られるやりがいも大きい
ここまで電気施工管理のきつい面をご紹介しましたが、その分、給与の高さや仕事での優遇などメリットもあります。ここでは電気施工管理のやりがいについて解説いたします。
インフラを支える仕事のため需要がなくならない
ひとつ目は、仕事がなくなる可能性が低いことです。住宅やオフィス、商業施設などあらゆる建物において電気が使われています。人々が安心して電気を使えるのは、携わる技術者の力があるからです。
電気が人間の生活に欠かすことができないインフラである以上、関係する電気工事がなくなる可能性は低く、今後も安定して仕事が続けられます。
日本全体の電力需要は年々増加しているため、電気を供給するための設備や工事の需要も高まっていくことが予想されます。景気に左右されず、今後も仕事ができる点は大きな魅力といえるでしょう。
また、人々の生活を支える重要な仕事であることから、社会への貢献度が高いことも魅力です。
スキルアップや資格取得で高年収が期待できる
ふたつ目は、高収入が期待できることです。施工管理の仕事は、経験年数が上がるほど収入が増える傾向にあります。20代では年収450万円程度でも、50代になるころには700万円を超えることも珍しくありません。
加えて、有資格者、とくに電気工事施工管理技士一級の資格をもっているのであれば、年収が100万円ほど上がるといわれています。国家資格であるため社会的にも評価されやすく、資格手当、役職手当の支給や、資格の取得を昇進の条件にしている企業も存在します。
また、一定年数の実務経験がないと受験できない資格であるため、資格をもっていることは経験の豊富さを証明することにもつながります。資格をもち、知識や技術があることで、現場の作業員からの信頼も獲得できるため、運営していくうえでのストレスも小さくなるでしょう。
転職に有利で独立も視野にできる
3つ目は、売り手市場であり、転職に有利であることです。施工管理の業務は、建物の新築や補修、改修と常に需要が存在します。
しかし、少子高齢化や人口減少などの影響から、建築業界全体で担い手が不足している状況が続いており、施工管理を担当できる人材の需要が高まっています。
施工管理としての実務経験があるとなれば、転職を考えたときに、現在よりも良い条件の会社に就職できる可能性も高くなります。あわせて、電気工事士の資格も保有すれば、自分自身で現場の工事から管理までを一手に担えるスキルが身に付くため、独立も視野にいれることができます。
ほかにも、施工管理は工程や工員のマネジメント、数多くの書類作成も業務の一環です。コミュニケーションやスケジュール管理の能力は、施工管理の職から離れたとしても、あらゆる場面で活かすことができます。
まとめ
電気施工管理は、ほかの作業員や会社から板挟みになるうえに、業務も多岐にわたるためきついといわれる仕事です。
しかし、その分給与は高く、技術者として多くの会社で優遇されるなど、業務量に見合ったやりがいがあります。また、ライフラインに関わる仕事は、将来的にもなくなることはありません。電気施工管理に興味のある人は、目指してみてはいかがでしょうか。