建設エンジニアの仕事とは?年収や将来性も解説

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建設エンジニアとは、主に設計業務や管理業務を担う職種のことです。建て替えラッシュなどによる建設需要の高まりや人材不足の加速にともない、近年、注目を集めています。 今回は、建設エンジニアの将来性・具体的な仕事内容・年収・必要な資格など、押さえておくべきポイントについて解説します。

建設エンジニアは将来性がある仕事!

建設エンジニアは、将来性がある仕事として近年注目を集めています。ここでは、建設エンジニアが求められる背景について詳しく解説します。

建設需要はますます高まる

近年、大都市圏を中心に新規の大型プロジェクトや再開発、老朽化した建造物の建て替え、交通網の整備などの建設計画が続々と控えています。

さらに、頻発する災害に伴う建て替え・新築のニーズも高く、建設需要はますます高まっているのが現状です。こういった建設需要の高まりにあわせて、未来の街づくりを支える建設エンジニアに対するニーズも高まっています。

若手建設エンジニアは貴重

2023年時点、日本の建設業界では65歳以上の割合が約16.8%となっており、全産業(約13.5%)と比較して高齢化が進んでいるのが現状です。新たな人員確保が停滞し、若手の人材が不足しています。今後、ベテランのエンジニアは引退し、ますます人材は減っていくため、若手の建設エンジニアはとても貴重な存在と捉えられています。未経験からでもコツコツとキャリアを積むことで、仕事の選択肢を広げられるでしょう。

出典:総務省「労働力調査

建設エンジニアの仕事内容

建設エンジニアの仕事内容を大きく分けると、設計業務と管理業務の2種類があります。それぞれ具体的にどのような業務が含まれているのか、ポイントを解説します。

設計業務

建築設計では、建物のデザインや構造・設備などのプランを練って作図します。 設計業務として担当するのは、主に意匠設計・構造設計・設備設計の3つです。

意匠設計

意匠設計とは、建物の外観及び内部のデザインやコンセプトなどを決める業務のことです。クライアントの希望や建物の用途、構造設計・設備設計の担当者からの意見などを踏まえて、デザイン全般を考えます。考えたデザイン案は作図し、クライアントなどにプレゼンすることも意匠設計の仕事です。

構造設計

構造設計は、意匠設計のデザインを踏まえつつ、かつ安全な建物をつくるために、強度・耐久性を備えた構造や施工方法などを指示するのが役目です。構造計算に基づき、柱や梁などの位置や本数・使用する部品や工法などを決めて、図面に記入します。構造力学や物理学・数学などの知識が欠かせません。

設備設計

設備設計とは、建物を快適に利用するために必要な設備類やインフラ類の配置などを決める仕事のことです。空調設備や音響・照明・水道、そのほかの配線・配管などについて、プロット図や配線図・回路図などを作成します。意匠設計と調整を行ったり、最新の設備を提案したりすることも、大切な役割です。

管理業務

建設エンジニアが担当する主な管理業務は、スケジュール管理・予算管理・品質管理・安全管理の4つです。

スケジュール管理

スケジュール管理は、建設工事がスケジュール通りに進むように、進捗管理をする仕事です。工事の進捗は、天候や現場の作業員の健康状態・想定外のアクシデントなど、さまざまな要素によって左右されます。それを調整し円滑に工程が進むようにするのも、建設エンジニアの仕事です。

予算管理

予算管理とは、人件費や材料費など、建設工事にかかる各費用を管理することです。費用を予算の範囲内で調整し、きちんと利益が出せるように管理する必要があります。

品質管理

品質管理では、建設する建物の品質をチェックします。設計書通りの建物が建つように、内装や外観・構造・設備や配線などが図面の指示通りに施工されているかどうかを確認する大切な業務です。

安全管理

安全管理では、建設工事が安全に進むよう、必要なチェックを行います。例えば、現場で使う重機をはじめとする機械類の点検や整備は行き届いているか、作業員の健康状態は問題ないかなどについて、管理します。

上記4つをまとめて施工管理といいますが、関連業務として「工事監理」もあります。工事監理とは、設計図書の指示通りに施工が実施されているかを確認する業務です。違いとしては、施工管理が施工者の立場で行われるのに対し、工事監理は設計者の立場として行われます。

建設エンジニアの年収

 Indeedの調査によると、建設エンジニアの平均的な年収は約502万円です。ただし、建設エンジニアは業務内容が設計中心か管理中心かによって、年収に差が出る傾向にあります。

一般的には、設計メインの建設エンジニアのほうが、管理メインの建設エンジニアよりも年収はやや高くなります。ただし、大手企業勤務やスキルアップして独立するなどにより、年収はアップする可能性があるので、一概には言えないと考えておきましょう。

出典:Indeed「日本での建設エンジニアの平均給与

建設エンジニアに必要な資格

建設エンジニアに必要な資格は、大きく分けて建築士・施工管理技士・各種CAD資格の3種類があります。それぞれどのような資格なのか、詳しく解説します。

建築士

建築士の資格には、一級建築士・二級建築士・木造建築士があります。いずれも国家資格です。それぞれの資格で、扱える建造物の規模やタイプに決まりがあります。どの資格でも、設計図の作成と工事監理を担当できます。

一級建築士

一級建築士になると、設計・監理できる建築物の規模の制限がなくなります。資格試験の難易度は高いですが、大手企業への就職や大型の建築物にかかわる仕事で有利な資格です。

二級建築士

二級建築士は木造に限らず、鉄筋・鉄骨造の建物なども扱える資格です。ただし、高さ13mを超える建物は扱えないなど、高さや広さに制限があります。そのため、戸建てが中心の業務を行うことになります。いずれは公共施設など大規模な案件を扱いたいと考えるなら、一級建築士の資格取得を目指しましょう。

木造建築士

木造建築士は、2階建てかつ延べ面積が300㎡までの木造建築を扱える資格のことです。木造建築の専門家になれるため、戸建てや歴史的な木造建築物などに関係する仕事に携わりやすくなります。一方で、鉄筋・鉄骨造の建物や大規模建築に携われないなど、仕事の幅が狭まりやすいのがデメリットです。

施工管理技士

施工管理技士の資格は、管理業務に就くために必要です。1級と2級があり、1級は、すべての建設工事に携わることができます。2級は、建設工事の請負金額が4,000万円未満のものに限られてしまうため、大規模な建設工事に携わりたい場合は、1級の取得を目指しましょう。

施工管理技士の資格を取るには、建設現場での経験を踏まえた実地試験も合格する必要があります。また、施工管理技士は、受験資格として「実務経験5年以上」または「特定実務経験1年以上を含む実務経験が3年以上」などが求められます。このように受験するためには一定の条件があるため、若手で施工管理技士の資格を所有している人は多くありません。希少な資格だからこそ、取得しておけば、大手企業への転職や就職の際に有利に働くことが期待できます。

また、施工管理技士を補佐する資格として、2021年に施工管理技士補が新設されました。施工管理技技士補について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

施工管理技士補1級・2級とは?メリット・受検資格・難易度も解説

共同エンジニアリングでは、施工管理(未経験者採用)を実施中です。まったくの未経験であっても、1人に4部署のサポートがつくなど安心して仕事に取り組めます。定期的に実施される資格取得支援研修を利用することで、将来的には国家資格(施工管理技士)の取得を目指せます。Web面接も実施していますので、建設業界での仕事に挑戦してみたいと考えている方は、お気軽にご応募ください。

各種CAD資格

各種CAD資格も、建設エンジニアとして活躍する上で役立つ資格です。CAD資格とは、CAD(Computer Aided Design)と呼ばれるツールのオペレーション技能を証明するための資格です。なお、CADではコンピューターで設計の図面が作成できます。

CAD資格にはさまざまな種類があります。なかでも、建築業界で活躍するためには、2次元CAD利用技術者1級(建築)の資格があると良いでしょう。2次元図面は、現在でも建設の現場で多く使われているので、その読み書きができる能力は高く評価されます。

まずは2次元CAD利用技術者基礎を取得後、2次元CAD利用技術者2級、2次元CAD利用技術者1級(建築)の順番で取得し、キャリアアップを目指すのがおすすめです。

CADについての詳しい内容や必要なスキル・向いている人などについては、下記の記事でわかりやすく解説しています。

CADオペレーターに向いている人の特徴!必要なスキルは?

まとめ

建設エンジニアは、設計業務や管理業務を幅広く担当できる職種です。建設需要の増加や建設業界の人材不足を背景に注目される将来性の高さが魅力です。

建築士・施工管理技士・各種CAD資格などを取得すれば、建設エンジニアとして活躍できます。まずは、取得できそうな資格から挑戦してみましょう。