BIM資格とは|資格の概要や難易度、学習方法を紹介

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建設業界では効率化や生産性・品質の向上を目的にBIMの導入が進んでいます。BIMを使用した業務は今後も増えていくと予想されるため、BIMオペレーターに関心をもつ方も多いのではないでしょうか。 今回は、BIM資格の概要や取得するメリット、難易度、学習方法を紹介します。BIM資格を取得して市場価値や年収を高めたい人は参考にしてください。

BIMオペレーターになるには資格が必要?

BIMオペレーターになるために特別な資格は必要なく、現時点ではBIMに関する国家資格もありません。

BIMに関する資格はいくつか存在しますが、就職や転職では資格よりも実務経験のほうが重視される傾向にあります。したがって、BIM資格の取得は基本的な操作技術や知識を身につける一歩として捉えましょう。ただ、取得することで、BIM操作ができることの客観的な証明にもなるため、今後のアピールポイントの一部になるでしょう。

BIMオペレーターに求められる資質やスキルについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

BIMオペレーターになるには?仕事内容やスキルも解説

BIM関連資格を取得するメリット

前述の通り、BIMを扱う業務において関連資格の取得は必須ではありません。とはいえ、BIM関連資格を取得することで下記のようなメリットが得られます。

・専門知識や正しい活用方法を学ぶことで技術レベルを向上させられる
・知識や技術レベルを客観的な基準で評価できる
・BIM技能習得を進める際の目標となる
・知識不足による操作ミスやトラブルを防げる

BIM関連資格がおすすめの人

BIM関連資格は、下記のような人におすすめです。

・設計関連の知識を深め、業界の変化に柔軟に対応したい方
・BIMに関する知識が不足しており、体系的に学びたい方
・BIM設計未経験で、これから建設業界で設計業務に携わりたい方
・BIMを活用することで設計ミスやトラブルを防ぎたい方

上記に当てはまる方は、次項で紹介するBIM関連資格の取得を検討してみてください。

BIM関連資格一覧

BIM関連資格は、主に次の4つです。

1.Revit Architecture ユーザー試験
2.Archicad BIM 認定試験
3.CAD利用技術者試験
4.AutoCAD ユーザー試験

各資格の基本情報や合格基準、難易度等について解説します。

1.Revit Architecture ユーザー試験

Autodesk社が提供する「Revit」は、日本で最もポピュラーなBIMソフトのひとつです。Revit Architecture ユーザー試験に合格することでRevitに関する基礎知識や操作技術の基本的な能力を証明でき、日本企業はもちろん海外企業にも自身のスキルを評価してもらいやすくなります。

選択式の問題もありますが、会場に用意されたPCで実際のソフトウェアを操作して解答する「実技形式」がメインのため、ある程度BIMの操作に慣れてから受験するのがおすすめです。

出題形式

選択式+実技操作(全30問)

試験時間

50分

合格ライン

正解率73%以上

合格難易度

中級

受験費用(税込)

7,700円

運営元

Autodesk

URL

https://www.myautodesk.jp/certification/user_Revit.html

2.Archicad BIM 認定試験

AutodeskのRevitと並んで人気が高いソフトが、Graphisoft社が提供する「Archicad」です。Archicad BIM 認定試験には「Archicad BIM User 認定試験​」と「Archicad BIM Author 認定試験​​」の2種類があります。

Archicad BIM User 認定試験​

Archicad BIM User 認定試験は、BIMの基本的なコンセプトを理解しており、Archicadのモデリングツール・ドキュメンテーションツールの使用に慣れている方に適しています。受験の前提条件はないものの、BIM Classesの初級・中級コース相当のレベルを習得していると合格しやすくなります。

出題形式

理論問題 20問

試験時間

30分

合格ライン

正解率70%以上

合格難易度

中級

受験費用(税込)

-

運営元

Graphisoft

URL

https://graphisoft.com/jp/training/archicad-bim-user

Archicad BIM Author 認定試験

Archicad BIM Author 認定試験は、実プロジェクトでArchicadの使用経験がある方・Archicadの機能を包括的に理解している方を対象としています。試験に合格することで、Archicadを使用した高度なモデリングスキルを証明できます。

受験の条件はありませんが、BIM Classesの上級コースまで完了していると合格率をあげることが可能です。

出題形式

理論問題(20問)、実践エクササイズ問題(5問)

試験時間

60分

合格ライン

正解率70%以上

合格難易度

上級

受験費用(税込)

-

運営元

Graphisoft

URL

https://graphisoft.com/jp/training/archicad-bim-user

3.CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、BIMに限らずCADオペレーターの登竜門ともいえる資格です。2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験があり、目的や職種に応じて選択できます。

2次元CAD利用技術者試験

2級はCADシステムの運用やデータ管理に関する業務を目指す方に向いています。1級はCADシステムを使った設計や製図に関して1年以上の実務経験、または1年以上の就学経験がある方を対象としています。1級を受験するには2級の合格が必須条件です。また、これからCADを学び始める方を対象とした入門試験として、「2次元CAD 基礎」もあります。

出題形式

1級:実技試験+筆記試験(25問)
2級:筆記試験(60問)CBT方式による多肢選択
基礎:筆記試験(50問)

試験時間

1級:80分
2級:60分
基礎:50分

合格ライン

1級:実技試験・筆記試験が各5割、および総合で7割以上
2級:各分野が5割以上、および総合で7割以上
基礎:総合7割以上

合格難易度

-

受験費用(税込)

1級:16,500円
2級:6,050円
基礎:4,400円 ※認定会場は2,750円

運営元

一般社団法人 コンピュータ教育振興協会

URL

https://www.acsp.jp/cad22/

3次元CAD利用技術者試験

2級は3次元CADシステムを使用した業務従事を目指す方、準1級は従事して間もない方、1級は従事して半年以上の実務経験または1年以上の就学経験がある方を想定しています。準1級・1級を受験するには2級に合格する必要があります。

出題形式

1級:実技試験
準1級:実技試験
2級:筆記試験(60問)

試験時間

1級:120分
準1級:120分
2級:60分

合格ライン

各分野5割以上、および総合7割以上

合格難易度

-

受験費用(税込)

1級:16,500円(税込)※会場のPCとソフトを利用する場合(一般試験)は18,700円
準1級:11,000円 ※会場のPCとソフトを利用する場合(一般試験)は13,200円
2級:7,700円

運営元

一般社団法人コンピュータ教育振興協会

URL

https://www.acsp.jp/cad22/

また、一般社団法人コンピュータ教育振興協会の新しい資格として「BIM利用技術者試験」も創設されています。BIMの基礎知識を問う2級、BIMソフトを利用してモデリングを行う準1級・1級で構成され、能力や目的に応じて目標を設定できます。

4.AutoCAD ユーザー試験

AutoCAD ユーザー試験は、Autodesk社が提供しているソフト「AutoCAD」の基礎知識や基本的な技術の習得を証明する試験です。互換性のあるDXFファイルは、BIMソフトにも使用できることがあります。AutoCAD ユーザー試験は「選択式」と実際のソフトウェアを操作して解答する「実技形式」で行われます。

出題形式

選択式+実技操作

試験時間

50分

合格ライン

正解率70%以上

合格難易度

初級

受験費用(税込)

-

運営元

Autodesk

URL

https://www.myautodesk.jp/certification/user_AutoCAD.html

そのほか、BIM関連資格として下記の資格(BSI国際規格の認定資格)もあります。

・BIMプロジェクトインフォメーション資格(ISO-19650-2)
・BIMアセットインフォメーション資格(ISO-19650-3)

BIM関連資格の学び方

ここでは、BIM関連資格の学習法を3つ紹介しますので、自分に合う方法を見つけてみてください。

書籍で学ぶ

BIM関連資格に関する参考書を使えば、移動時間や就寝前の時間などを有効活用して勉強できます。カラーでわかりやすく操作を説明している書籍も多く、自分のペースで学べます。サンプルデータをダウンロードできることもあり、実際にソフトを操作しながら勉強することも可能です。

Webで学ぶ

BIMソフトの公式サイトでは資格試験の例題や過去問が公開されており、問題の傾向や形式を確認できます。Revitはトレーニング教材がダウンロードできるほか、30日間の無償体験版も利用できます。

また、YouTubeやeラーニングの活用もおすすめです。例えば、AutodeskJapanBIMの公式チャンネルでは、BIM基礎講座のほかにRevit学習動画も多数発信されています。

講習会・セミナーに参加する

講習会やセミナーに参加すれば、講師の指導を直接受けられます。わからない部分があっても質問できるので、疑問を残さずに勉強を進められるのがメリットです。最近はZoomを利用したオンライン講習会も増えているので、これまで遠方で参加できなかった方も気軽に学習できます。

まとめ

資格がなくてもBIMオペレーターになることは可能ですが、資格勉強を通じて専門知識を体系的に習得できます。また、関連資格を取得することで自身の技術を客観的な基準で評価できるメリットもあります。

BIMオペレーターは今後も需要が高まると予想されているため、ぜひ関連資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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