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女性の建築士の市場価値

建築士を目指すにあたり、「女性建築士に需要はあるのか」が気になる方は多いのではないでしょうか。そこで、女性建築士の市場価値について解説します。
建築士自体の需要が高い
そもそも、建築士は性別に関係なく需要が高い職業です。特に一級建築士は50代以上の割合が多く平均年齢が高いため、若手の建築士が求められています。
昔は建設業界というと男性中心でした。しかし、最近は性別によって待遇や環境などに差が出ないようにするための環境整備も進んでいます。女性の管理職登用を推進している企業も増加傾向にあり、建築士の試験合格者に占める女性の割合もおよそ3人に1人と増えているのです。
平均年収が高い
女性建築士は平均年収が高いのも特徴です。国税庁発表の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、女性の給与所得者の平均年収は約316万円でした。
一方、女性建築士(建築技術者)の平均年収は、「令和6年賃金構造基本統計調査」によると約482万円となっています。女性の給与所得者の平均年収よりも166万円ほど高く、高収入を得やすい仕事であることがわかります。
出典:
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
女性ならではの視点を活かせる
住宅や店舗などを設計する際に、女性ならではの視点が重宝されることがあります。例えば、女性建築士なら、お手洗いや更衣室などにどのような設備があればより女性にとって便利かがわかるでしょう。
さらに女性のお客様のなかには、「同性同士のほうがいろいろ相談しやすい」という方もいるため、女性建築士の採用に積極的な企業もあるのです。
女性の建築士の割合
2024年の一級・二級建築士試験の合格者のうち、女性の割合は下記の通りです。
種類 | 筆記試験合格者 | 設計製図試験合格者 |
二級建築士試験 | 37.0% | 41.7% |
一級建築士試験 | 29.8% | 30.7% |
近年、一級・二級ともに女性の合格者の割合は増えています。しかし、女性の建築士(建築技術者)の割合は約13.5%であり、男性と比較するとまだまだ少ないのが現状です。
出典:
公益財団法人建築技術教育普及センター「二級建築士試験結果」
公益財団法人建築技術教育普及センター「一級建築士試験結果」
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
女性の建築士の大変さと取り組み

先述の通り、女性建築士の市場価値は高く、国家試験の合格者も増加中です。高収入を得られる可能性も高く魅力的な仕事ですが、女性建築士ならではの苦労もあります。
どのような苦労に直面する可能性があるのか、そして建設業における女性の活躍支援について解説します。
女性の建築士が直面する大変さとは
建築士の業務においては、厳しい納期に追われたり、突発的なトラブルや設計変更が発生したり、体力面や精神面で負担がかかることも少なくありません。
また、全体的に女性が増加傾向にあるとはいえ、建設業界はまだまだ男性が多いのが実情です。特に現場の作業員は男性が多いので、コミュニケーション面で苦労することもあります。
さらに他の業界と同じく、結婚や出産・育児に関して女性に負担がかかりやすいのが現状です。仮に女性建築士が妊娠・出産した場合、どうしても産休・育休を取ることになるでしょう。
産休・育休を取ると一時的に現場を離れる必要がありますし、体力・精神力を使う仕事と育児との両立に悩むかもしれません。
建設業における女性の活躍を支援する取り組みの現状
建設業では女性の活躍を支援する取り組みが進んでいます。具体的にはどのような取り組みが行われているのか、これまでの流れや現状について解説します。
【2014年】「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」策定
2014年8月に、国土交通省と建設業に従事する5団体が協力し、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」という官民あげた計画が策定されました。この行動計画は、下記の4つの柱で構成されています。
・建設業に従事する女性を5年以内に倍増させること
・長く働き続けられるよう職場環境を整えること
・女性の活躍やスキルアップを後押しする環境を整えること
・建設業で活躍する女性についての情報を社会に発信すること
上記を実現するための具体策も豊富に盛り込まれており、建設業における女性の活躍を促進させる意欲が伺えます。
【2019年】「建設業における女性活躍推進に関する取り組み実態調査」公開
2019年には、「建設業における女性活躍推進に関する取り組み実態調査」の報告書が公開されました。前述の行動計画であげられているような取り組みを実施している企業や、具体的な取り組みの内容を把握するための調査です。
本調査によると、女性の活躍推進の取り組みを実施している企業の割合は63.6%でした。さらに3割弱の企業が、現在取り組みを実施していないものの今後実施予定と回答しています。
・取り組みを行っている:63.6%
・現在、取り組みを行っていないが、今後行う予定:25.8%
・現在、取り組みを行っていないし、当面は行う予定もない:10.6%
また、「取り組みを行っている」と回答した企業の多くが、出産や子育てに関わる制度を設けていることがわかります。
・産前・産後休業制度を設けている:97.9%
・育児休業制度を設けている:96.9% ・介護休業制度を設けている:91.7%
・子の看護休暇制度を設けている:90.6%
・子育て・介護に係る短時間勤務制度を設けている:90.6%
・子育てや介護に関する所定外労働の免除制度を設けている:84.4%
産休・育休だけでなく、子どもの看護休暇や時短勤務を導入している企業も多く、妊娠・出産した女性が働きやすい環境の整備が進んでいることが伺えます。
【2025年】「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」策定
環境整備を進めた結果、建設業における女性の技術者・技能者は増加しつつあります。しかし、他の業界と比較して離職者が多い年があるなど、定着率に課題を抱えています。
その課題解決に向けて、2025年3月に「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画~トップの意識を変えて、現場が変わる。担い手確保につなぐ、全ての人が働きやすく働きがいのある魅力ある建設産業の実現へ~」が策定されました。
この計画は、国土交通省と建設業に従事する6団体、さらに建設産業女性定着支援ネットワークの協力によって策定されたものです。
2014年に策定された「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」では、建設業に従事する女性を増やすことを柱のひとつとしていました。
一方、本計画は入職した女性が長く働き続けられる環境を整えることに重きを置いており、下記の3つを柱としています。
・建設業の魅力向上および発信すること
・ハードとソフトの両面から、働きやすい環境を実現すること
・女性の活躍・定着促進のための取り組みをより充実させること
上記を実現するための具体的な施策も提案されており、女性活躍・定着促進に対して官民一体となって取り組みが進められています。
出典:
国土交通省「建設産業における女性の定着促進に向けた取組について」
国土交通省「建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査の結果を公表します!」
女性の建築士として働くなら

女性の建築士が活躍できる仕事として、下記のようなものもあります。
・リフォームプランナー
・インテリアデザイナー
・建築積算士 ・建築コンサルタント
・CADオペレーター ・BIMオペレーター
・施工管理
上記の通り、建築士の資格を活かせる仕事は多岐にわたるため、自分に適している仕事を探しましょう。
共同エンジニアリングは、女性でも働きやすい環境を整えており、多くの女性が活躍しています。各部署に相談しやすい相手がおり、女性技術社員同士が交流する機会も設けているので安心です。また、育児休業から復職する際にはキャリア相談もでき、技術者への復帰はもちろん、内勤へのキャリアチェンジも可能です。
未経験から始めて活躍している方も数多くいますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
活躍する女性の仕事の内容や声はこちらをご覧ください。
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まとめ
近年、女性建築士は増加傾向にあり、市場価値が高まっています。平均年収も高い傾向にあるため、建設業界や建築士の仕事に興味がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


