傾聴を通じて内に秘めた「向上心」に火を灯す、カウンセラーの仕事

大手建築企業の施工管理から、晴れの日のサポートまで。硬軟織り交ぜた業界でキャリアを積んできた経験をもとに、キャリアカウンセリングの重要性に着目。独学で資格取得し、現在、共同エンジニアリングの社内カウンセラーとして活躍しています。今回は、「傾聴の姿勢」を大切にして、日々、技術者のサポートに奮闘しているキャリアサポート課の中野智仁氏にお話を伺いました。

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「安定して働ける環境づくり」に共感し、社内カウンセラーへ

──共同エンジニアリングに転職した経緯を教えてください。

大学で建築を学び、日本を代表する大手建築企業で施工管理のキャリアを積みました。その後、高校時代から修練を積んでいた憧れのお花の世界に飛び込みウェディングの装花担当へ。

転職活動を重ねる過程で、自分自身の業務経験の棚卸しをしているときに「キャリアの重要性」を痛感し、勉強して民間のカウンセラーの資格を取得しました。その学びを活かして前職では、NPO法人で海外留学生の就労支援やマッチングなどを担うキャリアカウンセラーをしていました。その事業がなくなるタイミングで転職先を探しているとき、当社が「社内カウンセラー」を募集していたのです。企業のカウンセリング業務は外部に委託されているケースが多いなか、インハウス型のカウンセラーとして、より社員に寄り添ったカウンセリングができるという点が魅力でした。

また、私自身も新卒で施工管理者として働いたとき、魅力的な仕事である反面、体力とメンタル共にきつい仕事であることを痛感しました。施工管理者として働くことを諦めてしまう方も多くみてきたので、未経験で施工管理にチャレンジされた方に対して「自身の夢や働き方の希望を叶えてもらうためのサポートがしたい」という気持ちをもち、当社でキャリアカウンセラーになろうと決めました。

──現在はどのような業務をされていますか?

主に面談を通して、入社1年未満の技術者のキャリアや人間関係の悩み、メンタルサポートなどをしています。ほかにもキャリアサポート課の活動として、就労アンケートを実施したり、入社後の研修を行ったりしています。面談では「つながりをもつ」ということに重きを置いています。研修を受けた後、技術者はそれぞれの現場に配属されるため、どうしても「共同エンジニアリングの仲間」という帰属意識が希薄になってしまいます。そのため「何かあったら、すぐに相談できる相手」として、無意識レベルでも認識してもらえるような関係構築が最重要です。

例えば、今後のキャリアを本気でサポートしていくことを見据えて、技術者の人柄や生活を考慮したうえでカウンセリングできるよう、業務以外で熱中している趣味の話などを聞いています。さらに、配属先の上司や先輩に気を遣わせないように近所のカフェなど面談の場所を考慮し、相手に寄り添った面談ができる環境づくりも大切にしています。

寄り添う気持ちがあることで自然と傾聴の姿勢でカウンセリングできますし、傾聴することで技術者自身の内省を促します。それにより技術者が自ら主体性を向上させていくのです。キャリアサポート課のカウンセラーは、現在約20名が在籍しています。カウンセリングの仕方は傾聴の姿勢を大事にしていることは共通ですが、カウンセラーのキャラクターによりカウンセリングの雰囲気はそれぞれ異なります。そのなかでも、カウンセラー同士がお互いを尊重し合いながら、技術者のキャリアにどのように寄り添えるかを真剣に考え、意見を共有し合うことは特色だと言えるでしょう。

──具体的にどのようなカウンセリングを実施されていますか?

個人的にやっているのは「キャリアの深掘り」ですね。初回では必ず「そもそも、なぜ共同エンジニアリングで働いているのか?」を聞き、それ以降もあえて重複してヒアリングします。そこでは決して「前回こう言っていましたよ」といった問いかけを口にすることはありません。あくまでも「自分の言葉で振り返ってもらう」ことに徹しています。「こんな資格を取得して、専門性を極めたいです」という意欲を口に出してもらって、自分自身で認識してもらうのがカウンセラーの役割のひとつだと思っています。

技術者からは「ひとりで抱え込むのではなく、聞いてもらったことで落ち着いて客観視できた」という感想をもらうことが多いですね。このあたりは常に「誘導になっていないだろうか?」と自問自答しているポイントでもあります。

現場と会社の橋渡しとなり、長期的にキャリアをサポートする

──仕事のやりがいや、うれしかったエピソードを教えてください。

「カウンセリングをしたら、即座に劇的な変化がある!」と思われている方もおられるのですが、すぐにその人自身に変化があることはほとんどありません。本人が「自分のなりたいキャリア」に気づいたり、定期的なカウンセリングをきっかけに、実際に行動されることで長期スパンでその道を歩んでいる姿を見られるのが、カウンセラーのやりがいです。また、何かあれば、いつでも話に来てもらえる環境を整えているので、気軽に相談してもらえるとうれしいですね。先輩カウンセラーに、数年越しの付き合いのある技術者が「こんな資格を取得したよ」と報告しているのを見ると、自分もそうなりたいと思います。

個人的にうれしかったエピソードを紹介します。「建築が好きで、なんとなく入社した」という技術者さん。面談を重ねていくうちに、「それだけでいいのだろうか?」と自分自身で気づきを得て、「今度、社内の資格支援研修を受講するようにしました!」と目を輝かせて報告にくれたことがありました。潜在していた向上心に火を灯すことができたことがうれしく、カウンセラーの本懐だと感じた出来事でした。

──現場の声をもとに新しい制度などとして取り入れられたケースはありますか?

資格に関する意見は多いですね。「頑張って資格をとっても、待遇に反映されない」という声を聞くこともあります。現場の声を受けて改善中ですが、さらに「手当」などに反映すると、より一層技術者にとってのモチベーションアップにつながると思います。キャリアサポート(以下、CS)課は現場と会社の橋渡し的な存在なので、生の声を上層部に伝えることも大切なミッションです。技術者の場合、内勤スタッフと違って現場に出ているので「査定が難しいという課題」がありましたが、個人の頑張りを売り上げに応じて数値化するポイント制度が導入されています。「スキルアップすると待遇も上がる」という、わかりやすい基準が設けられていると士気もより高まりますね。

自由に意見交換ができる、若手が活躍する組織の魅力

──これまで他社でキャリアを積まれていますが、共同エンジニアリングの率直な印象を教えてください。

現在、大阪支店で勤務しているのですが、同僚や営業を含めて全体的に若手が活躍できる環境だと思います。大阪支店は支店長も30代前半で責任ある役職を任されているので、共同エンジニアリングへの思いや実行力があれば、年齢に関係なく重職を任される組織だと感じます。社風としては意見を言いやすく、とおりやすい環境ですね。他部署との交流も活発で、若手が活躍している社風だからこそ、構えることなく気軽に声をかけることができます。新卒入社した大企業では、上意下達が当たり前の社風でしたので、まったく違うと感じますね。

また、営業やCSといった部署が技術者のことを本気で大切に考え、的確にサポートする体制が整っていることも特徴だと思います。当社を選んでくれる技術者からも、「他社の内定もでていたけど、面接もわかりやすく丁寧で、入社後も支えてくれそうだと感じた」との声をいただいています。建設業界は未経験の方に「ハードルが高い」というイメージがあるのか敬遠されがち。手厚いサポートで、もっと未経験者のチャレンジを応援したいですね。

──今後のビジョンを教えてください。

技術者のみなさんが「共同エンジニアリングに入社して良かった」と心の底から感じられる会社にしたいです。CS課は技術者に一番近くで寄り添うことができる部署なので、多様な考えをしっかりと汲み取りながら、組織の成長につながる仕組みや制度づくりに貢献したいと考えています。例えば定期的にアンケートを実施していますが、「思わず回答したくなる」ようなおもしろい内容や工夫を凝らして「当社の未来について考えるきっかけづくり」にしたいですね。

 

※2023年12月18日時点の記事です