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プラント工事とは「工場設備を建設する工事」のこと
プラント工事の「プラント」とは、工場設備や生産設備一式のことを指します。つまり、プラント工事とは、工場設備や生産設備を建設する工事ということです。
工場には食品工場、製薬工場、製鉄工場、セメント工場、発電所などがあり、何のプラントを建設するのかは工場によって異なります。
工場に関する工事といえば、建屋を建設する「工場建設」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、プラント工事は工場建設とは違うものです。
プラント工事には機械の据付や配管工事、階段の設置など、さまざまな工事が含まれます。工場の要ともいえる工事であり、ちょっとしたミスや不備が大きな事故を引き起こすおそれもあるため、高い専門性が求められます。
プラント工事で行う工事の内容
プラント工事には、工場の設備に関わるさまざまな工事が含まれますが、具体的にはどのような工事をするのでしょうか。プラント工事で行う主な工事について解説します。
足場工事
プラント工事で代表的なものといえば、足場工事です。さまざまな機械や配線、配管などが設置されている工場内で、移動や作業場所を確保するための足場を組み立てます。安全かつ効率的に工場内で作業するために欠かせない工事です。
プラント工事における足場工事は、単管足場施行という専門性の高い作業が必要なもので、一般的な足場工事とは異なります。
ミスや手抜きがあれば、工場の作業員の転落事故などを引き起こすおそれがあるため、スキルが豊富で実績のある業者が対応するのが基本です。
配管工事
プラント工事における配管工事とは、工場内で使用・排出される水や空気、汚水、ガスなどが通る配管を設置する工事です。薬品や毒性が高い物質など、危険な物質が通る配管を設置することもあります。
溶接の甘さなどが原因で配管から中身が漏れ出すと、大事故を引き起こすかもしれません。そのため、工場での作業がスムーズに進むようレイアウトしたうえで、確実に配管を溶接する技術が求められます。
足場工事と同じく工場の安全に関わる重要な工事であり、かつ専門性が必要であるため、「プラント配管工」が工事を行います。
定期修繕工事
定期修繕工事とは、プラントの点検・メンテナンス・修理を行う定期的な工事のことです。場合によっては、耐震補強を行うこともあります。
プラント工事をどれだけ丁寧に行ったとしても、長く使い続ければ劣化や不具合などが出てくるものです。プラントの劣化や不具合を放置すると、大きな事故につながる可能性があるため、定期的に点検や修理を行う必要があります。
毎日の稼働で溜まった汚れを洗浄したり、作業効率化や安全性向上のためにプラントを改造したりすることもあります。
機械据付工事
機械据付工事とは、工場で必要な機械を適切に設置する工事のことです。工場で使用する機械は高額で精密なものが多いため、故障したり傷をつけたりしないように設置します。
傾きに弱い機械もあるため、慎重に機械を吊り上げて運ぶ、水平を保てるよう設置するなどの技術が必要です。
製缶工事
製缶工事とは、鉄やステンレスなどを加工して設備を作る工事です。素材に穴をあける、溶断・溶接するなどして、気体・液体を入れるタンクや水槽、ダクトなどを作ります。
素材を加工するだけでなく、タンクの中身が漏れるなどの事故が起こらないよう、しっかり密閉する技術も必要です。取り扱い可能な素材や製造可能な設備は、業者によって異なります。
プラント工事の仕事はきつい?仕事の実態
幅広い工事を行うプラント工事ですが、「きつい仕事では?」と気になる人もいるのではないでしょうか。そこで、プラント工事で大変だと感じることと、プラント工事のやりがいについて紹介します。
大変だと感じることとは
プラント工事でもっとも大変だと感じることは、ミスが許されないことでしょう。プラント工事では、ほんの少しのミスが大事故につながるリスクがあります。
作業員のケガや人命に関わる大事故を招いてしまうかもしれないため、一瞬たりとも気を抜かずに正確に工事を進めなくてはなりません。
また、メンテナンスに24時間対応しなくてはならないこともあり、夜勤が大変だと感じる人もいます。時期によっては工期を守るために残業が重なり、体力的にきついと感じることもあるでしょう。
しかし、最近は建設業界でも長時間労働の是正や生産性の向上など、働き方改革が進んでいます。きちんとした企業であれば、度重なる残業や休日出勤に追われることはないといえます。
プラント工事のやりがいとは
プラント工事のやりがいといえば、社会貢献できることです。プラントは食品やエネルギーなど人々の生活に欠かせない産業が多いため、誰かの役に立っていると実感できます。
また、石油やガス、新規エネルギーなどにおいては、海外での仕事も多いため、現地の人の豊かな生活の実現に役立っていると感じられることもあるでしょう。
生活に欠かせない産業に関わるということは、安定性・将来性が高いのもポイントです。収入も高い傾向もあり、しっかり稼げるという点にやりがいを感じる人もいます。
プラント工事の仕事で求められる資格・スキル
ミスが許されない、専門性が求められるなど、厳しい面もあるプラント工事ですが、代わりに安定性や高い収入が得られる可能性があります。
人々の生活を支えるというやりがいも感じられるため、プラント工事の仕事に関わってみたいと思う人もいるでしょう。しかし、プラント工事の仕事に就くには、どのようなスキルや知識が必要なのでしょうか。
【資格】「施工管理技士」の資格
プラント工事の仕事に関わるのに資格は必須ではありません。しかし、資格を取得しておくと、採用や昇進、昇給などで有利になります。
プラント工事向けの資格には、エネルギー管理士や建築士などがありますが、おすすめなのは施工管理技士の資格です。
7種類ある施工管理技士のなかでも、配管工事を担う管工事施工管理技士や、電気工事の施工管理に必要な電気工事施工管理技士は、とくに有利に働くでしょう。
【スキル】汎用的なスキル
プラント工事の仕事でキャリアアップを目指すなら、土台となるスキルを磨く必要があります。
計画力、交渉力、問題解決能力など、多くの仕事で求められるスキルはプラント工事の仕事でも必要です。また、建設現場では多くの従業員と関わるため、円滑に関係を築けるコミュニケーション能力も必要とされます。
海外で働く可能性がある企業では、英語を用いたコミュニケーション能力が求められることもあります。TOEICで600点ほど取れる語学力があると有利です。
建設現場ではさまざまな専門用語が飛び交うことがあるため、日常会話だけはもちろん、関連分野の専門用語も勉強しておくと良いでしょう。
まとめ
日常生活では耳にする機会が少ないプラント工事は、食品工場や発電所など、人々の生活に欠かせないプラントを建設する重要な仕事です。
少しのミスが大きな事故に発展する可能性があるためミスが許されず、確実に作業を完了させる正確さも求められる厳しさがあります。その反面、社会貢献できている、高収入が得られるなどやりがいも多く、安定性・将来性も高いため、建築業界を目指している方は、ひとつの選択肢としてチャレンジしてみると良いでしょう。