建設コンサルタントとは?仕事内容・やりがい・必要なスキルを紹介!

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家や街を作る建設関連の仕事は、社会的貢献度が高いです。その中でも、建設コンサルタントは建設現場全体をプロデュースする役割を担っています。 建設コンサルタントを志望する方は、「交通量が少ない地域の社会資本を支えたい」「多くの人が行ってみたいと思うような壮大な橋梁の計画、都市設計をしたい」「人々の生活を豊かにしたい」と考えている方が多いようです。 今回は、建設コンサルタントの仕事内容や難易度、就業に役立つ資格、スキルをご紹介します。

建設コンサルタントの歴史

建設コンサルタントが最初に登場したのは、イギリス産業革命があった18世紀末頃です。当時、技術革命や交通革命にともない、鉄道・道路・運河といった社会インフラを大規模に整備しました。このとき発注者の利益を守るため、建設会社が設計から建設までを一貫して行うのではなく、設計を分離し高度な技術を持った中立的な専門家が担うようにしたのです。

日本では、昭和34年に当時の建設省が「土木事業に係わる設計業務などを委託する場合の契約方式等について」を出したのが始まりです。当通知では、設計業務と施工業務の担当を分離する「設計・施工分離の原則」が明示されました。

その後、昭和36年に会員数12社で発足した「建設コンサルタンツ協会」は、平成13年には519社に会員数を伸ばしています。

平成6年には「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」が閣議決定、平成17年には「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され、工事の価格より技術力が重視されるようになりました。このような中、建設コンサルタントの重要性はますます高まっています。

建設コンサルタントとは?

建設コンサルタントとは、インフラ整備の総合的なプロデュースをする仕事です。私たちの街の道路や鉄道、河川、ダム、公園といった社会資本は、国や行政によって常に整えられ、維持管理されています。

このような社会資本を整備するための設計や事前調整、計画立案をし、クライアントに対して提案するのが建設コンサルタントです。着工するまでの前段階となる幅広い業務を担当します。

建設コンサルタントは国と国民の中立的な立場にたち、双方をつなぐ重要な役割を担います。公共事業に関わるものの、一般職にあたります。

なお、インフラに関連する都市開発の仕事については、以下の記事で詳しく解説しています。建設コンサルタントの仕事を知るうえでも参考にしてみてください。

都市開発に携われる仕事とは。6つの職種と関わり方を紹介

建設コンサルタントの仕事内容

それでは、建設コンサルタントの仕事内容や難易度をみていきましょう。インフラ整備は、事業主となる国や自治体、建設コンサルタント、建設会社の三者が共同して行うのが一般的です。そのなかでも建設コンサルタントは、着工するまでの業務を担当します。

基本的な仕事内容は、以下のとおりです。

・計画:事業の基本方針や概要などを策定する
・測量・調査:交通量や水質、環境保全などを含めて調査し、地形の測量を行う
・補償:事業に必要とされる用地を買収する
・設計:事業全体の設計図を作成する

「設計・施工分離の原則」に基づいた分類では、建設コンサルタントは建設関連業です。建設会社のように、建機を使って工事をすることはありません。

難易度

建設コンサルタントは社会資本に関する調査、計画策定がメインの業務です。案件によって社会資本の規模や種類は異な土木や建設に関する高度な専門知識とスキルが求められます。難易度は高いといえるでしょう。

一人前の建設コンサルタントになるには、最低でも5年以上の長い時間をかけて、実務経験を積み重ねていく必要があります。

建設コンサルタントのやりがい

次に、建設コンサルタントの仕事のやりがいをみていきましょう。

公共のインフラ整備に関われる

建設コンサルタントは公共のインフラ整備に関わる、非常にやりがいのある仕事です。特に、官公庁や地方自治体を依頼主とする大規模事業に携われる機会が多くあります。自分の仕事が社会貢献につながっている実感が得られやすいでしょう。

また、自然災害の多い日本において、社会基盤の整備は重要度が高いです。人々の安全を守り、便利で豊かな生活を作れる仕事として、誇りをもって働くことができるでしょう。

後世に残る構造物を作り出せる

建設コンサルタントが主に計画や設計などで関わる構造物は、道路・橋・鉄道・水道・ダムといった社会インフラです。これらは後世にわたって長く残り続けるため、それを手掛けられる醍醐味があります。

社会インフラをはじめとする大規模な構造物は、何十年、何百年もその場所にあり続けます。ものづくりに携わる人間として、自分が計画して周辺を調査し、設計した大規模な構造物が多くの関係者によって形になっていく様子は、非常にやりがいを感じられるでしょう。

さらに、自分の手掛けた構造物が後世の人々にも利用されることを考えると、大きな充実感を得られます。

難易度の高い課題解決に尽力できる

建設コンサルタントが手掛けるのは難易度が高い仕事が多く、その課題解決に向けて尽力する必要があります。だからこそ、仕事をやり切り、構造物が形になったときのやりがいは、非常に大きいものです。

インフラ関連の仕事は、予算や工期が厳格に決められている案件が多く、激務になりやすい傾向があります。規模が大きくなるほど、労働時間は長く残業や休日出勤が多くなりがちです。

また、社会的な責任が大きいからこそ、プレッシャーも大きくなります。設計や施工に不備があれば、大きな損害や人々の暮らしに支障が出るため、気が抜けません。

そのため、身に付けた高い専門知識や多くの経験を惜しみなく活用でき、仕事から得られる達成感も大きいものといえます。

建設コンサルタントの年収はどれくらい?

建設コンサルタントの平均年収は、630~1000万円といわれています。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均給与は523万円です。一般的な会社員と比較して、平均年収は高めであることがわかります。

出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査

建設コンサルタントの平均年収が高い理由として、専門性が必要とされることに加え、大きな責任も伴う仕事であることがあげられます。勤続年数や経験、資格が増えるとともに、さらなる収入アップが期待できます。

建設コンサルタントになるには?

建設コンサルタントになるまでには、大きく分けて、次の2つのステップを踏む必要があります。

1.事業に関連する学歴・経歴を得る
2.未経験可の企業に応募する

それぞれのステップで具体的にどういうことが必要になるのかを、みていきましょう。

1:事業に関連する学歴・経歴を得る

基本的に建設コンサルタント会社は、事業と関連する学歴や経歴を有している人を採用対象にしています。

例えば、土木系の建設コンサルタント会社に就職する場合、以下のような学歴を有していることが条件です。

・4年制大学の土木工学部
・大学院の土木研究科
・土木系の専門学校

また、企業によっては、資格を持っていると選考や待遇で有利になることがあります。専門知識を学んだ上でキャリアをスタートさせれば、即戦力として活躍しやすいでしょう。

2:未経験可の企業に応募する

建設コンサルタントの経験がない場合は、未経験者可の企業に応募しましょう。中小企業であれば、学歴・職歴不問で募集しているケースがあります。

特に、社員を教育することに力を入れている企業を選ぶのがおすすめです。資格の取得を支援する制度を設けている企業もあるので、積極的に利用して、コンサルタントとしての実力をつけていきましょう。

建設コンサルタントの関連資格

建設コンサルタントは専門性が高く、計画の立案から調査、設計と幅が広い仕事です。必要なスキルや資格もみていきましょう。

技術士

文部科学省が認定する国家資格で、科学技術に関連する高度な知識と応用力を備えた技術者としての能力を証明します。試験には一次試験、二次試験があり、取得難易度は高めです。

RCCM

一般社団法人 コンサルタンツ協会が認定する民間資格です。建設関連の技術者としての能力を証明するため、公共事業を発注する国土交通省も重要視しています。

そのほか、測量士や地質調査技士など、測量や地質調査、環境調査などに関連する資格も役に立ちます。

RCCMの仕事内容や取得するメリットについて、詳しくは以下の記事も参考にしてください。

RCCMとはどんな資格?仕事内容や取得するメリット、難易度を解説

建設コンサルタントに必要なスキル

建設コンサルタントに必要なスキルは、次のとおりです。

プレゼン力

建設コンサルタントは、クライアントに対して施工内容の説明や提案をして、承認を得る必要があります。その際、専門的な話や施工のメリットをわかりやすく伝える高いプレゼン能力が求められます。クライアントや地域住民との良好な関係を築くコミュニケーション能力も必要でしょう。

マネジメント力

スケジュールどおり円滑に業務を進めるためには、マネジメント力も必要です。複数の案件を一人で担当する場合が多いため、定期的に進捗や品質を確認しながら調整していかなければなりません。納期に遅れることがないよう、必要な工程や品質を確保するためのマネジメント力が求められます。

まとめ

建設関連の仕事のなかでも、建設コンサルタントは責任の大きい仕事です。計画の立て方や指導の仕方によっては、工事の進行や工期にも影響を与えかねません。高いコンサルティング能力が求められるので、志望動機をしっかりまとめて就業に臨みましょう。

建設関連の仕事に興味があるなら、施工管理もおすすめです。施工管理はゼネコンに従事し、現場で工事全体を管理する仕事です。建設コンサルタントも施工管理の役割に携わりますが、より工事現場に近いポジションで仕事したいという方は施工管理が向いています。人手不足のためニーズが大きく、採用のチャンスも広がるでしょう。

また、未経験での転職を考えている方は、共同エンジニアリングにお問い合わせください。次世代を担う若手を積極的に採用しており、未経験者向けの施工管理サポートを実施しています。研修が充実していて、専門技術研修では施工管理に関する基礎知識をはじめ、業界経験豊富なベテラン講師陣と共に皆さんをサポートします。建設業界・プラント業界導入研修や建設基礎研修、リスキリング・リカレント教育などを受講することが可能です。

現場に配属後もキャリアサポート、研修講師、営業担当、採用担当によるサポートを受けられるので安心です。建築関連の仕事に興味があっても未経験で迷っているなら、どうぞお気軽にご相談ください。