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建設コンサルタントは「今後なくなる」といわれる理由
建設コンサルタントは専門性が高く、社会に欠かせない存在ですが、一部では「大型プロジェクトの終了に伴い建設コンサルタントの需要は落ち込む」「建設コンサルタントは今後なくなる」という声も聞かれます。ここでは、そうした見方が生まれる主な理由を3つ紹介します。
公共事業の縮小
地方自治体や官公庁が発注する公共事業に携わることが多い仕事のため、建設コンサルタントの需要は政策や経済状況の影響を大きく受けます。
近年は少子高齢化や人口減少の進行によって新たなインフラ整備の必要性が低下し、公共事業への投資は減少傾向にあります。
特に1990年代後半のピーク以降は、「ハコモノ行政」への批判や財政制約の強まりから投資額が縮小し、業界全体の市場規模にも影響を及ぼしてきました。こうした背景が、建設コンサルタント業界の将来性に不安を抱かせる要因のひとつになっています。
デジタル化・AIの進展
デジタル化やAIの進展は、建設コンサルタント業界の業務形態を大きく変えつつあります。例えば、ドローンを活用すれば上空からの現場確認や高精度な測量が可能になり、危険な場所での作業を減らせます。
さらに、AIの導入によって、さまざまな業務を自動化して工数を劇的に削減したり、熟練職人の技術をデータ化・共有化したりすることも可能です。
このような技術の進化によって、従来は人の労働力や判断に依存していた作業が機械に置き換えられ、業務効率化やコスト削減が実現しつつあります。
一方で、最新技術への対応が難しい企業や人材は、需要が下がっていく可能性があります。
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若手の不足
建設コンサルタント業界は高齢化が進む一方、若手人材の不足が深刻化しています。業界の平均年齢は40歳を超え、40~50代が中心層となる中、20代の社員は極端に少ないのが現状です。
その背景には、不況期に新卒採用を控えた影響や、長時間労働・休日出勤などによる定着率の低さが考えられます。
また、近年は働きやすさを重視する傾向も強まっています。この価値観の変化と業界の現状が噛み合わず、キャリアパスを描きにくいと捉えられることもあります。
このように若手の採用難が続くと、業界全体の活力が低下する可能性があることから、将来性を危惧する声が上がっているようです。
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建設コンサルタントの将来性は高い!
公共事業の縮小やデジタル化による業務形態の変化など、建設コンサルタントを取り巻く環境は急速に変化しつつあります。しかし、こうした変化を踏まえても、建設コンサルタントの将来性は依然として高いといえます。
ここでは、その根拠を3つ解説します。
老朽化したインフラの維持管理ニーズがある
道路や橋、上下水道、空港などの公共インフラは、経済活動や暮らしを支える不可欠な存在であり、将来的に公共インフラ整備が不要になることはありません。
かつては新規建設が中心でしたが、現在は既存施設のリニューアルや老朽化対策が主流です。
実際に、高度経済成長期に整備された多くのインフラは、すでに耐用年数を迎えており、全国各地で改修・修繕工事が進められています。
災害対応・防災対策の重要性が増している
日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しており、災害対応や防災対策の必要性が年々高まっています。
災害現場において、建設コンサルタントは被災状況を把握するための現地調査や復旧計画の立案、必要な費用の検討など、重要な役割を担います。
気候変動などの影響によって災害リスクは上昇しており、災害対応・防災対策における建設コンサルタントの需要はいっそう高まっていくと予測されます。
新興国のインフラ需要が拡大している
日本国内にとどまらず、アジアやアフリカなどの経済成長が著しい新興国では、道路や橋、上下水道などのインフラ整備需要が急速に高まっています。
これに伴い、国際的な建設コンサルタントへの依頼も増加傾向にあります。
日本の建設コンサルタント企業も、海外市場へ参入することで新たなビジネスチャンスを広げられます。特に、海外での実務経験や専門知識を持つ人材は、グローバルな視点を活かして活躍できる場が増えています。
建設コンサルタントとして長く活躍する方法
建設コンサルタントは将来性の高い職業ですが、業界を取り巻く環境は常に変化しています。ここでは、建設コンサルタントとしてキャリアを成功させる方法を3つ紹介します。
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幅広い知識とスキルを身に付ける
建設コンサルタントとして長く活躍するには、土木や環境分野の基礎知識に加え、防災計画や都市計画といった応用分野まで幅広く理解しておくことが重要です。
また、BIM/CIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング/コンストラクション・インフォメーション・モデリング)やGIS(地理情報システム)など、DX化に対応できる技術スキルも身に付けておくと強みになります。
さらに、複雑なプロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力や、顧客や関係者との信頼関係を築く技術営業のスキルも重要です。公共事業に関わる場合は、環境規制や安全基準などの法規制にも精通しておく必要があります。
幅広い知識とスキルを備えることで、技術の進化や業界の変化に柔軟に対応でき、長期的なキャリアの安定につながります。
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資格取得によってスキルを証明する
建設コンサルタントとしてキャリアの幅を広げ、長期的な活躍を目指す上でも、資格取得は大きな武器となります。
例えば、技術士や土木施工管理技士といった資格は、専門知識や実務経験を客観的に証明できるだけでなく、プロジェクト管理や顧客との信頼構築においても有利に働きます。
また、資格保有者は業界全体で評価が高く、結果的に給与水準の向上にもつながります。
関連記事:「土木施工管理技士の受験資格・試験概要を徹底解説!」
業界内での人脈を構築する
建設コンサルタント業界で成功するためには、人脈づくりも重要です。 研修会やセミナーに積極的に参加すれば、ネットワークを広げられるだけでなく、異業種の専門家との交流から多角的な視点や知見を得られます。
業界内で築いた人脈は、プロジェクト受注のきっかけや転職時の推薦につながることもあります。日頃から自身の実績や専門性を発信し、信頼関係を築くことが大切です。
まとめ
建設コンサルタント業界は、公共事業の縮小やデジタル化、人手不足といった課題に直面しつつも、老朽化インフラの維持管理、防災・減災対策、新興国のインフラ整備需要など、将来的に必要とされる分野が数多く存在します。
今後も安定して活躍し続けるためには、幅広い専門知識と最新技術への対応力を磨き、資格取得で専門性を証明しながら、人脈づくりを通じて活躍の場を広げることが重要です。
建設コンサルタントは建設事業において多くの工程に関わるため、高度かつ幅広い知識が求められます。未経験から建設コンサルタントを目指す方は、まず施工管理などの建設系職種から挑戦するのがおすすめです。
特に、正社員型派遣であれば未経験から挑戦しやすく、現場での知識やスキルを身に付けながらキャリアを構築できます。
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