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【前提知識】プラントエンジニアの種類と仕事内容
プラントとは日常品や鉄鋼などの製品から石油・ガスなどのエネルギーまで、さまざまなものを生産する設備一式のことです。そしてプラントの設計や施工管理、メンテナンスを行う技術者を「プラントエンジニア」と呼びます。
プラントエンジニアは、生活に欠かせない製品を扱うプラントをはじめ、発展途上国のエネルギープラントを手掛けることもあり、社会貢献度の高い職業です。ここでは、プラントエンジニアの仕事内容を解説します。
施工管理
プラントの建設工事において、各工程の全体像を把握して進捗管理や品質管理を行うのが「施工管理」です。また作業者の安全性を確保するため、安全な作業手順の指導や環境整備も行います。
基本設計/詳細設計
プラントは多くの装置の集合体です。基本設計では、これらの装置の組み合わせや、装置内の原料の温度・圧力・流量を決め、装置の全体構造を設計します。
詳細設計では、基本設計をもとに以下のような細かい機器の設計を行います。
・燃焼炉やボイラーなどの各種機器の設計
・機器間で気体や液体を送るパイプを設計する配管設計
・プラント建設のための土木工事や建築工事の設計
・コンプレッサーやタービンなど、プラントに使用される回転機械の設計
・発電設備や防消火設備などの設計
資材・部品調達
設計した機器仕様書に基づいて資材や部品の調達を行うのも業務のひとつです。メーカーに見積もりを依頼し、費用や工期を踏まえて発注するメーカーを決めます。
メーカー決定後は打ち合わせを行い、メーカーが作成する設計図書が、要求した仕様になっているか確認します。
オペレーション&メンテナンス(O&M)
オペレーション&メンテナンス(O&M)とは、施設や設備に関する運転管理・維持管理業務のことです。プラントの故障や不具合などを未然に防ぎ、安心安全に稼働するにはオペレーション&メンテナンスが欠かせません。
オペレーション(運転管理)は、業務量や施設規模、顧客の要望などを考慮し、人員配置・必要スキル・緊急時対応などを記載した運転管理計画を作成する業務です。運転管理計画作成後は、計画内容に沿って運転できているかを監視します。
メンテナンス(維持管理)では、機器設備の機能を診断し、効率的なメンテナンス計画を作成します。計画に基づいて、機器設備の老朽度や性能の定期点検を実施します。また、突発的なトラブルを防ぐための予防保全や改善策を提案するのも業務のひとつです。
以下の記事でオペレーション&メンテナンスについて詳しく解説しているため、あわせて参考にしてみてください。
プラントエンジニアへの転職が向いている人とは
ここでは、どのような人がプラントエンジニアへの転職に向いているのか解説します。
勉強熱心な方
プラントエンジニアは、機械や電気、計装などの技術的な知識が求められる技術職です。勉強熱心で常に自分の知識やスキルを磨いていける方に向いている仕事といえます。専門性の高い職業であるため、手に職を付けたい方にもおすすめです。
社会貢献したい方
プラントエンジニアの仕事は、製品やエネルギーなどを生産するプラントを手掛けることであり、経済や社会インフラに大きく関与します。
とくに、エネルギープラントは現代社会において不可欠であり、その供給を確保することは社会インフラの維持と発展に寄与します。発展途上国のエネルギープラントに携わる場合は、その地域の経済発展に直接貢献していることを実感できるでしょう。
人材派遣や紹介事業、海外エンジニア事業などを行うJAGフィールド株式会社が、20〜60代の建設業界に携わるエンジニアを対象に実施した調査によると、「プラント建設に関わる魅力は何か」という質問に対して「社会的役割を果たすことが多い」と回答した方が40%以上いました。
このことから、実際にプラントエンジニアとして働いている方の約2人に1人は、社会貢献していることを実感しているといえます。
出典:JAGフィールド株式会社「【SDGsへの貢献事業!】“プラント建設”の今後の需要増に伴い、求人サイトをリニューアルオープン!」
高収入を得たい方
職業提供サイトの「jobtag」によると、プラントエンジニアの平均年収は606.2万円となっており、高収入であることがわかります。未経験からプラントエンジニアに転職しても、仕事を通じて技術や経験を積めば、高収入を目指すことが可能です。
出典:job tag「プラント設計技術者 - 職業詳細」
柔軟な働き方がしたい方
プラント建設専門のエンジニアリング会社や建設会社では、フレックスタイム制度を導入しているケースが多くあります。またシフト制の企業では夜勤もありますが、残業が少ない現場も多く、定時で帰って休息やプライベートの時間に充てることができます。
定修(定期修理)のタイミングは忙しくなりますが、ほかの時期は残業が少ないケースがほとんどです。柔軟な働き方ができることや、残業時間が少ないことでワークライフバランスが実現しやすくなります。
プラントエンジニアに求められる知識・スキル
プラントエンジニアへの転職を目指すにあたって、どのような知識・スキルが必要なのか紹介します。
工学系全般の知識
プラントエンジニアは応用化学や化学工学、機械工学などの工学系全般の知識が必要です。そのため、プラントエンジニアへ就職する方は、大学の理工学部や高等専門学校出身者が多い傾向にあります。
コミュニケーションスキル
詳細設計では、分野ごとに複数のプラントエンジニアで分担・協力して設計を進めるため、円滑に情報共有するためのコミュニケーションスキルが欠かせません。また、社外メンバーと要件をすり合わせることもあり、専門的な情報をわかりやすく適切に伝える説明力も求められます。
英会話スキル
プラントエンジニアの業務領域では、発展途上国を中心に海外の仕事も増加しており、英語力が求められるようになってきています。すでに海外進出している企業の求人では、一定の語学力を採用条件にしているケースもあります。
解析ツールや設計システムの操作スキル
プラントの設計では、シミュレーターやCADシステムといった、解析ツールや設計システムを扱うことから、こうしたツールを使いこなすスキルも必要です。また、技術の進歩によって新しいシステムやツールが普及することもあるため、知識のアップデートも求められます。
未経験者がプラントエンジニアになるには?
プラントエンジニアには工学系の専門知識が求められることから、異業種からの転職は難易度が高めです。とはいえ、未経験者(学歴不問)を募集する求人もあります。ここでは、未経験者がプラントエンジニアへの転職を成功させるために重要なポイントを2つ紹介します。
資格を取得する
プラントエンジニアに転職するために資格は必須ではありません。しかし、資格を取得することで第三者に専門性を証明でき、転職を有利に進められる場合があります。とくに未経験者は、経験者に比べてアピールできるスキルや経験が乏しいため、資格を取得してみるのをおすすめします。資格取得に向けた努力や熱意も評価されるでしょう。
プラントエンジニアの関連資格には、「技術士」(建設や機械、化学など)・「エネルギー管理士」・「施工管理技士」などいくつか挙げられます。中でも近年は、国際的に認知度の高い「PE(Profesional Engineer)」を取得する方も増えています。
研修制度のある会社へまず入社する
未経験者を歓迎している求人の多くは、自社で研修プログラムを用意しています。転職するために資格を取得したりスクールに通ったりするのもひとつの方法ですが、未経験者を募集する会社に入社して、社内研修で働きながら実践的なスキルを習得するほうが効率的といえるでしょう。
共同エンジニアリングでは、プラントエンジニア未経験者を積極的に採用しています。教育プログラムも充実しており、基本的なビジネススキルからプラントエンジニアリングまで学べるので、スキルに自信がない方でも安心です。
共同エンジニアリングに入社後は、各プロジェクトに派遣され、施工管理サポートとして実務経験を積みます。あなたの状況や希望を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な企業(現場)を紹介いたしますので、ぜひご応募ください。
まとめ
プラントエンジニアはプラントの建設・設計を行う技術職であり、工学系の知識や解析・設計ツールを扱うスキルが求められるため、勉強熱心な方に適している職業です。未経験から転職するのは簡単ではありませんが、未経験者を採用する企業もあります。手に職を付けたい方、社会貢献をしたい方は、ぜひ挑戦してみてください。