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海外で働くなら「建設業」がおすすめ
「価値観を広げたい」「語学力を身につけたい」「海外で働くのに憧れがある」など、海外勤務を目指す理由は人それぞれですが、おすすめなのは建設業です。
ここでは海外勤務を実現するのに、なぜ建設業がおすすめなのか、その理由を3つ紹介します。
理由1.新興国を中心にインフラ需要が高まっている
日本では少子高齢化の影響を受け、インフラ需要は減少しているのが現状です。しかし、アジアやアフリカといった新興国では、インフラ需要が高まっています。その背景として、都市人口の増加による都市開発が急務となっているためです。
建設受注高は、新型コロナウイルス感染症による経済停滞で、2020年度は落ち込みました。しかし、「一般社団法人 海外建設協会」のデータによると、2021年度の海外建設受注は回復傾向にあり、前年度より175件増加し、金額は6,713億円増加しています。
地域別に見ると、アジアでは前年度より194件増加、金額は3,389億円の増加です。北米では受注件数そのものは54件減少したものの、金額は2,689億円増加となっています。新型コロナウイルス感染症の影響で、民間の受注は減少していますが、公共機関では受注件数や受注額が増えているのが事実です。
出典:「海外建設受注実績レポート」(一般社団法人 海外建設協会)
理由2.インフラシステム輸出戦略が打ち出されている
「インフラシステム輸出戦略」は、国土交通省が打ち出した海外のインフラ需要を取り込むための戦略です。これは経済成長の実現や国際競争を勝ち抜く目的で設立されました。インフラシステム輸出戦略には、以下の5本の柱があります。
1.グローバル競争力強化のための官民連携を推進
2.海外展開のための人材の発掘・育成支援
3.先進的な技術や知識を活かし、国際標準を獲得
4.インフラ分野への進出支援
5.海外からの安定的かつ安価な資源供給の確保を推進
日本国内ではインフラ需要が低下していますが、海外ではインフラ需要が増加しています。日本独自の強みである技術やノウハウを海外で活かせれば、日本の経済成長につながるとされています。
出典:「第8回 海外港湾物流プロジェクト協議会」(国土交通省)
理由3.日本に戻ると重宝される
海外勤務には、以下の3つのメリットがあります。
・英語をはじめとする語学力が身につく
・海外で実績を積めばキャリアアップにつながりやすい
・異文化交流により知見が広がる
日本の企業でもグローバル化に向け、英語力のある人材は重宝されます。海外勤務となると、日常的に英語で会話する環境に身を置くこととなるため、自然と英語力が身につくでしょう。英語圏以外でも、現地の人達と交流することで、その国の言語を身につけられます。
また慣れない環境である海外で実績を上げれば、日本に帰ってきた際に大きな自信にもつながるでしょう。転職する際にも、大きなアピールポイントとなります。
場合によっては、企業の重要なポストを任される、さらなる海外赴任の機会を与えてもらえることもあるでしょう。その結果、年収アップにもつながります。
そのほか、日本とは異なる文化や常識がある国での暮らしは、自分の価値観を広げる良い経験にもなります。現地の人々との交流を経て、仕事に活かせる知識・経験だけではない何かが掴めるかもしれません。
施工管理なら「海外で働く・手に職をつける」を実現可能
建築業界にはさまざまな職種があります。そのなかでも、海外勤務を目指すのであれば「施工管理」がおすすめです。
海外での建設受注が増加していることから、国内の施工管理技士が海外へ派遣されるケースも増えています。
日本の施工技術は海外でも注目されているため、日本で施工管理経験を十分に積むことにより海外で働くことが目指しやすい職種といえるでしょう。海外展開している日本企業では、施工管理などの現場の技術者は長期間赴任することがほとんどですが、設計職や事務職は必要な場合のみ現地を訪問するケースが多いため、長期間海外で働きたい場合は、施工管理がおすすめです。
施工管理のポジションは、現場の「管理者」となります。工程に応じて必要な数の作業員を配置したり、作業の進め方を指示したりします。
また、作業の安全管理、品質管理、原価管理といったさまざまな管理も仕事のひとつです。施工管理は資格の有無にかかわらず、建築業未経験からでもスタートできる職種です。
しかし、将来的に施工管理技士としてキャリアアップを目指すのであれば、施工管理技士の資格取得をおすすめします。企業によっては、資格支援なども行っているため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
「施工管理なら手に職をつけられる」といえる理由については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
「安定した仕事に就きたい人必見!スキルなしでも目指せる職業3選」
施工管理として海外で働くための手段
海外勤務を目指すのであれば施工管理がおすすめですが、就職先の選定は重要です。ここでは、施工管理として海外で働くための方法を3つ紹介します。
手段1.大手ゼネコンに就職する
ゼネコン(ゼネラルコントラクター)とは、総合を意味する「ゼネラル(General)」と請負人を意味する「コントラクター(Contractor)」の略称で、総合建設業者を意味します。
数億円から数千億円単位の大規模な工事を請け負うのが大きな特徴です。ゼネコンのなかでも「スーパーゼネコン」と呼ばれる大企業は海外展開していることが多く、就職すれば海外勤務のチャンスもあります。
また、若手社員を積極的に海外赴任させる傾向にあるため、入社して間もないうちに海外勤務できる可能性があります。とはいえ、スーパーゼネコンへ転職するのは簡単ではありません。
土木や建築施工に関連する資格を取得するなどの対策が必要です。研究・開発といった職種では専門性が問われるため、狭き門といえます。しかし、海外勤務へのチャンスを掴むのであれば、ゼネコンへの就職は有効です。
手段2.海外事業を展開している建設会社に就職する
ゼネコンでなくても、海外事業を展開している建設会社であれば海外勤務のチャンスはあります。中堅の建設会社でも海外向けの事業を行っている会社は少なくありません。そういった会社では、海外勤務社員の割合のほうが多い場合もあります。
転職難易度においても、ゼネコンに比べて転職しやすいといえるでしょう。しかし、そのような小規模の会社では即戦力が求められるケースも多いため、転職するのであれば、ある程度実績や経験が必要となる可能性があります。
また、海外勤務を希望するのであれば、入社してから語学力を身につけるのではなく、すでに語学力があることを証明する必要があるでしょう。
手段3.ODAに参加している企業に就職する
ODAとは「Official Development Assistance」の略称で、政府開発援助のことです。政府開発援助とは、開発途上地域の開発および発展を目的とした国際協力活動のことで、建築関係であれば空港や高速輸送システムのインフラ整備が該当します。
ODAに参加している企業であれば、東南アジアやアフリカといった発展途上国で勤務する機会もあるでしょう。ゼネコンや大手企業だけに限らず、ODAに参加する中小企業も増えつつあるため、選択肢のひとつとして押さえておくことをおすすめします。
手段4.海外の案件を持っている派遣会社に就職する
雇用形態を問わないのであれば、施工管理の派遣会社に就職するのもひとつの手段です。派遣会社では海外案件を持っていることも多く、インフラ需要の高い発展途上国であれば、求人を見つけるのは難しくないでしょう。
派遣会社であれば正社員ほど就職の難易度は高くありませんが、給料や待遇は正社員に劣る点には注意が必要です。とはいえ、社宅を用意していたり、赴任旅費を支給していたりと、福利厚生が充実している会社もあります。
長期間の海外勤務を目的としないのであれば、経験を積むうえでも派遣として働くのは良いでしょう。自分が関わりたい工事があれば、積極的に応募してみることをおすすめします。
まとめ
海外勤務を目指すのであれば「施工管理」がおすすめです。建築業界のなかでも施工管理は、海外に訪問する機会も多く、長期間赴任となるケースもあります。就職先としては、大手のゼネコンや海外展開している建設会社、ODAに参加している企業が良いでしょう。
また海外案件を持っている派遣会社もおすすめです。自身の今後のキャリアや目標を踏まえ、慎重に就職先を選んでみてください。