電気通信工事施工管理技士とは?取得するメリットや令和7年度の試験概要を解説

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近年、IT技術の進化や通信インフラの拡大にともない、電気通信工事の需要が急速に高まっています。その中で注目されているのが、「電気通信工事施工管理技士」という国家資格です。 この資格は、電話やインターネット、テレビなどの通信設備に関する工事の管理や監督を担う専門技術者を認定するもので、取得すると市場価値を大きく上げられます。 今回は、電気通信工事施工管理技士とは何か、取得するメリット、技術検定の概要について解説します。資格取得を目指す方やキャリアアップを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

電気通信工事施工管理技士とは

電気通信工事施工管理技士とは、電話やインターネット、テレビといった電気通信工事における現場で、施工管理(工程管理、安全管理など)の業務を幅広く遂行するために必要な国家資格のことです。

取得するには、建設業法第27条に基づいた国家試験である「電気通信工事施工管理技術検定」に合格する必要があります。検定に合格すれば、監理技術者や主任技術者として働くことが可能です。

なお、検定には1級と2級があり、それぞれの資格によって担当できる工事の規模や役割が異なります。下記では、電気通信工事施工管理技士の1級と2級の違いや、担当できる工事の例を紹介します。

電気通信工事施工管理技士1級と2級の違い

電気通信工事施工管理技士の1級と2級とでは、主な役割や配置が義務付けられている工事の規模、受検資格などが異なります。

【1級電気通信工事施工管理技士】
・役割:監理技術者として認められる
・仕事内容:下請を含む工事全体の施工計画書の作成、下請を含む工事全体の工程管理、工事全体の品質管理、下請を含む工事全体に対する技術指導、発注者などとの協議・調整など
・受検資格:第一次検定は19歳以上であれば誰でも受検可能。第二次検定は現場での実務経験が必要

【2級電気通信工事施工管理技士】
・役割:主任技術者として認められる
・仕事内容:元請が作成した施工計画書などに基づいて施工要領書の作成・修正、受注した工事の工程管理、全工程の品質管理、受注した工事における作業員への技術指導、元請(上位下請)への協議など
・受検資格:第一次検定は17歳以上であれば誰でも受検可能。第二次検定は現場での実務経験が必要

電気通信工事施工管理技士ができる業務

電気通信工事施工管理技士は、下記のような工事を担当します。

電話回線工事:固定電話やビジネスフォンの設置や配線工事
インターネット回線工事:光回線やLANケーブルの配線工事、Wi-Fi設備の設置
テレビ共聴設備工事:マンションやビルなどの共同アンテナ設置や配線
CATV工事:ケーブルテレビの配線や受信設備の設置工事
監視カメラ/防犯システム工事:防犯カメラの設置やモニタリングシステムの導入

電気通信工事施工管理技士になるメリット

電気通信工事施工管理技士は難関資格であり、取得するのは容易ではありません。しかし、苦労してでも取得するメリットがあります。下記では、電気通信工事施工管理技士になるメリットを3つ紹介します。

「専任の技術者」として従事できる

電気通信工事業を営むためには、軽微な工事(例:請負代金が500万円未満の工事)を除き、国土交通大臣または都道府県知事から建設業許可を受ける必要があります。そして建設業許可要件を満たすためには、営業所ごとに専任の技術者を配置しなくてはなりません。

電気通信工事施工管理技士を取得すれば、「専任の技術者」として認められます。専任の技術者になるには、「電気通信工事施工管理技士を含む国家資格を取得する」「一定期間の実務経験年数(10年以上)を積む」などの厳しい条件があるため、資格保有者は多く存在していません。

つまり、電気通信工事施工管理技士を取得することで、電気通信工事業における希少価値の高い存在として活躍できます。

監理技術者・主任技術者の立場で仕事ができる

電気通信工事施工管理技士2級を取得すると「主任技術者」、1級を取得すると「監理技術者」として従事できます。監理技術者や主任技術者は、建設業法により配置が義務付けられているポジションであり、企業にとって不可欠な人材です。

監理技術者:特定建設業者が元請として、総額5,000万円以上(建築一式の場合は8,000万円以上)の下請契約を行う場合に、法律で配置が義務付けられている。

主任技術者:元請・下請に関係なく、監理技術者が必要とされる工事以外のすべての工事において、法的に配置する必要がある(※)。

※特定専門工事(施工技術が画一的であり、技術上の効率化を図る必要がある、土木一式工事・建築一式工事以外の建設工事)において、主任技術者の配置が不要となる場合を除く。

需要が増しているため安定した仕事につながる

IT技術の進化にともない、電気通信工事の種類や件数は増加傾向にあります。しかし、通信技術が発展し続ける中で、電気通信工事を監督できる技術者は不足しているのが現状です。

そのため、この分野の専門資格として新たに創設された「電気通信工事施工管理技士」を取得した人は、希少価値の高い人材として高く評価されます。

電気通信工事施工管理技士を取得すると、監理技術者や主任技術者として現場の管理や安全確保、品質管理などを担う重要な役割を果たせるため、企業にとって不可欠な存在になります。特に1級資格を取得すれば、大規模工事の監理技術者として従事でき、より高度で責任ある業務に携わることが可能です。

このように、建築業法により配置が義務付けられているポジションになれるほか、需要も増しているため、資格保有者は安定した雇用を確保しやすく、待遇面でも優遇されやすいのです。

【令和7年度】電気通信工事施工管理技士の試験概要

下記では、令和7年度 電気通信工事施工管理技術検定の試験日程や試験内容、受検資格などの試験概要を紹介します。

試験日程

電気通信工事施工管理技術検定の試験日、試験地は下記の通りです。

【1級電気通信工事施工管理技術検定】

 

第一次検定

第二次検定

試験日

令和7年9月7日(日)

令和7年12月7日(日)

試験地

札幌・仙台・東京・新潟・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本・那覇(※近郊都市も含む)(金沢・熊本地区は当面の間の臨時開催地区)

札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇(※近郊都市も含む)

【2級電気通信工事施工管理技術検定】

 

第一次検定

第二次検定

試験日

・前期:令和7年6月1日(日)
・後期:令和7年11月16日(日)

令和7年11月16日(日)

試験地

・前期:札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇(※近郊都市も含む)
・後期:札幌・青森・仙台・東京・新潟・金沢・静岡・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇 (※近郊都市も含む)(静岡地区は当面の間の臨時開催地区)

札幌・青森・仙台・東京・新潟・金沢・静岡・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇 (※近郊都市も含む)(静岡地区は当面の間の臨時開催地区)

試験内容

下記は、令和6年度の電気通信工事施工管理技術検定の検定科目と検定基準です。

【1級電気通信工事施工管理技術検定】

 

検定科目

検定基準

第一次検定

電気通信工学など

・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「電気通信」「工学」「電気工学」「土木工学」「機械工学及び建築学」に関する一般的な知識
・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「有線電気」「通信設備」「無線電気通信設備」「放送機械設備など(電気通信設備)」に関する一般的な知識
・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「設計図書」に関する一般的な知識

施工管理法

・監理技術者補佐として、電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「施工計画の作成方法及び工程管理」「品質管理」「安全管理」など、工事の施工管理の方法に関する知識
・監理技術者補佐として、電気通信工事の施工管理を適確に実施するための応用知識

法規

建設工事の施工管理を適確に実施するための「法令」に関する一般的な知識

第二次検定

施工管理法

・監理技術者として、電気通信工事の施工管理を適確に実施するための知識
・監理技術者として、電気通信設備における設計図書の理解や作成、必要な機材の選定や配置などを適切に実施できる応用能力

【2級電気通信工事施工管理技術検定】

 

検定科目

検定基準

第一次検定

電気通信工学など

・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「電気通信工学」「電気工学」「土木工学」「機械工学及び建築学」に関する概略の知識
・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための電気通信設備に関する概略の知識
・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための設計図書を正確に読むための知識

施工管理法

・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための「施工計画の作成方法及び工程管理」「品質管理」「安全管理」など、工事の施工管理の方法に関する基礎知識
・電気通信工事の施工管理を適確に実施するための基礎的な能力

法規

建設工事の施工管理を適確に実施するための「法令」に関する概略の知識

第二次検定

施工管理法

・主任技術者として、電気通信工事の施工管理を適確に実施するための知識
・主任技術者として、電気通信設備における設計図書の理解や作成、必要な機材の選定や配置などを適切に実施できる応用能力

受検資格

電気通信工事施工管理技術検定の受検資格は、制度改正にともなって令和6年度から変更されました。しかし、経過措置として令和6年度から令和10年度までの5年間は、旧受検資格と新受検資格の双方が適用されます。

下記で紹介するのは、新受検資格です。旧受検資格については、「一般財団法人 全国建設研修センター」の公式サイトで確認してみてください。

【1級電気通信工事施工管理技術検定】

第一次検定

19歳以上(受検年度末時点での年齢)

第二次検定

令和3年以降の1級第一次検定に合格した者
・5年以上の実務経験年数
・特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数
・監理技術者補佐として1年以上の実務経験年数

2級第二次検定合格後、1級第一次検定に合格した者

・5年以上の実務経験年数
・特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数

【2級電気通信工事施工管理技術検定】

第一次検定

17歳以上(受検年度末時点での年齢)←旧受検資格から変更なし

第二次検定

・令和3年以降の1級第一次検定合格者:実務経験1年以上
・令和3年以降の2級第一次検定合格者:実務経験3年以上
・電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者、もしくは電気通信主任技術者試験合格者で、令和3年以降の1級または2級電気通信事施管理技術検定第次検定合格者

出典:
一般財団法人 全国建設研修センター「1級電気通信工事施工管理技術検定
一般財団法人 全国建設研修センター「2級電気通信工事施工管理技術検定

受検料

人件費の高騰などによって、令和7年度の受検手数料が引き上げられました。下記は、電気通信工事施工管理技術検定の受検手数料です。

 

第一次検定

第二次検定

1級

14,300円

14,300円

2級

7,150円

7,150円

難易度

令和6年度に実施された電気通信工事施工管理技術検定の受検者数、合格者数、合格率は下記の通りです。

【1級電気通信工事施工管理技術検定】

 

受検者数

合格者数

合格率

一次検定

7,997人

3,240人

40.5%

二次検定

4,650人

1,904人

40.9%

【2級電気通信工事施工管理技術検定】

 

受検者数

合格者数

合格率

一次検定(後期)

2,169人

1,488人

68.6%

二次検定

2,843人

1,512人

53.2%

※合格率は小数点第二位を四捨五入

上記の合格率をみると、難易度がそれほど高くない検定だと思う方もいるでしょう。しかし、電気通信工事施工管理技術検定は、実務経験者が受けられる検定であり、容易に合格できるわけではありません。十分な対策をして臨むことが大切です。

なお、最新年度の合格率は下記公式サイトからご覧ください。

出典:一般財団法人 全国建設研修センター「技術検定試験 合格発表公表資料

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まとめ

電気通信工事施工管理技士は、電気通信工事における現場で、施工管理(工程管理、安全管理など)の業務を幅広く遂行するために必要な国家資格です。電気通信工事施工管理技術検定に合格すると取得できます。なお、電気通信工事施工管理技術検定には1級・2級があり、1級を取得すると「監理技術者」、2級を取得すると「主任技術者」として従事できます。

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