サブコンとゼネコンの違いとは?建設業界における役割を詳しく解説

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建設業界への転職を検討している方のなかには、サブコンとゼネコンの違いを理解し、自分の方向性を見定めたいと考えている方もいるのではないでしょうか。 今回は、サブコンとゼネコンの違いについて詳しく解説します。それぞれの役割や仕事内容を踏まえ、自分のスキルを発揮できる環境はどこか、マッチした環境を選択できるように、ぜひ参考にしてみてください。

サブコンとゼネコンの違いとは

基本的に建設プロジェクトでは、発注者からゼネコン、そしてサブコンへと仕事が流れるようになっており、両者は「元請け」と「下請け」の関係にあります。施主をトップにしたピラミッド構造ともいわれ、それぞれ異なる役割を担います。

サブコンは「工事業務」に特化

サブコンは、ゼネコンから委託を受け、主に設備工事を専門に担当します。設備工事の具体的な内容は以下の4つです。

空調設備工事

空調設備の設置や稼働に必要な配管工事を担当します。熱源機器・空調機器・換気設備・排煙設備の設置、ダクト工事のほか設置した設備の保守、メンテナンスが含まれます。設備の特性上、天井に固定する機会が多く、施工のミスがあれば大事故につながるため、特に安全管理が求められる領域です。

電気設備工事

建物内の電気設備全般を担当します。電気の引き込み、引き込んだ電気の機器への供給作業、コンセントや照明器具の設置・配線、制御設備の設置・配線などが含まれます。なお、電話やインターネット回線は電気通信工事のため、多くの場合サブコンの担当外です。

衛生設備工事

建物内で水やガスを使えるようにするための工事を担当します。給水設備、排水設備、ガス設備の設置のほか、配管工事や衛生器具を設置します。たとえば、商業施設ならトイレや飲食店の厨房、ホテルやマンションでは浴室などの水回りが主な担当範囲です。

消防設備工事

消防法で義務付けられた設備の設置を担当します。火災報知器、スプリンクラー、消火栓、排煙設備、避難はしご・救助袋の設置が含まれます。業務の特性上、電気設備と連動しているものが多く、電気設備工事の知識も必要です。また、消防設備は定期点検が義務付けられているため、点検作業もサブコンが担当する場合があります。

ゼネコンは「全体管理」を担当

ゼネコンは、建設プロジェクトの総合管理者として全体の管理を担います。具体的な役割は以下の4つです。 

工程管理

建設プロジェクトが計画どおりに進むよう、全体のスケジュールを管理します。現場で働く複数の業者の進行状況の監視や、具体的な工程表の作成・管理などを行います。なお、工程表は、品質・原価・安全性を考慮して作成し、進行中に資材や仕様が変更になった際の調整にも対応します。

品質管理

施主との契約に準じた品質が担保されているかを管理します。品質評価対象の項目に定められた基準で評価し、品質が確保されていなかったり間違いが見つかったりした場合の軌道修正が最重要業務です。そのため、現場の撮影や資材の搬入報告書のチェックも業務に含まれます。

原価管理

予算に基づいた施工の実施を管理します。納期に遅れや不測の事態が生じたりすると予算がオーバーし、ゼネコンの利益に影響を及ぼすため、材料費や人件費が予算を超過しないように調整します。

安全管理

現場の安全を確保する業務です。具体的には、重量物の落下防止、高所からの転落防止などの対策を講じます。必要に応じて消化設備や手すりの設置など、安全な作業環境を構築します。また、労働基準法に準拠した労働時間の管理も業務範囲です。

サブコンとゼネコンの関係は契約形態によって異なる

基本的に、ゼネコンがプロジェクト全体を施主から請け負い、一部をサブコンに委託する形ですが、契約形態によって関係性が異なる場合もあります。主に「一括請負」と「別途工事」の2つに分かれます。それぞれの違いは以下のとおりです。

一括請負

施主からゼネコンがすべてを請け負い、必要な設備工事を専門のサブコンに委託する契約形態です。サブコンは、設備の図面や納期などをもとにゼネコンと連携して工事を進めます。

別途工事

施主が直接、ゼネコンとサブコンにそれぞれ発注する契約形態です。ゼネコンは建設工事のみ、サブコンは設備工事のみを担当します。施主にとっては一括請負よりもコストを抑えやすい契約形態です。

サブコンとは?仕事内容や向いている人

サブコンとは、サブコントラクターの略称で、ゼネコンや施主から設備工事を請け負う企業のことです。建築プロジェクトの成功に不可欠な専門性と技術力を提供します。

サブコンと一言でいっても専門分野はさまざまです。ここでは、サブコンの仕事内容や向いている人の特徴を解説します。

サブコンについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

サブコンとは?ゼネコンの違いや向いている人について解説

サブコンの役割・仕事内容

サブコンは、ゼネコンの下請けとして建設プロジェクトの専門工事を担当します。それぞれ特定の分野に特化しており、例えば杭工事(地盤に杭を打ち込んで構造物を支える工事)を専門とするサブコンや、設備工事(空調設備工事や電気設備工事など)を得意とするサブコンなどが存在します。

具体的なサブコンの役割は、施工管理者と作業員の2種類です。施工管理者はゼネコンと連携してプロジェクトの進行を管理し、作業員は現場で専門工事の施工作業を担当します。

企業によって得意分野が大きく異なるため、転職時には自分が関わりたい専門分野や役割に合ったサブコンを選択する必要があります。

サブコンに向いている人とは

サブコンで活躍するためには、特定の専門分野で高い技術力を駆使し、磨き続ける志向が求められます。たとえば、以下のような特徴を持つ人にとって、サブコンは働きやすい環境です。

・スペシャリストとして特定の分野で極めていきたい人
・早く出世したい人

サブコンは専門性を深め、技術力を磨いていく職種のため、職人気質の人が向いています。また、ゼネコンよりも企業規模が小さいケースが多く、早く出世したい人にも適しています。

逆にプロジェクト全体のマネジメントや、多岐にわたる業務に関わりたい人は、ゼネコンでのキャリアが向いているかもしれません。

ゼネコンとは?仕事内容や向いている人

ゼネコンは、ゼネラルコントラクターの略称です。総合建設業者として、高層マンションやオフィスビルをはじめ、役所や駅などの公共施設の建築や、道路やダムなどの土木工事といった大型案件を担当します。

売上規模により、スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中堅ゼネコンと分類され、それぞれ特徴や社風が異なるため、自分に合った企業を見極めましょう。

ゼネコンについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

ゼネコンにはどんな職種があるのか。4つの職種と仕事内容を紹介

ゼネコンの役割・仕事内容

ゼネコンは総合請負として「営業」「設計」「施工」「研究」までのすべてを担当します。建設プロジェクトの指揮者として全体をマネジメントし、地図に残るような工事を担当できるのはゼネコンならではといえます。

また、道路や橋梁、ダムなど生活に欠かせないインフラ設備の建設を行政と進める役割も担っており、社会貢献性の高さも有しています。サブコンをはじめとする協力会社との連携はもちろん、発注者や行政、近隣住民への対応など仕事内容は広範囲にわたります。

ゼネコンに向いている人とは

ゼネコンは、複数のサブコンと連携しながら建設の工程を管理するため、以下のようなタイプの人に適しています。

・コミュニケーション能力が高い人
・マネジメント力が高い人
・大きなプロジェクトに携わりたい人

ゼネコンは、多くの関係者との調整が必要なため、コミュニケーションスキルは必須といえます。また、滞りなく大きなプロジェクトを進めるためのマネジメント力も欠かせません。

一方でプレッシャーに弱い人や、自分の意見を出すのが苦手な人は、ゼネコンの環境を厳しいと感じるかもしれません。不安な場合は、サポートが充実している企業もあるため、一度話を聞いてみながら、会社を選ぶと良いでしょう。

ゼネコンでのキャリアは、社会貢献の機会ともいえます。自分が何に価値を見出し、どのようなスキルを伸ばしたいかを考えながら、企業の見極めが必要です。

サブコンとゼネコンのどちらが合っているか迷ったら……「共同エンジニアリング」にご相談ください

転職に対して期待とともに不安も感じるのは自然なことです。特に未経験の業界であれば、知識や求められるスキルについて不安を抱える方も少なくありません。

共同エンジニアリングは、丁寧なヒアリングをもとに、最適な企業へ配属を行います。専門的な知識やスキルを身につけられる育成プログラムも用意しているため、業界未経験者でも安心です。

これから建設業界でキャリアを築こうと考えている方や、転職を検討している方は、カジュアル面談も実施している為、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

サブコンとゼネコンは、建設業界の重要な役割を担っています。サブコンは専門工事を担当し、ゼネコンはプロジェクト全体を管理し、双方が連携して進めます。

サブコンは特定のスキルを突き詰め、ゼネコンはマネジメントで全体を最適化するなど、特色が異なります。それぞれの仕事内容や役割を把握した上で、自分に合った方を選びましょう。