施工管理技士の残業時間はなぜ多い?残業を減らして働くには

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施工管理は責任が大きく、非常にやりがいの大きい仕事です。ただし、中には長時間労働に悩みを抱える方がいるのも事実です。 建設業の残業問題に対しては、国主導で是正策が進められています。2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、違反した場合は罰則が科されることになりました。将来的には残業時間の是正が見込まれる現在(2023年時点)、施工管理における残業時間の実情はどのようになっているのでしょうか。 本記事では、施工管理技士の平均残業時間や、残業時間を減らす方法についてご紹介します。

施行管理技士の平均残業時間は?

残業が多いイメージの施工管理ですが、実際にはどれくらいの時間外労働をしているのでしょうか。まずは、施工管理技士の平均残業時間についてデータを用いながら解説します。

土木・建築の外勤者の平均残業時間は月約60時間

日建協(日本建設産業職員労働組合協議会)が実施した「2022 時短アンケートの概要」では、建設業界における所定外労働時間について触れられています。日建協全体の平均残業時間が40.1時間であるのに対して、外勤建築は58.2時間、土木建築は51.7時間と高い水準です。

2012年における外勤建築の平均残業時間99.1時間に比べると、大幅に改善されています。

しかし、過労死ラインといわれる80時間以上の割合は外勤建築で22.7%、外勤土木で14.5%となっており、依然として残業時間の多さが目立っているのが現状です。

施工管理技士の34%が残業時間の多さがストレスと回答

労働者は、日々さまざまなストレスや悩みを抱えながら仕事をしています。実際に、厚生労働省の資料によると、施工管理技士が業務に関連したストレスや悩みが「ある(あった)」と回答した割合は70.4%に及んでいます。

その内容を見ると「時間外労働の長さ」(34.0%)は、「休日・休暇の少なさ」(36.2%)に次ぐ理由となっています。仕事をするうえで不満要素となりやすい「賃金水準の低さ」(23.4%)より高いことからも、施工管理の残業の多さがうかがえるでしょう。

出典:「我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(厚生労働省)

施工管理技士の残業時間が多い理由

なぜ施工管理の仕事は残業が多くなりがちなのでしょうか。大きく4つの理由に分けて解説します。

施工管理技士の人材不足

まずは、施工管理技士の人材不足が残業時間の多さにつながっています。少子高齢化の影響もあり、建設業界を志望する若年層が減り、ベテランといわれるシニア層が増え高齢化が進んでいる状況です。

担当する建築物が増えれば、それに伴い書類作成などの業務量も増えていきます。施工管理技士が一定数いれば業務を分担できますが、人材不足で残業が多くなっているのが現状です。

建設業界で働き方改革が進んでいない

建設業界全体で働き方改革が進んでおらず、長時間労働は文化と捉える側面があります。昔の業界体質が抜けきれず、サービス残業は当たり前という企業も少なくありません。

ただ近年は、人材不足の解消に向けてAIなどのデジタル技術を導入して、業務の効率化をはかる建設DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きも活発化しています。ICT(情報通信技術)やドローンを導入するなど、デジタル化を進める事例も数多く存在します。建設DXがより活性化すれば、施工管理技士の残業時間も減少していくでしょう。

工期が厳しく予定より遅れやすい

施工管理技士の残業時間が多くなる理由として、工期が挙げられます。施主や元請けが設定する期限内に建設物を完成させなければなりません。仮に工期に余裕があっても、以下のような理由で現場の進捗が遅れることもあります。

・天候不良

・資材の未着

・設計変更

・事故の発生

工程が予定よりも遅れていれば、残業で対応を強いられます。さらに、残業でも遅れを取り返すのが難しい場合は、休日出勤を求められることもあります。

事務処理が多い

施工管理の仕事は現場の安全管理や工程管理だけでなく、書類作成などの事務作業も含まれます。しかし、日中は現場作業が中心であり、事務処理はそれ以降になるため、必然的に残業時間が多くなります。

近年は、建設DXの推進によりクラウドサービスを導入する企業も増えつつあります。IT化を進めている企業で働けば、従来よりも残業時間を削減できるでしょう。

施工管理技士が残業時間を削減して働く方法

建設業界では、2024年4月1日から時間外労働の上限規制が開始されます。このように少しずつ超過労働の問題が改善されつつありますが、古い体質の企業も少なくありません。

現在、施工管理技士として働いている方が残業時間を減らすには、どうすればいいのでしょうか。最後に、施工管理技士が残業時間を減らして働く方法を解説します。

働き方改革を推進する会社に転職する

最も早い方法は、働き方改革を推進し始めている会社に転職する方法です。大手・準大手ゼネコンを中心に、1現場あたりの施工管理の人員を増やして、個人の業務負担を減らす動きがみられます。

人員確保だけでなく、適切な工期を設定しているかどうかもポイントです。たとえば、土日を休みとした工程を作る会社であれば、残業時間を減らして働けるでしょう。

IT化を進めている会社に転職する

企業全体でIT化が進んでいる会社に転職することも、残業時間を減らして働く選択肢のひとつです。たとえば、計画、調査、設計の段階から 3D モデルを導入するBIM/CIMを活用していることが挙げられます。

また、現場とのやり取りをクラウドで行うICTツールを取り入れているという点もポイントです。

労働時間が管理されている派遣社員として働く

残業時間を少なくして働く方法は、より良い条件の会社に転職するだけでなく、派遣社員として働くという選択肢もあります。なぜ施工管理技士の派遣社員だと残業時間を削減できるのかについて解説します。

サービス残業や時間外労働の心配が少ない

派遣社員として働く場合、サービス残業や時間外労働を強いられる心配がほとんどありません。

派遣社員は、所属する派遣会社が派遣先の企業と契約を結ぶことで、雇用が成り立っています。残業に関する規定が細かく、働いた分の給料がしっかりと支払われるため安心です。

万が一、派遣先の企業と残業や労働時間に関して問題があったとしても、派遣会社に報告をすればその都度対応してもらえます。

施工管理技士の転職には派遣会社選びが重要

どの派遣会社で働くかによって、仕事の内容や給与が変わってきます。特に、施工管理技士として経験が浅い人であれば、研修制度が整っている派遣会社を選ぶのが良いでしょう。

共同エンジニアリングは、未経験者向けの育成プログラムが充実した建設コンサルティング会社です。施工管理技士として働くために必要な知識や技術を高いレベルで身につけることができ、将来的なキャリアの選択肢が広がります。派遣社員として働きたい、残業をなるべく少なくしたいと考えている人は、ぜひ一度ご応募くださいませ。

まとめ

施工管理の仕事は現場作業から事務処理まで多岐にわたります。業界全体の人材不足の影響もあり     、他の職種と比べると残業時間が多いのが現状です。働き方改革により少しずつ改善されてきていますが、残業時間を減らして働くには会社選びも重要です。労働時間がしっかりと管理されている派遣社員も含めて、自分に合った働き方を見つけましょう。