建設業の儲かる仕事ランキング20位を紹介!年収を上げるコツも解説

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建設業は、職種や資格の有無によって、収入が異なります。建設業界での就職を考えている方のなかには、どの職種が儲かるか気になる方もいるのではないでしょうか。 今回は建設業の職種を年収を軸としてランキングにしました。あわせて、ランクインした職種の仕事内容や、建設業界の賃金水準が高い背景も解説します。

建設業の年収ランキングと仕事内容

建設業の職種別年収ランキングと、ランクインした職種の仕事内容を解説します。

建設業の年収ランキング

1位

一級建築士

約700万円

2位

技術士

約670万円

3位

建築施工管理技術者

約640万円

4位

掘削作業主任者・発破技士

約620万円

5位

土木施工管理技術者

約600万円

6位

クレーン運転工

約510万円

7位

電気工

約470万円

7位

測量技術者

約470万円

7位

配管工

約470万円

10位

鉄筋工

約450万円

11位

鉄工

約440万円

11位

板金工

約440万円

11位

玉掛け作業員

約440万円

11位

溶接工

約440万円

15位

金属・建築塗装工

約430万円

16位

建設機械運転工

約420万円

17位

大工

約410万円

18

とび工

約400万円

19位

土工

約390万円

19位

型枠大工

約390万円

19位

左官

約390万円

20位

はつり工

約360万円

参照:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査

年収は「きまって支給する現金給与額」「年間賞与その他特別給与額」より算出

建設業の職種別年収は「一級建築士」が約700万円で最も高く、次いで「技術士」や「建築施工管理技術者」の順に年収600万円以上の高い水準を保っています。

1~6位の仕事内容

建設業の年収ランキングで、1~6位にランクインした全6職種のうち、「一級建築士」「技術士」「掘削作業主任者・発破技士」「クレーン運転工」の仕事内容をご紹介します。

一級建築士

「一級建築士」の資格をもっている建築士を指します。設計できる建築物に制限がないため、大規模な都市開発や公共建築物なども担当することが可能です。

設計だけでなく、改修、建築物の維持に関する計画、技術指導、施工管理、検査などの技術的な業務を行います。

技術士

技術士は、機械技術士、電気工事士、資源工学技術士、建設技術士、経営工学技術士などの職種の総称です。

高度な専門知識を活かして問題を分析し、対応策を講じることや、後進の指導なども業務に含まれます。

掘削作業主任者・発破技士

掘削作業主任者・発破技士は、土木作業や採石の現場などで活躍する職種です。

掘削作業主任者は、土砂や岩石を掘る現場に必ずいなければならず、作業員が安全に作業を行えるように指導します。 発破技士は、重機で粉砕することが難しい岩盤などを、ダイナマイトなどの火薬を使って爆破する職種です。

また、爆発が不発だった際の残薬確認、処理を行うことも、発破技士の役割です。

クレーン運転工

クレーン運転工は、クレーン、移動式クレーン、デリック、揚貨装置の運転や、保守の仕事を行う人を指します。

現場によっては、資材を組み立てる工程の一部を任される場合もあります。

7位~10位の仕事内容

ランキング7位~10位の全4職種、「電気工」「測量技術者」「配管工」「鉄筋工」の仕事内容をご紹介します。

電気工

電気工は、電工、電路工、高圧線工、配線工などの職種の総称です。

電柱の上で作業する外線配線工事や、住宅やビル内の電源やケーブルを配線する屋内配線工事など、電気工事の欠陥による災害を防止するために作業をします。

測量技術者

測量士、森林測量技術者、道路測量士などを総称して、測量技術者といいます。土地や水路、森林などの測量に関する計画を立て、作業を行います。

また、測量の成果や、資料の取りまとめなども仕事のひとつです。

配管工

配管工は、建物における給排水設備、冷暖房設備などの工事の際に、配管を担当する職種です。

設置する場所によって、管の切断や、別の管を接合するなどの金属、非金属加工作業が必要な場面もあります。

鉄筋工

鉄筋工は、鉄筋切断士、鉄筋組立士、鉄筋成型士などの職種の総称です。

建物や橋などの、コンクリートで覆われた施設の骨組みとなる、鉄筋の施工図、加工帳の作成や加工、組み立てを行います。

11位~16位の仕事内容

以下では、11位~16位にランクインした全7職種、「鉄工」「板金工」「玉掛け作業員」「溶接工」「金属・建築塗装工」「機械運転工」「建設機械運転工」の業務内容を解説します。

鉄工

鉄工は、製缶工、金属タンク製造工、ボイラー組立工などをはじめとした、鉄材の加工を行う職種です。鉄材の切断、溶接や、板状の鉄の曲げ加工など、作業内容は多岐に渡り、鉄工所によって異なります。

板金工

板金工の中でも、屋根や外壁などの建築物に関わる製品の加工を行う技術者を建築板金工といいます。

建築板金工は、薄い金属板を切断、折り曲げ、貼り合わせ作業をして、建築用の板金製品を製造します。製作した板金製品を建物に取り付ける作業も、建築板金工の仕事です。

玉掛け作業員

玉掛け作業員は、クレーンのフックに荷物をかけて移動させ、フックから荷物を外すまでの玉掛け作業をするための作業員を指します。

クレーンを運転している人に、荷物の積みおろしの合図を送る場合もあります。

溶接工

溶接工は、熱や圧力を利用して金属材料を接合する溶接を行う技術者です。

電気溶接工、ガス溶接工、スポット溶接工などの総称として溶接工と呼ばれます。

金属・建築塗装工

塗装工は、住宅や建物、道路などに塗装を施す専門職です。

塗装によって建物の見た目を美しく仕上げることや、防水加工や耐熱塗装をすることで建物の耐久度を上げる役目も担っています。

建設機械運転工

建設機械運転工は、パワーショベルやブルドーザーなどの重機械や、フォークリフトやウインチなどの建設機械を運転する技術者です。

建設機械を操縦し、掘削作業や積み込み、資材の運搬を担当します。

17位~20位の仕事内容

ここでは、ランキング17位~20位の全6職種、「大工」「とび工」「土工」「型枠大工」「左官」「はつり工」の仕事内容をご紹介します。

大工

大工は、主に木造建築物の新築、増築、リフォームを行う職人を指します。建築士が作成した設計図に基づき、建材の加工、建築物の施工を行うことが、主な業務内容です。

寺社仏閣の修繕を行う宮大工など、大工の種類によって扱う建物が異なります。

とび工

とび工は、主に建築現場での高所作業を専門としている職種です。特に、安全に作業を行うために欠かせない足場の組み立てや、足場の解体を行っているとび工を「足場とび」とよびます。

足場とびをはじめ、業務内容により「鉄筋とび」や「機械とび」などに分類されます。

土工

土工は、機械の使用が困難な場所で、資材の運搬や穴掘り、地ならしなどの作業を人力で行う作業員を指します。前述したとび工と協力して足場を組むことや、コンクリートを混ぜる作業も担当します。

また、現場が道路である場合、交通整理を行うことも仕事です。

型枠大工

コンクリート製の建築物を建設する際に、コンクリートを流し込むための型枠をつくる大工を、型枠大工といいます。

住宅の土台となる基礎をコンクリートでつくるほかにも、高速道路、ダム、トンネルなどの建設に関わることもあります。

左官

左官とは、コテを用いて土やモルタル、漆喰などの材料を、壁や床に塗る仕事に従事している人を指します。

完成前の建物の最後の仕上げとして、見た目だけでなく、排水溝に向かって勾配をつけるなどの繊細な作業が求められます。

はつり工

はつり工とは、工事現場でコンクリートを割る、削る、穴を開けるなどの作業全体を行う作業員のことです。玄関ドアやサッシをはめるためにコンクリートの壁を削り、形を整える「コンクリートはつり工事」をはじめ、建物を取り壊す際に行われる「はつりこわし工事」を行います。

また、コンクリートの表面を、特殊な道具を使ってデザイン性をもたせる「はつり仕上げ工事」を行うこともあります。

建設業における賃金引上げ伸び率は高い

令和6年度の賃金の改定の実施状況について、平均賃金を引き上げた、または引き上げる見込みと回答した企業は91.2%に上りました。このうち建設業では、99.7%が賃金引き上げを実施または実施見込みと回答しました。

100%引き上げとなった「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「医療、福祉」に次いで高い割合です。

建設業の賃上げが進んでいる背景や平均年収について解説します。

出典:厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要

建設業の賃上げが進んでいる背景

公共工事が適切に実施されるためにも、建設業の担い手の確保は重要なトピックです。日本政府は、建設業の賃上げを最重要課題のひとつに設定しています。

建設業の賃上げは、民間の企業での対応も必要であることから、企業向けに政府の賃上げ協力に関する要請も出されています。

建設業の賃上げ促進のために、国では率先して公共工事の労務単価を上げています。労務単価は、2012年を境に、12年連続で上昇を続けています。

民間の建設会社大手でも、初任給の引き上げなどが実施されています。公共事業での落札において、従業員の賃上げ計画の表明書が加点措置とされているのも理由のひとつです。

建設業で賃上げが進んでいる理由として、2024年3月から適用されている建設業の時間外労働の上限規制の影響もあります。残業の削減により、従業員の給与が減少する懸念があったためです。

建設業の賃上げは、人手不足も背景にあります。建設業界は若手が少ない傾向にあり、賃上げの実施は、他業界への流出を防ぐ効果が期待できます。

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について【報告】

建設業の平均年収

令和6年分の民間給与実態統計調査によると、建設業の平均給与は約564万円であることがわかりました。全業種の平均給与は478万円であったことから、他の業種よりも平均給与が高い可能性があることがわかります。

ただし、建設業でも、ランキングで紹介したように、職種によって給与の目安は異なります。建設業で賃金アップを目指すなら、これから紹介する方法も検討してみてください。

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査

建設業で年収を上げる方法

建設業で年収を上げるためのポイントを2つ紹介します。

キャリアにつながる経験を積む

建設業界での経験は年収アップにつながります。経験を積むことによって、より責任の重い仕事を任されるようになるためです。重要な仕事の経験は、管理職への昇進にもつながります。

建設関連のあらゆる経験を経ることによって、仕事の幅が広がるメリットもあります。建設業は、ランキングでも紹介したように、その職種は多種多様です。キャリアチェンジの際に経験が役立ったり、転職でプラスになったり、結果として年収アップにつながることもあります。

建設業で役立つ資格を取得する

建設業は専門性の高い職業であるため、資格や免許の有無により収入に影響します。 ここでは、建設業界で取得すると役立つ資格や免許を、国家資格と民間資格のふたつに分けて紹介します。

国家資格

建築士

建築士の資格は「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3種類に分かれ、それぞれ扱える建物の規模が異なります。

特に、一級建築士は、前述した「建設業の年収ランキング」において1位であることから、建設業で最も儲かる資格であるといえます。とはいえ、その分難易度が高いのも事実です。

電気工事士

建設業の年収ランキング5位の電気工になるためには、国家資格の「電気工事士」免許が欠かせません。電気工事士の資格には「第一種電気工事士」「第二種電気工事士」の2種類あり、それぞれ携われる作業が異なります。

冷暖房設備の設置や施設の配線にとどまらず、鉄道運行のための電気工事を行うこともあり、建設業にとどまらない活躍が期待できます。

建設機械施工管理技士

建設機械の施工管理や安全管理に関わる、建設業法に基づく国家資格です。ブルドーザー、油圧ショベル、モーター・グレーダー、ロード・ローダ、アスファルト・フィニッシャ、アースオーガを使えます。

建設現場では、原則配置が義務付けられている資格です。

建築設備士

建設設備に関する、建築士法に基づく国家資格です。空調・給排水・電気設備の専門家として、建設設備の設計のアドバイスができます。

建築設備士の資格を有していると、2級建築士などの受験資格を得られることから、建築士資格へのステップアップにもなります。

建設施工管理技士

建設業法に基づく国家資格です。施工管理や工程管理、安全管理など、建設現場の現場監督などとして現場を管理する役割を担います。

2級と1級の資格があり、2級は中小規模の工事管理ができます。1級は、管理できる工事の規模に上限が設けられていません。

民間資格

基礎施工士

基礎施工士は、一般社団法人日本基礎建設協会が発行する、建物の基礎工事に関する民間資格です。基礎工事に精通している証明になるため、現場で活かすことができます。

建築CAD検定試験

建築CAD検定試験は、CADを使って建築図面を作成することに特化した民間資格試験です。一般社団法人全国建築CAD連盟が、試験を実施しています。

試験では実務レベルの建築設計図面を一定時間で作成することを求められるため、CADソフトの習得具合を証明できます。

建築積算士

工事の積算に関わる資格です。工事積算は、材料や工期などの複数の要素から、工事の基礎価格を算定することです。

正しい建築積算は、公共事業の入札において、適正な価格を把握して適正価格で入札することに役立ちます。建設工事の計画などで活用できる資格です。

建設業に向いている人の3つの特徴

建設業に向いている人の、代表的な特徴を3つご紹介します。

危機管理能力がある

建設現場では、高所での作業や、重い資材の搬入作業など、危険な作業が多くあります。危険な作業をする際に注意力が足りなければ、自分がケガをすることや、仲間にケガをさせてしまうおそれがあります。

安全対策を怠らず、危険をいち早く察知できる高い危機管理能力は、建設業界で働くための重要なスキルのひとつでしょう。

計算・計画能力がある

計算能力が高い人は、建設現場のさまざまな場面で活躍できます。

例えば、計算能力が高ければ、建設物の強度や面積の計算などを素早く行えます。また、予算管理など、現場の進捗を管理する立場になった場合にも重宝される能力でしょう。

計算能力に加えて、計画能力も高ければ、効率良く建設物を完成させるための作業計画を立てられ、スムーズに作業を進めることができます。

コミュニケーション能力がある

建設現場では、職人や作業員など多くの人と関わる必要があります。円滑に作業を進めるために、報告や相談は欠かせないため、ある程度のコミュニケーション能力があると有利といえます。

まとめ

建設業界は、人手不足や国による政策によって賃上げ率が高い傾向にあります。年収も全産業の平均年収に比べ高いことから、建設業は儲かる職業であるといえるでしょう。 建設業に向いている能力をもち、幅広い業務に対応できる資格や免許を習得することで、収入アップにつながりやすくなります。

建設業には、さまざまな業務内容があるため、自分に合った職種に就きましょう。