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CADは独学で身に付けられる?
CAD(キャド)とは「Computer Aided Design」の略語で、設計支援・製図ソフトの総称です。建築や土木、機械設計などの幅広い分野で使われていて、CADオペレーターは年齢を問わず活躍できます。
設計や製図は専門性の高いスキルですが、CADの操作に特別な技能は必要ありません。資格取得や講習を受けなくても扱えるソフトで、CADは独学でも習得できます。
CADの参考書はたくさん市販されており、Web上に独学用のCAD図面やeラーニング教材が公開されています。このような教材を活用すれば、一人でも無理なく学習を進められます。
CADを独学するメリット・デメリット
CADの独学には、メリットとデメリットがあります。学習に取り組む前に、自分の学ぶスタイルに合っているか確認してください。
独学のメリット
CADを独学するメリットは、次の通りです。
学習費用を抑えられる
独学の大きなメリットは、費用がかからない点です。スクールに通う場合は数万円〜数十万円かかりますが、独学であれば参考書代程度で済みます。
Web上に掲載されている記事や動画コンテンツを活用すれば参考書代も必要なく、お金を一切かけずにスキルを習得することも可能です。
マイペースに学べる
場所や時間に縛られず、マイペースに学習を進められる点も独学の魅力です。
スクールに通う場合、スケジュールを立てて決まった日時に通学する必要があります。一方独学の場合は自由に予定を立てて、その日の気分や体調にあわせて無理なく学べます。
資格取得でさらなるスキルアップが目指せる
独学でCADを学べば、次の関連資格の取得を目指せます。
・建築CAD検定
・2次元・3次元CAD利用技術者試験
・オートデスク認定資格プログラム
・CAD実務キャリア認定制度
CADの業務に特別な資格は不要です。しかし、独学で資格を取得すれば専門知識や技能を有している証明になり、就職や転職で有利に働きます。
独学のデメリット
独学にはメリットが多くあるものの、次のデメリットがある点にも注意が必要です。
モチベーションの維持が難しい
独学は自由に学習スケジュールを立てられる反面、人によっては怠けてしまったり、モチベーションの維持ができなかったりします。
自分で高い学習意欲を維持して勉強を進めなければ、いつまで経ってもスキルを習得できません。その点、スクールの場合は集中して学ぶ環境に身を置けるため、やる気が低下していても学習を継続できます。
また、講師から指導を受けたり、ほかの生徒と交流したりすることで、意欲を維持しやすい利点があります。
疑問の解消に時間がかかる
挫折しやすい点も独学のデメリットです。難しい問題に直面しても、自力で解決しなければ先に進めず、心が折れてしまう場合があります。スクールでは講師から指導を受けて効率良くスキルを習得できるものの、独学の場合は学習の進め方が非効率的になりがちです。
また、独学だと専門家からの直接的なフィードバックを得にくく、間違った理解や技術を身に付けてしまうリスクがあります。習得した知識や技術の誤りを修正するのは大変です。最新の業界動向や技術を把握するのが難しい側面もあり、独学はより努力が求められます。
CADを独学する方法
ひとくちに「独学」といっても、学び方はさまざまです。ここからは、CADを独学する方法を紹介します。
参考書で学ぶ
独学におけるスタンダードな方法が参考書の活用です。参考書にはCAD操作の仕方がいちから記載されており、体系的にスキルを習得できます。書店やインターネット上で購入できるほか、電子書籍で学ぶことも可能です。
参考書にはさまざまな種類がありますが、次の3つを用意するのがおすすめです。
1.製図の知識が学べる本
2.CADの操作方法が学べる本
3.CAD関連の資格取得用の本
動画で学ぶ
YouTubeをはじめとする動画投稿サイトには、CADの操作からコツまで、初心者向けにわかりやすく解説された動画が多く掲載されています。
書籍だけだと、どうしてもわからない問題にぶつかりがちです。しかし、そのようなときに解説動画を見ることで、より深い理解につながります。
また、参考書での勉強の合間に動画学習を組み込むことで気分転換になったり、通勤時間や休憩時間、寝る前など、隙間時間を利用して学べたりする点も魅力です。
Web上のCAD図面を模写する
実践的にCADスキルを習得するには、知識をインプットするだけでなく、適度にアウトプットすることも大事です。Web上には「DWG」「DXF」「JWW」など、あらゆる形式のファイルが掲載されています。覚えた内容を、図面のトレース(模写)で活かし、CAD操作を体で覚えましょう。
eラーニングで学ぶ
一人で勉強するのが不安なら、eラーニングの受講を検討しましょう。やり方が合っているかわからない方、参考書を読むだけでは頭に入ってこない方にも有効な学習方法です。
eラーニングなら時間や場所にとらわれず、自分のペースで繰り返し学習できます。添削サービスや専門家に質問できる講座もあるため、探してみてください。
CADの独学に必要なもの
教材のほかに、CADの独学に必要なものをみていきましょう。eラーニングで学ぶ場合は、事前に受講申し込みが必要です。
PC
CADソフトを起動し、図面を作成するにはPCが必須です。PCはデスクトップではなくノートでも問題ありません。ただ、可能な限りスペックの高い製品を選ぶことが大切です。低スペックのPCで作業すると、動作が重くなってしまい、学習効率が低下します。
メモリが大きく処理能力が高いものを選べば、読み込みが速く、作業をサクサク進められます。作業スピードは学習のモチベーションにも大きく影響するため、予算も踏まえつつ無理のない範囲でハイスペックPCの購入を検討してください。
また、マウス選びも重要です。CADの製図はマウスで行うため、長時間の作業によって腱鞘炎になるリスクがあります。手への負担を軽減するためにも、自分の手にフィットするマウスを選びましょう。
PCとモニターは一緒に購入するほうが無難ですが、大型のモニターやデュアルディスプレイを導入すると画面上で細かい線や情報を確認しやすくなります。作業しやすい環境を整えて、スムーズなスキル習得を目指しましょう。
CADソフト
CADソフトにはいくつか種類があります。業界・企業によって使用するソフトは異なるため、就職・転職先に合わせて選びましょう。
代表的なCADソフトは、次の3種です。
名 称 | 特 徴 |
AutoCAD(オートキャド) | オートデスク株式会社の汎用CAD 建築・土木・機械などの幅広い分野で使われている BIM ワークフローの一部として使用できる |
Revit(レビット) | オートデスク株式会社のソフト 建築分野に特化している |
Jw cad(ジェイダブルキャド) | 商用利用できる無料ソフト 建築業界で使われている |
練習図面
図面作成や設計の練習に使う図面も用意しましょう。インターネットで「CAD 練習図面」と検索すると、練習図面を入手できます。CADの練習では、「直線や曲線の描画」「寸法の設定」「図形の移動やコピー」「レイヤーの管理」などの基本操作を反復して行いましょう。
プリンター
作図した図面にミスがないか確認するために、プリンターも必要です。実際にCADの実務でも、作図とあわせてプリントアウトするケースがよくあります。
プリンターは、A4サイズをカラーで印刷できる機種がおすすめです。職場によってはA3サイズを印刷することもあるため、金銭的に余裕があれば、A3サイズまで対応できる機種も検討してください。
また、インクジェットプリンターは印刷コストがかかるため、インク代を抑えるためにレーザープリンターを選ぶのも賢明です。
【3か月でマスター】CADの独学手順
独学での勉強方法を紹介しましたが、あわせて知りたいのは効率的な学習の流れです。ここではCADを独学する際の具体的なロードマップを解説します。
ステップ1|CADの基礎知識と操作方法を習得する(〜2週間)
まずはCADの基礎知識や基本知識を覚えることから始めましょう。初めはコマンドの名前すらわからず、悩んでしまうこともあります。
操作手順がわからない場合は動画やヘルプなどで確認してください。操作に慣れるまで時間がかかる場合もありますが、根気強く何度も繰り返し練習しましょう。
ステップ2|実際に作図する(〜2か月)
CADの基本操作を覚えたら、作図に挑戦してみます。最初は練習図面の見た目を写すことから始めてみてください。模写することで、ミリ単位で図面を読み取る力が身に付いていきます。
なお、作図は次の手順で行いましょう。
1.図面枠を作図する
2.タイトルボックスを作成する
3.図面で寸法が描かれている部分を描く
ステップ3|実務を意識した作図練習を重ねる(〜3か月)
ある程度作図に慣れてきたら、実務を意識した練習を重ねます。図面の作成に加え、用紙の選択、レイヤーの設定、尺度の設定などにも挑戦してください。同じ1本の線を書く場合でも、編集して条件を与えると見栄えが大きく変わってきます。作図した図面は、実際にプリントアウトして確認してみましょう。
独学でCADスキル習得を目指すポイント
最後に、効率良く独学する方法を紹介します。挫折を防ぐポイントも解説しているので、コツコツ学習に取り組みましょう。
自分に合う学習スタイルを選ぶ
学び方には相性があります。自分に合わないやり方だと挫折しやすいため、学習スタイルを選びましょう。
スタイル選びに迷ったら、学んでいて楽しいと感じるか、実力が身に付くかで判断してください。自分に合う学習スタイルで実力が上がれば、モチベーションを維持しやすくなります。
目標を設定する
「2週間でCADの基本操作を覚える」や「建築CAD検定に合格する」など、具体的な学習目標を設定すると効率良く学べます。短期的な目標と長期的な目標の2種類を設定して、段階的なスキルアップを目指しましょう。
目標は、自分が達成できる範囲で設定するのが理想です。小さな成功体験を重ねるとモチベーションアップにつながるため、自分のレベルと学習時間を考慮して目標を決めましょう。目標を決めたら定期的に進歩状況を確認し、必要に応じて見直してください。
学習スケジュールを立てる
規則的なスケジュールを立てて習慣化すると、独学でも継続しやすくなります。平日は1時間、そのかわり週末は5時間勉強するなど、自分のライフスタイルに合わせて無理のない範囲で学習時間を決めましょう。
勉強中に集中が続かない場合は、ポモドーロ・テクニックを取り入れてください。25分間勉強して5分休憩するのを繰り返すと集中が途切れにくくなり、成果があがります。
そのほか、学習の進歩状況を見える化するとモチベーションを維持しやすいのでおすすめです。学習日記をつける、習得したスキルをリスト化するなど工夫してください。
複数の学習方法を組み合わせる
独学の方法をひとつに絞る必要はありません。参考書学習に動画視聴やeラーニングを組み合わせると疑問を解消しやすくなり、学習効率があがります。
一人で学ぶのが不安なら、オンラインのCADコミュニティに参加するのも良い方法です。孤独感や不安が解消されるだけでなく、情報交換もできてモチベーションアップにつながります。
まとめ
CADは独学で習得できます。独学は、費用を抑えて自分のペースで学習できる点がメリットです。ただし、モチベーションを保ちにくい点や挫折しやすい点には注意しましょう。独学が難しいと感じた場合は、スクールや働きながら学ぶ方法も検討してみてください。
CADスキルを効率良く習得したい場合は、働きながら学ぶのがおすすめです。この学習方法は、費用がかからない「独学」とモチベーションを保ちやすい「スクール」の良いとこ取りといえます。
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