CADオペレーターの将来性は?年収や必要なスキル、目指す方法を解説

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CADオペレーターは、専門のソフトを使って図面を作成・修正・調整するのが主な仕事です。業務の幅が広いうえ、需要も大きく将来性のある仕事といえます。とはいえ、CADオペレーターを目指している方のなかには、AIの導入などで、「いずれ仕事がなくなるのでは」と不安を抱えている方もいるでしょう。 今回は、CADオペレーターの仕事の将来性や展望をご紹介します。あわせて、CADオペレーターとして長く働くためのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

【将来性】CADオペレーターの未来は明るい?

将来的に業務をAIが代替するという意見はあるものの、すべての業務が取って代わられるわけではありません。

ここでは、なぜCADオペレーターの将来性が明るいといえるか、その理由を解説します。

2023年にBIM完全移行の方針となっている

設計やデザインの仕事は、人の手によってしかできない繊細な一面があります。設計者のクセや微妙なニュアンスを機械が読み取るのは難しく、AIが代替しにくい業務が多いです。

特に、3D CADのように複雑な作業は、AIが代替しにくい傾向にあります。

3D CADとは、平面的に書かれた物体を立体的な3次元に拡張させる技術です。コンピューターの仮想空間のなかでモデルをリアルに再現すると、より具体的な完成イメージをつかみやすくなるのがメリットです。

そんな中、政府が「2023年までに完全BIM(3D CAD)化」の方針を打ち出し、実際に2023年4月から直轄の業務・工事で原則適用が始まりました。小規模を除くすべての公共工事において、BIM/CIMの原則適用を義務付けるものです。

一方で、BIMオペレーターは不足しており、日本の各企業が3D CADを扱える人材の確保や育成に力を入れはじめています。

このきざしは、中小企業にも波及しています。今後、BIMオペレーターはより需要が高まっていくといえるでしょう。

活躍できる業界・分野が多岐にわたる

幅広い業界で必要とされているのも、CADオペレーターの将来性が高いといえる理由のひとつです。

CADの技術が必要とされるのは、いわゆる「ものづくり」の現場です。CADオペレーターが活躍できる主な業界を紹介します。

〇建設業界

建設業界では、設計者が頭の中で考えた案を具体的な図面に落とし込むためにCADが使われます。ビルや住宅、都市インフラといった曲線を含む複雑な図面を正確に、スピーディーに作成できるのは、CADならではの技術でしょう。

CADオペレーターには、CADに関する知識のほか建築物の設計や施工を含む幅広い知識が要求されます。

〇自動車・航空業界

自動車や航空機の設計では、機体のデザインや細かな部品の設計もCADで行われるのが一般的です。機械系の設計では、2D CADより扱いが難しい3D CADを用いるうえ、精度も必要とされるので、CADオペレーターには高いスキルが求められます。

〇インテリア業界

インテリア業界では、設計士やデザイナーが考えた内装を図面に起こすためにCADが使用されています。使用されるCADソフトは、建築業界と同様のものが多いです。

インテリア業界において、設計者やデザイナーのイメージや考えを読み取り、正確に再現する必要があるため、CADオペレーターにはコミュニケーション能力が必要不可欠です。

〇福祉業界

高齢化社会が進む日本では、福祉の現場のバリアフリー設計にCADがよく使われています。CADなら短時間で簡単に図面の修正ができ、完成後のイメージを把握しやすいです。特に改築では利便性が高く、今後もますますCADオペレーターのニーズが高まっています。

CADオペレーターの年収

CADオペレーターの年収は、雇用形態によって大きな違いがあります。正社員の場合、平均年収は452万円程度です(2024年12月時点)。

派遣社員の場合は時給1,800円程度、フリーランスの場合は契約している企業や対応した案件の数、稼働時間などによって大幅に変動します。

CADオペレーターの年収の詳細は、下記の記事にてより詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。

CADオペレーターの年収はいくら?雇用形態別で紹介!

出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「CADオペレーター - 職業詳細

将来性は個人の専門性に応じて異なる

CADオペレーターは将来性のある仕事といえるものの、誰もが成功するという保証はありません。将来性を考えるなら、+αの技術が必要です。

個人の将来性を高めるために、CADオペレーターが身につけるべき技術や知識を紹介します。

CAD関連の技術を取得する

CADに使われるソフトには、いくつかの種類があります。それぞれ機能に違いがあり、業界や用途によって使い分けられているため、扱う種類が増えるほど将来のチャンスが広がるでしょう。

スキル取得におすすめのCADソフトは、次のとおりです。

〇AutoCAD(オートキャド)

AUTODESK社が開発した汎用性の高いCADで、特に建築業界で使われています。2D設計の基本機能をすべて備え、3Dモデリングやレンダリング機能も搭載しているのが特徴です

日本国内のみならず、世界中で普及しているため、海外の取引先とのデータの受け渡しも円滑に行えます。

〇Revit(レビット)

Autodesk社の3D CADソフトで、BIM設計の支援ツールです。建築設計のほか、構造エンジニアリング、機械設計、電気、配管、建設施工と適用分野が幅広いのが特徴で、分野をまたがったチーム間の設計もサポートします。

〇Tfas(ティファス)

正式名称は「CADWe'llTfas(キャドウェルティーファス)」で、株式会社ダイテックが提供している建築設備専用ソフトです。 電気、空調、衛生設備の設計に特化した機能を搭載していて、AutoCADをはじめとするほかのCADとの互換性もあります。

〇Rebro(レブロ)

株式会社 NYKシステムズの建築設備専用の3D CADソフトです。建築物や土木構造物のデータを構築管理するBIMシーンに対応していて、設計、施工、維持管理に関わる情報をシームレスに展開できます。施工手順の問題点などを把握しやすくなることで、業務効率化を図ることも可能です。

3D CADも身につける

将来性の高いCADオペレーターを目指すなら、3D CADも身につけましょう。先述のとおり、政府は「2023年までに完全BIM(3D CAD)化」の方針を推進しています。

上記で紹介したCADのソフトも3Dに対応しており、今後もCADオペレーターとして活躍し続けるには3D CADのスキルは必須です。

また、3D CADは複雑でAIによる代替も困難であるため、将来的により需要が高まると予想されています。

扱いが複雑な分、習得難易度が高いですが、3D CADを身につければCADオペレーターとしての価値は大きく向上するでしょう。

設計士・デザイナーのスキルを身につける

CADに関してだけでなく、設計士やデザイナーと同様のスキルを身につければ、CADオペレーターとしてより長く働けます指示を受けて図面の作成をするだけではなく、積極的に構造設計やデザインに携われれば、自分自身の価値を高められるでしょう。

設計関連業務のサポート役にまわる

指示を受けて図面を作成する単純作業はAIに代替されやすいため、設計士やデザイナーの意図を汲み取るのに役立つ専門知識を身につけましょう。

設計に関わる事務やマネジメントといった業務を、積極的にサポートするのもおすすめです。周囲に配慮して動く必要があるため、コミュニケーション能力が求められます。

AIの強み・弱みを理解する

CADオペレーターの業務には、AIで代替可能なものと代替が難しいものがあります。AIに仕事を奪われないようにするためには、AIの強み・弱みを把握し、AIが苦手とする分野のスキルを伸ばすことが重要です。

AIはすでに存在するものを学習して動くので、自らアイデアを出したり新たなものを創造したりすることは苦手です。

そのため、設計に関われるような「創造性」を身に付けることができれば、AIに仕事を奪われるリスクを軽減できます。普段から多方面に意識を向けて視野を広げ、発想力や創造力を鍛えておきましょう。

CADオペレーターに求められるスキル

活躍できるCADオペレーターになるためには、下記のようなスキルが求められます。

・CADの技術や知識
・コミュニケーション能力
・向上心や学習意欲
・集中力
・スケジュール管理能力

なぜ上記のスキルが必要なのか、詳しく解説します。

CADの知識や技術

CADオペレーターとして活躍するには、やはりCADの知識・技術が必須です。特に3D CADのスキルは身に付けておいたほうが良いでしょう。

専門学校に通う、オンライン講座を受講するなどCADの知識・技術を身につける方法はいろいろありますが、やはり実務で身につく知識や技術も欠かせません。CADオペレーターとして活躍し続けたいなら、実務を通して自分の知識や技術を向上させていきましょう。

コミュニケーション能力

CADオペレーターは、デザイナー・設計士からの指示を図面に起こすのが仕事です。入念な打ち合わせによって正確に指示を反映する必要があるため、コミュニケーション能力も求められる傾向があります。

向上心や学習意欲

CADのソフトは新機能の追加や仕様の変更などが定期的に実施されるため、その度に新たな知識や技術を身につけなくてはなりません。そのため、業務を行いつつ学び続ける向上心や学習意欲も必要です。

集中力

CADオペレーターはデザイナー・設計士からの指示に従い、精密な図面を作成します。細かい指示も見落としなく図面に起こす必要があるので、長時間集中力を維持し続けるスキルも必要です。

スケジュール管理能力

CADオペレーターの業務には納期があるのが基本です。設定された納期に間に合わないとプロジェクト全体への影響もあり、クライアントとの信頼関係が壊れてしまうため、高い技術力や知識はもちろん、スケジュール管理能力も必要とされます。

長く活躍できるCADオペレーターを目指す方法

CADオペレーターは将来性があり、未経験でも就業できる有望な仕事です。特に、若い年代や手に職をつけたい人、女性にもおすすめです。

CADオペレーターとして長く働くためのポイントを解説します。

CADオペレーターの知識をつけてから就職する

未経験からの転職なら、CADオペレーターとしての基本スキルを身につけて就業を目指すのがおすすめです。基礎知識や技能を習得する方法には、次の3つが挙げられます。

〇独学で知識を身につける

市販のテキストや無料のフリーソフトを使えば、費用を抑えてCADに関するスキルを習得できます。自分の好きな時間に自分に合った方法で学ぶことができる点がメリットといえます。

とはいえ、実践的な製図の練習がしにくく、深く学ぶのは難しい面もあります。また、短期間にCADの高度な操作方法を学ぶことも困難であるため、注意が必要です。

〇CAD専門のスクールに通う

専門のスクールなら、CADのスキルを効率良く習得できます。同様の目的を持った人達から刺激を受けられるため、モチベーションを保ちながら勉強できます。また、仕事に役立つ人脈作りもできるでしょう。

しかし、スクールや講座内容によってはある程度の費用がかかります。一般的には、5万円~20万円程度が目安です。

〇職業訓練校で学ぶ

職業訓練校は、国や自治体が技術者を育成するために設置した機関です。そのため、基本的にテキスト代以外の費用がかからないのが魅力です。

ただし、離職していることが入学条件なので、働きながらCADオペレーターへの転職を目指す場合は通うことができません。

また、建築・機械系以外の分野について学べるところが少ないため、自身の学びたい分野かどうか確認することも必要です。

資格を取得する

CADオペレーターになるのに資格は必須ではありませんが、キャリアアップや技術の進化についていくためにも資格の取得を目指すのがおすすめです。CADオペレーター向けの資格として下記の2つがあります。

〇CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験とは、CADの基礎知識・技術を問われる試験です。CAD利用技術者試験には、「2次元CAD利用技術者(基礎・二級・一級)」と「3次元CAD利用技術者(二級・準一級・一級)」の2種類の資格があります。

CADオペレーター初心者の方、スキルアップしたい方のどちらにもおすすめの資格です。

〇建築CAD検定試験

建築CAD検定試験とは、建築用の図面作成に特化した資格です。四級・三級・二級・準一級の4段階に分かれています。ただし、四級は高校生の団体受験を対象としています。

CADオペレーター向けの資格について、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

CAD資格は意味がない?取得するメリットや勉強方法を紹介

研修・教育制度が整っている会社に就職する

未経験でCADオペレーターを目指すなら、研修や教育制度が充実した会社に就職するのも選択肢のひとつです。実際の現場で働きながら学べるため、実践的なスキルを身につけられます。

共同エンジニアリングならCADオペレーターの育成に注力しており、建築関連の基礎知識から学べます。未経験者も多く採用しているため、建築関連のCADオペレーターを目指す方は、ぜひチェックしてください。

施工管理やCADでの施工図作成には、まじめさ、きめ細やかな対応が重宝されるため、年齢や性別を問わず多くの方が活躍しています。どうぞお気軽にご応募ください。

まとめ

「CADの仕事はいずれAIに仕事を取られる」という意見はあるものの、CADオペレーターは幅広い分野で必要とされる、将来性のある仕事です。そのため、どの業界でも長く働けるでしょう。とはいえ、将来性については個人の専門性によって異なる側面もあります。具体的には3D CADのスキルや、AIにできないような創造的な設計力などがあれば、これからも活躍が見込めるでしょう。

また、これからCADオペレーターを目指すなら、社員の8割以上が未経験スタートの共同エンジニアリングがおすすめです。未経験でスピーディーな転職をしたい方は、ぜひ共同エンジニアリングにご応募ください。