建築CADについて解説! 使用する職種やソフトの種類、選ぶときのポイントも解説

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建築CAD(キャド)とは、コンピューター上で設計や製図などができる建築に特化したCADソフトのことです。建築設計を効率良く進めるための機能が備わっており、建築業界を目指す方にとっては習得しておくと今後のキャリア形成に役立ちます。

今回は、建築CADの概要をはじめ、建築CADが使われている業界や職種、主なソフト7選を詳しく解説します。

建築CADとは?

建築CADとは、建築に特化したCAD(Computer Aided Design)のことです。CADを使えば、時間をかけずに正確な製図ができ、ミスや変更があっても簡単に修正できます。

ここでは、建築CADの概要や優れているポイントについて、詳しくみていきましょう。

建築CADの概要

CADとは、コンピューター上で設計・製図ができるソフトのことです。建築業に限らず、製造業やアパレル業など、設計や図面が必要な業界で幅広く活用されています。

CADのなかでも、建築に特化しているソフトを建築CADといいます。建築設計に最適化されたテンプレートが複数準備されており、比較的簡単に建物や室内の図面を作成できます。

建築CADは、製図に不可欠な技術です。CADを使いこなせれば、設計・製図に関する業務を効率化させるだけでなく、品質の向上も図れます。

CADを使った職業として、建築業界ではCADオペレーターの募集が多い傾向にあります。CADオペレーターは、業務を行う上で特別な資格を必要としない職種であるため、未経験でもやる気があれば就職・転職することが可能です。

CADオペレーターとしてある程度経験を積むことで、設計士や建築士としてキャリアアップできる可能性があります。そのため、将来的に建築業界でキャリアを築きたいのであれば、建築CADのスキルを身に付けておくことをおすすめします。

建築CADの優れたポイント

建築CADが優れている主なポイントは、下記の3つです。

・早く正確に製図できる
・ミスの修正が簡単にできる
・図面の共有・管理が簡単にできる

建築CADは、正確な製図に必須となる、均一な太さのラインを簡単に引くことができます。通常であれば時間や経験を積んで習得する綺麗で正確なラインが、誰でも定規で測ることなく引けるので業務効率化につながります。テンプレートを活用すれば、さらなる時短が実現可能です。

また、建築CADであれば、「ワンクリックで消したい線だけを消せる」「必要な部分は複写する」など、ピンポイントで簡単に修正できます。手書きのときのように、慎重に線を消したり、再度図面を書き直したりする必要がありません。

図面のデータがデジタルで保存されるため、図面の共有・管理も簡単です。情報共有や関連情報との紐づけを、手間なく処理できるのも魅力です。

建築系CADが使われる業界

建築業界では、ビル・マンションといった建物の建設や建築設備において、図面や配線・配管図の作製をするときにCADが使われています。建築業界でCADを使いこなすには、適切な修正ができるよう、CADの知識だけでなく構造物に関する知識も必要です。

建築図面の種類

建築CADは、どのような図面の作製で使用されているのでしょうか。CADが多用される主な建築図面の種類と役割について、整理しておきましょう。

基本設計図

クライアントからのヒアリング内容に基づき、建築物のコンセプトやデザイン、大まかな間取りなどを決める初期段階で示される図面です。クライアントとのイメージ共有や合意形成に用いられます。

実施設計図

構造や設備、仕様など、建築に必要な情報を盛り込むことで、基本設計図を具体化した図面です。後述の「意匠図」「構造図」「設備図」などで構成され、工事費用の見積もりや、施工業者との設計内容の共有に使用されます。

施工図

実際の施工を想定し、実施設計図に基づいて、より具体的な数値や形状などを記した図面です。寸法や部材などの細かな記載があり、現場の作業員への指示に使用されます。

平面図の縮尺を拡大した「平面詳細図」、建物の骨組み部分の情報を記載した「躯体図」、構造や設備、意匠などの情報をまとめた「総合図」が含まれます。

竣工図

施工後の最終的な建築物の状態を正確に記録した図面です。施工中の変更点も反映されることから、必ずしも施工図と一致しません。建築物の修繕や改修の際にも活用されます。

意匠図

間取りやデザインなど、建物の外観や内装の完成イメージを伝える図面です。建物の間取りや配置などを示す「平面図」、建物を垂直に切断して横からみる「断面図」、室内の中央から東西南北の壁をみた「展開図」などから構成されています。

構造図

建物の強度や耐久性を左右する構造についての詳細な情報を記した図面です。建物の構造部分を平面で示した「伏図」、柱や梁などの骨組みを立面で表した「軸組図」などが含まれます。

設備図

電気や給排水、空調といった建物の設備の仕様や位置関係、配線・配管などの情報をまとめた図面です。

電気設備の仕様や配線などを示した「電気設備図」、ガスの配管経路や配管の寸法などを表した「ガス設備図」、エアコンや換気扇の情報が記載された「空調換気設備図」などがあります。

確認申請図

法令への適合を示す確認申請の際に添付される図面を指します。敷地と建物の位置関係を表した「配置図」をはじめ、「平面図」や「立面図」など、建物の概要や安全性を確認するための図面が必要です。

建築CADを使用する主な職種

建築CADを活用する代表的な職種は、下記の通りです。

・CADオペレーター
・CAD設計士
・建築士

それぞれの仕事内容について、詳しく解説します。

CADオペレーター

CADオペレーターとは、CADを使って図面を作成する職業です。デザイナーや設計者などが考えたプランを図面に落とし込むのが主な業務です。

建築現場に携わる場合は、図面を作成する上で設計者の意図を正確に反映させる必要があるため、建築に関する知識もある程度求められます。

また、設計士や建築士の作成した図面を修正したり、断面図を作成したりするのもCADオペレーターの仕事です。なかには手書きの図面をCADにトレースする場合もあります。

CADオペレーターについて詳しくは、下記の記事でも解説しています。

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CADオペレーターの仕事は楽しい?魅力とやりがいを7つ紹介!

CAD設計士

CAD設計士とは、建築CADをツールとして用いて設計をする仕事です。CADオペレーターと異なり、図面を作成するだけでなく、デザインや構造などの設計も担います。

一から設計できることが求められるため、CADの操作方法以外に建築関連法規などの専門的な知識も必要とされるのが特徴です。

建築士

建築士とは、建物の設計から工事監理までを担う職種です。建築CADをツールとして用いて、設計などをします。

建築士になるには、「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」などの国家資格が必要です。

建築士資格を保有してない場合、100㎡未満の木造建築物や30㎡未満で高さ13mかつ軒高9m以下の建築物などしか設計できません。一方、建築士であれば、より大きな規模の建物を設計できます。

建築系CADソフト7選

建築CADには複数のソフトがあり、汎用CADと専用CADの2種類に分類できます。どの分野でも使用可能な機能を備えた汎用CADに対し、特定分野の製図や設計で使用しやすいようにつくられているのが、専用CADです。

ここでは、よく使われている7種類のソフトについて紹介します。

AutoCAD(オートキャド)

AutoCAD(オートキャド)は、Autodesk社が手掛ける、業界のスタンダード的存在の汎用CADソフトです。2次元図面・3次元図面のどちらも制作できる機能性の高さが魅力です。

Revit(レビット)

Revit(レビット)は、 建築に特化されたAutodesk社のBIMソフトです。BIMとは、コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加えて、建物の属性情報などをあわせ持つ建物情報モデルを構築できるシステムのことです。

AutoCADをはじめ、Autodesk社製のさまざまな製品と連携できます。ワークシェアリング機能で、プロジェクトメンバーが、同じモデルを共有しながら作業できるのも便利です。

ArchiCAD(アーキキャド)

ArchiCAD(アーキキャド)は、世界初のBIMソフトです。直感的な操作が魅力で、macOSに対応しているので、世界中の建築業界で高いシェアを誇ります。

Rebro(レブロ)

最先端のBIMシーンで活用される3次元CADが、Rebro(レブロ)です。高精度な設備モデルが作成できます。設計から維持管理までをシームレスにつなげられるなど、設備業務を効率化できるソフトです。

Tfas(ティーファス)

空調衛生設備や電気設備専用として開発されたのが、Tfas(ティーファス)です。配管や配線が張り巡らされた複雑な部分を、比較的簡単に設計できるのが強みです。

Jw_cad(ジェイダブリューキャド)

Jw_cad(ジェイダブリューキャド)は、国産の汎用CADソフトです。フリーソフトながら高い性能を誇り、多くの設計現場で採用されています。建築士が開発したため、建築系での利用が多いのも特徴です。AutoCADの互換データが作成できます。

BricsCAD

AutoCADとのデータ互換性が高く、操作感もAutoCADと類似したCADソフトです。BricsCADの魅力は、AutoCAD約3か月分の費用で永年ライセンスを取得できる点にあります。

2次元図面・3次元図面に対応しているにもかかわらず、低価格を実現していることから、費用対効果の点でも高い評価を得ています。

建築CADの選ぶときのポイント

数多くの製品から自社に適した建築CADソフトを選ぶには、多角的な視点での検討が必要です。次に、建築CADソフトを選ぶためのポイントを解説します。

機能や操作性

CADソフト選びの重要なポイントは機能性にあります。購入時には、事前に自社の設計・製図工程を再確認した上で、日常業務に必要な機能を備えているか十分に検討しましょう。

また、扱いやすさも日々の作業効率に直結する要素です。可能であれば購入前に試用し、CADソフトのインターフェースや操作性もチェックしておくことをおすすめします。直感的に操作できるソフトであれば、CAD初心者であっても習得が容易です。

サポート体制

サポート体制の充実度は、購入後の満足度に直結しやすいポイントです。トラブル発生時や操作に関して不明点がある場合などに備え、サポート内容や対応時間帯、費用などを把握しておければ、導入後も安心です。

ライセンス形態

CADソフトの効率的な運用を考えるのであれば、自社の利用環境に適したライセンス形態の選択が鍵となります。CADソフトのライセンス形態には、下記のような種類があります。

・無料ライセンス:使用にあたって利用料が発生しない
・永久ライセンス:一度購入すれば、使用期間の制限がない
・サブスクリプション:定額料金を支払い、一定期間利用できる
・フローティングライセンス:ライセンス数の範囲内で同時に使用できる

使用頻度や利用人数を鑑み、各形態を比較検討した上で選択しましょう。

まとめ

建築CADとは、建築や建築設備に特化したCADのことです。簡単かつ正確に製図ができ、ミスの修正や図面の共有・管理がしやすいことから、製図になくてはならないツールです。建築CADのスキルを身に付けておけば、CADオペレーターや建築士などへのキャリアの道が開けるため、建築業界を目指したい方は習得を検討すると良いでしょう。

CADオペレーターを未経験から目指すなら、共同エンジニアリングがおすすめです。研修が充実しており、未経験でもステップアップしていけます。建築CADに関心がある方は、ぜひご応募ください。