建築施工管理技士の受検資格とは?最短・実務経験なしで目指す方法も紹介

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建築施工管理技士は、建築工事を管理・監督するために必要な国家資格です。取得するには、建築施工管理技術検定に合格する必要がありますが、誰でも受検できるわけではありません。建築施工管理技士を取得したい場合は、事前にどのような受検資格があるのか知っておきましょう。今回は、建築施工管理技術検定の受検資格や、最短で建築施工管理技士を取得する方法について解説します。

そもそも建築施工管理技士とは

建築施工管理技士とは、建設業法で定められた「建築施工管理技術検定」に合格した技術者のことです。具体的には、建築工事現場での監督を行う職種です。建築工事現場全体の工程を管理するなど、建築現場のまとめ役として「建築施工管理技士」が必要とされます。技術検定は国土交通省が管轄している国家資格試験であり、1級・2級の区分があります。下記では、建築施工管理技士の仕事内容や1級・2級の違いについて解説します。

建築施工管理技士の仕事内容

建築施工管理技士は、建築工事現場で「現場監督」や「現場代理人」などと呼ばれる立場として、建築工事が安全・高品質・計画通りに進むよう、さまざまな管理業務を担当します。現場やプロジェクトによって細かな仕事内容は異なりますが、一般的には下記の業務を行います。

品質管理:使用する建材や工法が基準を満たしているかの確認、完成した建物の仕上がりや強度のチェックなど、建築物の品質を管理する業務。
工期管理:工事スケジュールの作成や進捗状況の確認、遅延が発生した場合の対応など、工期を守るための業務。
原価管理:工事に必要な資材費や人件費の計算したり、コストを削減するための策を立案したりなど、工事にかかる費用を予算内に収めるための業務。
安全管理:作業員への安全教育の実施、現場での安全設備の設置確認など、作業員の安全を確保し、労働災害を防ぐための業務。
環境管理:機械や作業による騒音・振動を最小限に抑える、作業中に発生する粉塵を防ぐための散水など、工事によって周辺環境や自然環境に悪影響を与えないように対策を講じる業務。

上記のほかにも、設計者や発注者との打ち合わせ、下請け業者や職人への指示、近隣住民への説明・苦情対応なども行います。

1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の違い

1級建築施工管理技士と2級建築施工管理技士の仕事内容に大きな違いはありませんが、管理できる現場の規模や資格の権限などが異なります。

1級の場合、マンションやオフィスビル、公共施設などの大規模工事を含むすべての建築工事で監理技術者(工事全体を統括)として従事できます。

2級では、一般住宅や小規模店舗のような小~中規模な建築工事で主任技術者・専任技術者として働くことが可能です。

なお、監理技術者と主任技術者の違いについては、こちらの記事も参考にしてください。

監理技術者と主任技術者の違いは?役割と資格・経験などを解説

令和6年度から建築施工管理技士の受検資格が変更

制度改正にともない、令和6年度より施工管理技術検定(第二次検定)の受検資格が変更されました。しかし、令和10年度までの5年間は、経過措置として令和5年度以前の旧受検資格による受検も可能です。

なお、令和6年度から10年度までの間に一度でも第二次検定を受検していれば、令和11年度以降も旧受検資格に基づいて再受検が可能(辞退者は除く)です。

2級建築施工管理技士の受検資格

ここでは、2級建築施工管理技術検定の受検資格を紹介します。

出典:一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 2級 建築施工管理技術検定のご案内

2級第一次検定の受検資格

第一次検定は、17歳以上(受検年度末)であれば実務経験問わず誰でも受検可能です。第一次検定に合格すると、「2級建築施工管理技士補」の資格を取得できます。ただし、2級建築施工管理技士補を取得しても、建築施工管理に関する業務がすべて可能になるわけではありません。

2級第二次試験の受検資格

第二次検定を受検するには、一定の実務経験が必要です。下記で、新・旧の受検資格を紹介します。

2級第二次試験の新受検資格

新受検資格では、下記の1〜3のいずれかを満たすことで、第二次検定に受検できる権利を得られます。

1.2級 建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、3年以上の実務経験を積む
2.1級 建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、1年以上の実務経験を積む
3.一級建築士試験合格後、1年以上の実務経験を積む

2級第二次試験の旧受検資格

旧受検資格では、第二次検定を受検するための前提条件として、下記3つのいずれかに該当している必要があります。

・2級第一次検定に合格している
・一次/二次検定へ同時に受検申請する
・一級建築士試験に合格している

上記のいずれかに該当しつつ、下記の表に記載された区分「イ」「ロ」「ハ」のいずれかの条件を満たす必要があります。

区分

受検種別

学歴・称号・資格

必要実務経験

指定学科 

指定学科以外

「建築」「躯体」「仕上げ」のいずれかが受検可能

・大学
・専門学校の「高度専門士」

卒業後1年以上

卒業後1年6か月以上

・短期大学
・高等専門学校(5年制)
・専門学校の「専門士」

卒業後2年以上

卒業後3年以上

・高等学校
・中等教育学校
・専門学校の専門課程

卒業後3年以上

卒業後4年6か月以上

その他(最終学歴問わず)

通算8年以上

「躯体」はこの区分での受検も可能

技能士

・鉄工〔構造物鉄工作業に限る〕
・とび
・ブロック建築
・型枠施工
・鉄筋組立て
・鉄筋施工〔鉄筋組立て作業に限る〕
・コンクリート圧送施工
・エーエルシーパネル施工

1級または単一等級の検定職種に合格した方

不問

2級の検定職種に合格した方(平成15年度以前)

2級の検定職種に合格した方(平成16年度以降)

通算4年以上

「仕上げ」はこの区分での受検も可能

 

・建築板金〔内外装板金作業に限る〕
・サッシ施工
・石材施工〔石張り作業に限る〕
・ガラス施工
・建築大工
・石工〔石張り作業に限る〕
・表装〔壁装作業に限る〕
・左官
・タイル張り
・塗装〔建築塗装作業に限る〕
・畳製作
・れんが積み
・防水施工
・熱絶縁施工
・スレート施工
・内装仕上げ施工
〔プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、鋼製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業に限る〕
・床仕上げ施工
・天井仕上げ施工
・カーテンウォール施工

1級または単一等級の検定職種に合格した方

不問

2級の検定職種に合格した方(平成15年度以前)

2級の検定職種に合格した方(平成16年度以降)

通算4年以上

実務経験の考え方や指定学科など、詳細は一般財団法人建設業振興基金の公式サイトで確認してみてください。

1級建築施工管理技士の受検資格

ここでは、1級建築施工管理技術検定の受検資格を紹介します。

出典:一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級 建築施工管理技術検定のご案内

1級第一次試験の受検資格

第一次検定は、19歳以上(受検年度末)であれば誰でも受検可能です。旧受検資格では、「学歴によって一定の実務経験が必要」あるいは「2級合格」といった条件がありました。受検資格が変わったことにより、未経験者でも受検できるようになっています。

1級第二次試験の受検資格

第二次検定の受検資格について、新・旧それぞれ紹介します。

1級第二次試験の新受検資格

区分

必要実務経験

1級第一次検定合格者

・1級建築第一次検定合格後、5年以上の実務経験
・1級建築第一次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験
・1級建築第一次検定合格後、監理技術者補佐として1年以上の実務経験

1級第一次検定、及び2級第二次検定合格者

・2級建築第二次検定合格後、5年以上の実務経験
・2級建築第二次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験

1級第一次検定受検予定、及び2級第二次検定合格者

・2級建築第二次検定合格後、5年以上の実務経験
・2級建築第二次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験

一級建築士試験合格者

・一級建築士試験合格後、5年以上の実務経験
・一級建築士試験合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験

1級第二次試験の旧受検資格

区分

学歴・称号・資格

必要実務経験

指定学科

指定学科以外

・大学
・専門学校の「高度専門士」

卒業後
3年以上

卒業後
4年6か月以上

・短期大学
・高等専門学校(5年制)
・専門学校の「専門士」

卒業後
5年以上

卒業後
7年6か月以上

・高等学校
・中等教育学校
・専門学校の専門課程

卒業後
10年以上

卒業後
11年6か月以上

・その他(最終学歴問わず)

通算15年以上

・二級建築士試験合格者

合格後5年以上

・2級建築施工管理技術検定第二次検定(あるいは旧実地試験)合格者

合格後5年以上

2級建築施工管理技士
第二次検定合格後の実務経験が5年未満の者

・短期大学
・高等専門学校(5年制)
・専門学校の「専門士」

2級二次合格による短縮なし

卒業後9年以上

・高等学
・中等教育学校
・専門学校の専門課程

卒業後9年以上

卒業後10年6か月以上

その他(学歴問わず)

通算14年以上

最短で建築施工管理技士を目指すには

下記で、建築施工管理技士になる最短ルートを紹介します。

最短で2級建築施工管理技士になるルート

2級建築施工管理技士になる最短ルートは、下記の通りです。

・1級の第一次検定に合格→実務経験を1年積む→2級の第二次検定に合格する

2級の第一次検定に合格してから第二次検定を受検するのも良いですが、3年以上の実務経験が必要になるため時間がかかってしまいます。

最短で1級建築施工管理技士になるルート

最短で1級建築施工管理技士になるルートは、下記の通りです。

・1級の第一次検定に合格する→監理技術者補佐として実務経験を1年積む→1級の第二次検定に合格する

監理技術者補佐とは、監理技術者の職務を補佐する技術者のことです。監理技術者の指導を受け、施工計画の作成や工程管理、品質管理などの補助業務を担当します。

実務未経験から建築施工管理技士を目指すには

下記で、実務未経験から建築施工管理技士を目指す方法を2つ紹介します。

方法1|各検定の第一次検定に合格し「技士補」となる

建築施工管理技術検定の第一次検定は、年齢要件さえ満たしていれば実務経験がなくても受検できます。そして、第一次検定を受検すれば、「建築施工管理技士補」の資格が取得できます。

したがって、就職・転職前に建築施工管理技士補を取得するのもひとつの手です。資格を取得することで転職が有利に進められ、結果的に実務経験が早く積める場合もあります。

特に1級の建築施工管理技士補を取得すれば、監理技術者の補助作業ができるようになるため、即戦力としてアピールできるでしょう。

方法2|未経験でも応募できる求人を探す

建築施工管理技術検定を受検する前に、建設業界に入って実務経験を積むのも良いでしょう。実務経験を積んでから学習を進めることで、内容が理解しやすくなります。

ただし、就職・転職先を選ぶ際に注意したいことがあります。それは、第二次検定の資格要件である「建築施工管理の実務経験」が積める求人を選ぶことです。入職したけど、「建築施工管理の業務を任せてもらえなかった」といった事態に陥らないよう、慎重に求人を選びましょう。

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まとめ

建築施工管理技士になるには、国土交通省が管轄する国家試験の「建築施工管理技術検定」の1級か2級に合格する必要があります。建築施工管理技術検定には受検資格があるため、事前に確認してから受検申請しましょう。

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