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スキルがなくても転職できるのが「20代」
転職したいと考えているものの、スキルがないために一歩を踏み出せない20代は多いでしょう。ですが、20代はスキルがなくても転職しやすい年代です。
最初に、20代の転職との向き合い方からみていきましょう。
20代は将来の成長が期待できる
20代の転職に関して、企業側はスキルや実績よりもポテンシャルを重視する傾向にあります。なぜなら20代はまだ若く、これから仕事を覚えて会社で活躍してくれる可能性があるからです。
また、社会経験が浅いことは、吸収力や柔軟性があるということでもあります。ある程度経験を積んだ人材は、自分なりの仕事の進め方を確立していることがありますが、経験の浅い人材ならその会社の方針や進め方に合わせて対応できます。
ポテンシャルと柔軟性のある人材を求めて、20代の採用に積極的な企業は多いです。
多くの企業で人手不足に陥っている
厚生労働省が公表している資料によると、人手不足を理由とした倒産は近年増加傾向にあります。倒産件数全体に占める人手不足関連倒産の割合は、2013年には3%以下だったのが2021年には7.2%と、2倍以上に上ります。
参考:「令和4年版 労働経済の分析」(厚生労働省)
人手が足りていない企業の多くは、将来を支える若手を雇用したいと考えています。20代であれば、スキルがなくても採用に積極的な企業は多いでしょう。
しかし、人手不足に陥っている理由が「労働環境が厳しく人の入れ替わりが多いため」という企業には注意が必要です。企業の成長による人員確保のためか、それ以外によるものか、よく見極めましょう。
会社側の負担がそれほど大きくない
人を雇用するのには当然お金がかかります。正社員を雇う場合、給料はもちろん求人広告や備品などの初期費用、残業代や社会保険、福利厚生費などの維持費用なども必要です。
スキルの高い人材を雇う場合、自社を選んでもらうために提示する給料は必然的に高くなります。給料が高くなれば社会保険料も上がるため、会社側の負担は大きいといえます。
経験の浅い人材は、スキル豊富な人材を雇うよりも人件費が抑えられます。会社側にとっても、20代を雇用するメリットは大きいといえます。
スキルがない20代のよくある疑問3選
経験の浅い20代だと、転職になかなか踏み出せない方は多いでしょう。しかし、20代のうちに転職をすることで、現状の悩みを解決したり、今後のキャリア形成に役立ったりする場合も多くあります。
そこでここからは、スキルのない20代の転職に関するよくある疑問を紹介します。
スキルがないなら転職しないほうがいい?
前述したとおり、20代の転職に求められているのはポテンシャルや柔軟性です。スキルが求められない場合が多く、転職へのハードルは低いといえます。20代だからこそ、今の仕事に納得していない場合は迷わず転職にチャレンジすべきでしょう。
30代以降になると、これまで培ってきた経験が仕事に活かせるかどうかが重視されます。スキルがない状態での転職となると、20代よりもチャンスは少なくなるかもしれません。
近年は、若い世代に昇進のチャンスを与える企業も増えています。転職をするのであれば、キャリア形成を図るためにも、スキルの有無に関係なく20代のうちがベストといえます。
ほかの20代はどんな理由で転職している?
昨今、20代の正社員転職率は入社後3年以内で約3割といわれており、転職を考えている人は珍しくありません。
20代がどのような理由で転職をしているのか、厚生労働省が公表している令和3年上半期の雇用動向調査結果によると、下記のとおりです。
20代前半・男性 | ・職場の人間関係が好ましくなかった 13.1% ・給料等収入が少なかった 9.9% ・会社の将来が不安だった 9.6% |
20代後半・男性 | ・給料等収入が少なかった 16.5% ・会社の将来が不安だった 8.1% ・仕事の内容に興味が持てなかった 6.9% |
20代前半・女性 | ・労働時間、休日等の労働条件が悪かった 15.5% ・会社の将来が不安だった 11.7% ・給料等収入が少なかった 11.1% |
20代後半・女性 | ・労働時間、休日等の労働条件が悪かった 17.7% ・結婚 13.1% ・仕事の内容に興味が持てなかった 6.3% |
参考:「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」
この結果から、男性は特に人間関係や収入、女性は労働条件を重視する傾向にあることがわかります。
転職回数が多いと不利になる?
1~2回の転職はさほど珍しくなく、採用に影響は出にくいといえます。
たとえ転職回数が多くても、転職に関して明確な目的意識がある場合や、これまでのスキルを活かせる人材であれば、転職回数が多くても採用される可能性はあります。
いずれにせよ、転職に至った経緯や自身の気持ちをしっかりと自分の言葉で語ることが大切です。
スキルがない20代が考えるべきキャリア形成とは
スキルがなく自信がもてない20代は、将来的なキャリア形成を見据えた転職を行うことをおすすめします。
スキルがない20代が考えるべき、キャリア形成についてみていきましょう。
転職先は本気でやりたいと思った仕事を選ぶ
20代はキャリアの再挑戦がしやすいとはいえ、転職で理想の働き方をしていくには、続けられる仕事かどうかも重要です。仕事で苦労はつきものですが、それを乗り越えてこそキャリアや経験を積むことができるといえます。
転職先を考えるなら、まずは、本気でやりたいと思える仕事かどうかをしっかりと考えておきましょう。
スキルアップはキャリア形成の方法のひとつでしかない
スキルを身に付けていくことは、あくまでもキャリアを形成する手段のひとつでしかありません。スキルがないから転職できない、ではなく「転職でキャリア形成を目指す」に意識を変えてみましょう。
とはいえ、キャリア形成にもさまざまな軸があります。役職をあげる、組織への貢献度を上げるといった上昇志向だけでなく、「スキルを高めて上の資格を目指す」「できる仕事の幅を広げる」といった方法も選択肢のひとつです。
より柔軟に、自分が目指すキャリア形成の方向を意識してください。
重視すべきは専門スキルではなく「汎用的なスキル」
これから長く続く社会人生活のなかで、20代はキャリアの土台を築く時期です。20代の転職では専門性の高い資格よりも、どの仕事でも通用する汎用性の高いスキルを身につけることを重視しましょう。
たとえば、計画力や交渉力、問題解決能力、プレゼンスキル、論理的思考力などはどこで働くにも必要で、30代や40代で身につけるスキルの支えになります。
30代以降は業務範囲や責任が増え、余裕がなくなることもあります。20代の若いうちに、幅広い仕事で共通して求められるスキルを身につけておきましょう。
スキルがない20代の転職対策
20代はポテンシャルの高さが強みとはいえ、企業の採用条件やほかの応募者の状況によってはスキルが優先されるケースも当然あります。ポテンシャルだけに任せては、転職活動がうまく進められないかもしれません。
スキルのない20代が転職を成功させるためにすべきことを紹介します。
現職で身に付けた経験・知識の棚卸をする
キャリアの棚卸とは、これまで自身が携わってきたすべての仕事に関して、具体的に掘り下げ整理していくことを指します。
キャリアの棚卸はこれまで獲得した経験やスキル、また自身の仕事への意識などを振り返る大切な作業です。自分を見つめ直すことで強みや弱み、本当にやりたい仕事などが見えてきます。転職のタイミングや職種の決定にも役立つでしょう。
キャリアの棚卸をするときは、まずこれまで携わってきた仕事で、出社から退社まで一日どのように過ごしていたかを書き出していきます。そして、それぞれの業務にどのような姿勢で取り組んでいたか、またどのような実績をあげられたのかを記入していきましょう。これまで積み上げてきたキャリアを書き終えたら、自分の強みや学んだことが見えてくるはずです。
転職したい業界・職種の資格を取得する
転職したい業界や職種の資格を持っていれば、応募できる求人も増え転職先の選択肢が広がります。特に資格が必要ない職種でも、仕事に関連した資格を持っているだけでアドバンテージとなります。
また、資格取得によって給与アップが期待できたり、資格手当をもらえたりする場合もあるので、目指す職業があれば資格取得に向けて勉強しましょう。
汎用的なスキルを磨く
あらゆる職種やポジションで活躍する汎用スキルは、転職の際の自己PRに繋がります。
汎用的なスキルにはビジネスマナーやプレゼンに関するスキル、相手の話を理解するヒアリング能力、円滑な人間関係を築くコミュニケーション能力など幅広い能力にわけられます。
特に、どのような企業でも求められるコミュニケーション能力は、転職活動で大いに役立ちます。
スキルを養うためには、まず普段からコミュニケーションの取り方を見直してみましょう。コミュニケーション能力を身につけるには、相手の話をきちんと聞き、理解したうえで自身の意思を明確に言葉にすることが大切です。
スキルがない20代の企業選びのポイント3選
スキルがない20代におすすめしたい、企業選びのポイントをみていきましょう。
20代の転職先選びでは、汎用的なスキルを身につけられる会社かどうかが重要です。次の3つを中心に、やりがいのある仕事を見つけましょう。
教育制度が充実しているかどうか
20代は、これから仕事をするうえで欠かせない、キャリアの土台をつくる時期です。転職先には、教育制度が充実している企業を選ぶことをおすすめします。
企業選びでは、入社後の研修がしっかり行われているか、若手の資格支援のキャリアサポートがあるかをチェックしましょう。ビジネスマナーや自己啓発セミナーの実施、ジョブローテーション制度を導入している企業もおすすめです。
大企業やメガベンチャーといった資金力のある会社は、比較的社員への教育制度が行き届いている傾向があります。未経験の異業種からの転職でも挑戦できる会社は多いので、ぜひチャレンジしてください。
大規模な案件に関われるかどうか
大規模な案件に関われるかどうかも、20代が転職先企業を選ぶ重要な判断ポイントです。
一般的に、規模が大きい案件ほど予算が多く、幅広い業務を経験できることが多いです。また、多くの人が関わりながら働くことで、コミュニケーションスキルも養えるでしょう。
とくに大企業なら、20代の若手でも業界の最先端技術や、国が関わるプロジェクトに携われることもあります。着実にスキルや経験を身に付けたいなら、こういった要素も重視しましょう。
社内異動(キャリアチェンジ)がしやすいかどうか
20代の転職先選びでは、社内で異動のチャンスがあるかもチェックしてください。
20代はこれからスキルを得て、才能を開花させる時期です。業務に取り組むなかで新しい仕事にやりがいを感じたときや、自分の強みが明確化できることもあるでしょう。その際に社内でのキャリアチェンジがしやすい環境であれば、理想の働き方を実現させやすいです。
たとえば、建設業界の施工管理においては、スキルを広げて管理本部へ、技術者としての知識を活かして営業職へと、キャリアを広げていくことも多いです。学び直しをして、施工管理の知識や技術をベースにIT関連の仕事に進むことも夢ではありません。
大企業を中心に、キャリアチェンジしやすい環境が整っている会社も増えてきているので、注目しておきましょう。
スキルがない20代におすすめの職種・仕事5選
スキルがなくてもチャレンジしやすい職種や仕事を5つ紹介します。転職する際の参考にしてみましょう。
営業職
営業職は未経験でも応募可能な求人が多くあります。
営業の際に必要な商品知識は入社後に覚えるため、応募の際に特別な知識や資格が求められることは基本的にありません。ただし医薬品の販売は例外で、専門的な資格を要求されることがあるため注意しましょう。
施工管理
20代でスキルがなく、これからキャリア形成を目指したい人であれば、資格がなくても挑戦でき、業界的にも成長性の高い施工管理を選ぶと良いでしょう。
建築需要が高まるなか担い手が少ないことから、現在は売り手市場となっています。
施工管理では、スケジュール管理、品質管理、安全管理、原価管理、環境管理などの幅広い業務を担当するため、さまざまなスキルを習得できます。汎用的なスキルを身に付け、新たな転職先を探すことも可能なほか、施工管理の専門職としてキャリアを築いていくこともできます。
建設業界は男性が多いイメージがありますが、施工管理は女性でも活躍しやすい仕事でもあります。
女性の施工管理について、以下の記事でも紹介しています。建設業界や施工管理に興味のある女性はぜひ参考にしてみてください。
「【実際の声】女性が施工管理で勤務して良かったこと・きついと感じたこと」
施工管理の仕事が未経験であれば、まずは派遣という選択もおすすめです。
介護職
介護士やケアマネージャーになるためには資格が必要ですが、無資格でも働けます。
また「介護福祉士実務者研修」や「介護職員初任者研修」など、働きながら取りやすい資格もあります。資格を取得すれば収入アップやキャリアアップも目指せるでしょう。
工場スタッフ
工場ではマニュアルに沿って作業を進めることが基本のため、未経験でも活躍しやすい仕事だといえます。フォークリフトなどの資格を持っていれば、優遇されることもあります。
医療事務
医療事務は受付や会計業務が主な仕事のため、基本的に資格は必要ありません。一度医療事務で働いた経験があれば、ほかの病院でも知識を活かせるため、再就職で仕事を見つけやすいメリットもあります。医療事務実務士やメディカルクラークなどの資格を保有していると転職時に有利に働くこともあるでしょう。
まとめ
「転職したいけどスキルがない・・・」と、引け目を感じる必要はありません。若い20代だからこそ転職で良い仕事に就ける可能性があり、これからのスキルアップが目指せます。
スキルに自信がなくても、挑戦しやすい仕事は数多くあります。今回紹介した内容を参考に、自身の興味や関心からやりがいのある仕事を見つけましょう。