ハウスメーカー施工管理の仕事内容!ゼネコンとの違いは?

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予算面、安全面に加え、役所への手続きや書類作成など、工事に関わるすべてのことを管理する役割を持つ施工管理は、建築現場において不可欠な存在です。工事にはさまざまな工程がありますが、工事スケジュールの延期や予算オーバーなどが発生しないよう、時間と質のバランスも考慮しなければなりません。 特に、ハウスメーカーの施工管理は、工事現場をかけ持ちしながら建築材料の調達や職人たちの調整をスムーズに進められるかが腕の見せどころです。 ここではハウスメーカーの施工管理に興味を持っている人に向けて、仕事内容や年収を紹介します。

ハウスメーカーの施工管理とは?

ひとくちにハウスメーカーの施工管理といっても、その業務内容はさまざまです。ハウスメーカーの施工管理については、下記で詳しくご紹介いたします。

ハウスメーカーの施工管理の仕事内容

ハウスメーカーの施工管理は、以下の業務に分けられます。

・建築の資材発注

・作業員の手配・工程管理

・現場の安全管理

・建物の品質管理

・工事の予算管理

それぞれについて、下記で順を追ってご紹介します。

建築の資材発注

建築資材の発注は、事前に設定された予算の中で行います。建築においてさまざまな用途に使用される資材は、その種類も多岐にわたります。施工管理担当者は、必要な資材を必要なタイミングに合わせて用意しなければなりません。

また、資材のコストや納期は、経済状況や世界情勢から影響されます。変化する市場においても、無駄なコストを出さずに事業の利益につなげ、なおかつスケジュール通りに施工を進める必要があるのです。

また、建築資材の発注管理においては、発注先の選定も重要なポイントとなります。発注先の業者の遂行能力を見極め、最適な業者へ発注する必要があるため施工管理担当者としてのスキルが問われます。

作業員の手配・工程管理

携わる建築現場の規模を確認し、手配する技術員に必要なスキルや、スケジュール通りに施工するための人数を考えます。人数の見積もりを誤ると、工期が予定よりも遅れるおそれも考えられます。施工を滞りなく進めるために、過不足なく手配することが重要です。施工の進捗具合によっては、作業員を増員するといった調節を行います。

また、定められた工期までに建築物を完成させるために、作業のスケジュールを管理する必要があります。この業務が工程管理です。建築現場の工程は多岐にわたり、多くの作業者が携わります。

建築現場にハプニングはつきものです。進捗が滞ると、工期に間に合わなくなるおそれもあります。こうした背景から、工程表を作成し進捗の確認や調整を行う必要があるのです。

基本工程表には、各作業の着工から完成までが分かりやすいバーチャート工程表や、各作業の相互関係を明確化するネットワーク工程表などがあります。

現場の安全管理

建築現場には、さまざまな危険が伴います。作業員の怪我や事故など、最悪の事態を防ぐためにも、すべての作業工程が安全に行われる環境を確保しなければなりません。たとえば、現場で使用する機材の点検や作業員の健康状態のチェックなど、安全管理にもさまざまな業務があります。

施工が進む中で、想定される危険に対して安全対策を施し、作業員の安全を確保することが施工管理の重要な業務のひとつです。

建設事業では、資材や重機運搬などで公共の道路を一時的に専用使用します。そのため道路占用許可書・道路使用許可申請書を提出し、作業員や現場周辺の安全確保も必要となります。

建物の品質管理

発注者の要求を達成するために、建物の品質保持が求められます。建築に使用した資材の耐久性や強度が、仕様書や設計書に記されている基準を満たしていなければなりません。仕様書には、施工会社が独自に作成した仕様書や、日本建築学会のJASS(建築工事標準仕様書)の仕様書などがあります。

工事の予算管理

工事の予算とは、建築資材費や作業員の人件費など、建築工事が完了するまでにかかる予算のことを指します。予算管理は、企業の利益につながる生命線ともいえる業務です。

しかし、綿密な見積もりや計画を立てていても、建築現場が当初の計画通りに進められることは稀で、何らかのトラブルは発生します。その際に、施工管理は、予定・工程を見直し、建築材料や作業員にかかる費用が予算を超えないように調節する必要があるのです。

予算管理は、企業の利益に直結する重要な業務といわれています。

ハウスメーカーとゼネコンの施工管理の違い

ハウスメーカーとゼネコンの施工管理の大きな違いは、施工する工事の規模です。

ゼネコンは規模の大きな商業施設等を手掛けますが、ハウスメーカーは主に戸建てをはじめ個人向け住宅の施工管理を手掛けます。

ハウスメーカーの場合、複数の現場を掛け持ちするケースも珍しくなく、施工管理にはマルチタスクが求められます。

ハウスメーカーの施工管理の年収相場

ハウスメーカーの施工管理の年収には幅があります。ハウスメーカーの規模や本人の年齢によっても大きく変わるからです。なお、大手のハウスメーカーとなると、ゼネコンと同等の年収を見込めます。

 

全国に支社がある大手ハウスメーカー

中小ハウスメーカー

20代

約300万~630万円

約300万〜500万円

30代・40代

約700~900万円

約400〜600万円

現場経験を積む期間である20代は、大手と中小どちらも業務内容に大きな差はありません。20代後半になると、昇給やボーナスに差が生じる程度です。大手の方が、伸びしろがあると考えられます。

また、30代、40代ではリーダーや課長などのポストに昇進する人が増えます。さらに経験を重ねるとキャリアアップできることも少なくありません。大手ハウスメーカーの場合、管理する人数が多くなるため、業務において管理能力も求められます。そのため、上記の表のように高年収が狙えるのです。

ハウスメーカーの施工管理業務のやりがいと大変なところ

ここまで、ハウスメーカーの施工管理業務の仕事内容や年収を紹介しました。ここからは、特に施工管理の仕事における「やりがい」と「大変なところ」をそれぞれ紹介します。

ハウスメーカーの施工管理のやりがい

ハウスメーカーの施工管理に携わると、施主や発注者などの顧客との距離が近く、意見や反応を直接聞けるのでやりがいを感じられます。

たとえば、施主に希望通りの住宅を提供して感謝されることは、何物にも代えがたい嬉しさがあります。

ゼネコンの施工管理の場合は工程の一部だけを任される場合もありますが、ハウスメーカーの場合は計画から完成までの管理が可能です。

また市営住宅の建設など、住宅の建設以外にもまちづくりの一環として大規模な工事に携われるケースもあります。

ハウスメーカー施工管理の大変なところ

ハウスメーカーの施工管理職の大変なところは、マルチタスクになりやすい点です。戸建ての建築工事を複数掛け持ちすると、より多くの業者や職人への発注内容が煩雑になってしまいます。

また、施主やクライアントなどの顧客と直接やりとりするため、クレーム対応する場面もあります。しかし、クレームに丁寧に対応して顧客の不満を解消できれば、満足度を高められます。

大変なところも多くありますが、その分やりがいが大きい仕事です。前述で紹介した施工管理の仕事にやりがいを感じられる人や、次の章で紹介する施工管理に向いている人に当てはまれば、幅広く活躍できる職場環境といえます。

ハウスメーカーの施工管理に向いている人

ハウスメーカーの施工管理の業務は多岐にわたります。施工管理スキルそのものは経験を積むことで身に付けられます。とはいえ、ハウスメーカーの施工管理に向いている人がいることも事実です。

施工管理は建築現場を管理する立場上、施工の一部分だけではなく、建築現場の全体を確認し、適切な指示を出さなければなりません。そこで必要なスキルのひとつがリーダーシップです。何もない状態から住宅を建築する現場では、建築プロジェクトや、それに関わる人材をまとめ上げる力が必要となります。

リーダーシップに加えて、意見を的確に伝えられるコミュニケーション能力も重要なスキルです。スケジュールに沿って施工を進めるうえで、事前の予定と変更しなければならない場面もあります。そのような場合に、変更箇所やその理由を作業員が納得できるように的確に伝えなければなりません。

また、建築現場に関わる人材は十人十色です。そのため人間関係のトラブルも少なくありません。トラブルが生じた際は仲裁に入り、現場の雰囲気を保つ配慮が必要な場面もあります。作業員への声掛けを行うことで、未然に防げるトラブルもあるため、コミュニケーション能力が必要とされるのです。

そのほか、危機管理能力も大切なスキルのひとつです。施工管理は建設現場における危険を事前にシミュレーションし、作業員の安全を確保しなければなりません。

まとめ

ハウスメーカーの施工管理は、戸建ての建設を中心に行う役割があります。ゼネコンの施工管理職とは違ったやりがいや大変なこともあります。そのため、施工管理を志す人の中には「自分にできるのだろうか」と、不安になる人が多くいます。

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