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2級建築施工管理技士の受検に必要な実務経験
建築施工管理技士には「2級」と「1級」があり、それぞれ「第一次検定」「第二次検定」と試験が分かれています。ここでは、2級建築施工管理技術検定の受検に必要な実務経験について、新旧それぞれ紹介します。
※建築施工管理技術検定についての最新情報は、同検定を実施している、国家試験の指定試験機関「一般財団法人 建設業振興基金」のホームページに記載されています。
第一次検定
2級建築施工管理技術検定の第一次検定は、新旧どちらの受検資格でも実務経験は不要です。年度末時点で17歳以上であれば誰でも受検可能であり、高校生や専門学校生、大学生でも挑戦できます。この検定に合格すると、「2級建築施工管理技士補」の資格が得られ、建築業界でのキャリアにおいて有利になります。
特に、学生のうちに取得しておけば就職活動に活用できるため、早めの受検がおすすめです。
第二次検定
第二次検定は新旧ともに実務経験が求められるため、誰でも受検できるわけではありません。必要な実務経験の内容は、新旧受検資格によって異なります。
【旧受検資格】
まず、第二次検定を受けるための前提条件として、下記の3つのいずれかに該当していることが求められます。
1.2級第一次検定に合格している
2.一次・二次検定へ同時に受検申請する
3.一級建築士試験に合格している
そして、下記の表に記載された区分「イ」「ロ」「ハ」のいずれかの条件を満たさなくてはなりません。
区分 | 受検種別 | 学歴・称号・資格 | 必要実務経験 | |||
指定学科 | 指定学科以外 | |||||
イ | 「建築」「躯体」 「仕上げ」のいずれかが受検可能 | ・大学 ・専門学校の「高度専門士」 | 卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6か月以上 | ||
・短期大学 ・高等専門学校(5年制) ・専門学校の「専門士」 | 卒業後 2年以上 | 卒業後 3年以上 | ||||
・高等学校 ・中等教育学校 ・専門学校の専門課程 | 卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6か月以上 | ||||
その他(最終学歴問わず) | 通算8年以上 | |||||
ロ | 「躯体」はこの区分での受検も可能 | 技能士 | ・鉄工〔構造物鉄工作業に限る〕 ・とび ・ブロック建築 ・型枠施工 ・鉄筋組立て ・鉄筋施工〔鉄筋組立て作業に限る〕 ・コンクリート圧送施工 ・エーエルシーパネル施工 | 1級または単一等級 の左欄検定職種 に合格した方 | 不問 | |
2級の左欄検定職種 に合格した方 (平成15年度以前) | ||||||
2級の左欄検定職種 に合格した方 (平成16年度以降) | 通算4年以上 | |||||
ハ | 「仕上げ」はこの区分での受検も可能 | ・建築板金〔内外装板金作業に限る〕 ・サッシ施工 ・石材施工〔石張り作業に限る〕 ・ガラス施工 ・建築大工 ・石工〔石張り作業に限る〕 ・表装〔壁装作業に限る〕 ・左官 ・タイル張り ・塗装〔建築塗装作業に限る〕 ・畳製作 ・れんが積み ・防水施工 ・熱絶縁施工 ・スレート施工 ・内装仕上げ施工 〔プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、鋼製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業に限る〕 ・床仕上げ施工 ・天井仕上げ施工 ・カーテンウォール施工 | 1級または単一等級 の左欄検定職種 に合格した方 | 不問 | ||
2級の左欄検定職種 に合格した方 (平成15年度以前) | ||||||
2級の左欄検定職種 に合格した方 (平成16年度以降) | 通算4年以上 |
【新受検資格】
下記1〜3のいずれかを満たせば、第二次検定に受検できます。
1.2級 建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、3年以上の実務経験を積む
2.1級 建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、1年以上の実務経験を積む
3.一級建築士試験合格後、1年以上の実務経験を積む
1級建築施工管理技士の受検に必要な実務経験
ここでは、1級建築施工管理技術検定の受検に必要な実務経験について、新旧それぞれ紹介します。
第一次検定
令和6年度から新たに導入された新受検資格により、受検年度末時点で19歳以上であれば、学歴に関係なく誰でも第一次検定を受検できるようになりました。
旧受検資格では、学歴ごとに定められた実務経験が必要であり、最低でも3年以上の実務経験が求められていました。新受検資格によって、学歴や経験に縛られることなく、多くの方が資格取得を目指せます。
1級第一次検定に合格すると、「1級建築施工管理技士補」の資格を取得でき、現場での監理技術者補助としての作業が可能になります。
第二次検定
1級第二次検定の受検資格は新旧で異なります。詳しくは下記の通りです。
【旧受検資格】
区分 | 学歴・称号・資格 | 必要実務経験 | ||
指定学科 | 指定学科以外 | |||
イ | ・大学 ・専門学校の「高度専門士」 | 卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6か月以上 | |
・短期大学 ・高等専門学校(5年制) ・専門学校の「専門士」 | 卒業後 5年以上 | 卒業後 7年6か月以上 | ||
・高等学校 ・中等教育学校 ・専門学校の専門課程 | 卒業後 10年以上 | 卒業後 11年6か月以上 | ||
・その他(最終学歴問わず) | 通算15年以上 | |||
ロ | ・二級建築士試験合格者 | 合格後5年以上 | ||
ハ | ・2級建築施工管理技術検定第二次検定(または旧実地試験)合格者 | 合格後5年以上 | ||
2級建築施工管理技士 第二次検定合格後の実務経験が5年未満の者 | ・短期大学 ・高等専門学校(5年制) ・専門学校の「専門士」 | 2級二次合格に よる短縮なし | 卒業後 9年以上 | |
・高等学校 ・中等教育学校 ・専門学校の専門課程 | 卒業後 9年以上 | 卒業後 10年6か月以上 | ||
その他(学歴問わず) | 通算14年以上 |
【新受検資格】
区分 | 必要実務経験 |
1級第一次検定合格者 | ・1級建築第一次検定合格後、5年以上の実務経験 ・1級建築第一次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験 ・1級建築第一次検定合格後、監理技術者補佐 (※2) として1年以上の実務経験 |
1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 | ・2級建築第二次検定合格後、5年以上の実務経験 ・2級建築第二次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験 |
1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 | 2級建築第二次検定合格後、5年以上の実務経験 2級建築第二次検定合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験 |
一級建築士試験合格者 | 一級建築士試験合格後、5年以上の実務経験 一級建築士試験合格後、1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験 |
実務経験として認められる業務
建築施工管理技士の受検資格を満たすためには、実務経験として特定の建築工事に従事し、施工に直接的に関わる技術上の職務経験を積む必要があります。下記は、実務経験として認められる工事種別と、各種現場での従事した立場の表です。
(表1)建築施工管理に関する実務経験として認められる工事種別・工事内容
工事種別 | 主な工事内容 |
建築一式工事 | 事務所ビル建築工事、共同住宅建築工事など |
大工工事 | 大工工事、型枠工事、造作工事など |
とび・土工・コンクリート工事 | とび工事、足場仮設工事、囲障工事、(PC、RC、鋼)杭工事、コンクリート工事、地盤改良工事など |
鋼構造物工事 | 鉄骨工事、屋外広告工事など |
鉄筋工事 | 鉄筋加工組立工事、ガス圧接工事など |
タイル・レンガ・ブロック工事 | コンクリートブロック積み工事、レンガ積み工事、ALCパネル工事、サイディング工事など |
左官工事 | 左官工事、モルタル工事、吹き付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事 |
石工事 | 石積み(張り)工事、エクステリア工事など |
屋根工事 | 屋根葺き工事など |
板金工事 | 建築板金工事など |
ガラス工事 | ガラス加工取り付け工事など |
塗装工事 | 塗装工事など |
防水工事 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 |
内装仕上工事 | インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内部間仕切り壁工事、床仕上工事、畳工事、ふすま工事、家具工事、防音工事など |
建具工事 | 金属製建具取付工事、金属製カーテンウォール取付工事、サッシ取付工事、シャッター取付工事、木製建具取付工事など |
熱絶縁工事 | 建築断熱工事など |
解体工事 | 建築物解体工事 |
増改築などの工事 | 上記工事種別による増改築などの工事は実務経験と認められる |
(表2)実務経験として認められる[表1]の工事現場において「従事した立場」
従事した立場 | 説明 |
施工管理 | 受注者(請負人)の立場で施工を管理(工程管理、品質管理、安全管理などを含む)した経験 |
設計監理 | 設計者の立場での工事監理業務の経験 |
施工監督 | 発注者側の立場で現場監督技術者などとしての工事監理業務の経験 |
出典:一般財団法人 建設業振興基金「建築施工管理に関する実務経験について」
実務経験を証明する方法
実務経験を証明する方法について、まず新旧受検資格ともに、実務経験証明書の記入が基本です。この証明書には、「建築施工管理に関する実務経験」欄を設け、実務経験年数や内容、期間を記載します。記載内容が正しいかどうかは、勤務先の代表者に証明してもらわなくてはなりません。
証明者は「実務経験証明にあたってのチェックリスト」に基づいて、経験内容や期間、年数が正確であることを確認します。具体的には、他の種目・種別との重複がないか、記載された内容に誤りがないかなどを慎重にチェックします。
証明者が内容を確認し、適正であることを証明した後、証明者欄に会社名、所在地、役職名、氏名を記入します。
実務経験証明書に関しては、こちらの記事もご覧ください。
「建設業における実務経験証明書の書き方|個人事業主が証明する方法は?」
まとめ
建築施工管理技術検定の第一次検定では、1級・2級どちらも実務経験が不要です。しかし、第二次検定は、1級・2級どちらも実務経験が必要です。建築施工管理技士の資格を取得したい場合は、実務経験を積みながら第一次検定の試験勉強を進めると良いでしょう。
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