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建設業における個人目標の役割
建設業において個人の目標設定には、さまざまな役割があります。個人目標を設定するメリットやその重要性について解説いたします。
目標設定をすることで得られるメリット
若手の従業員がいち早く仕事内容を覚えて成長するためには、業務に対し前向きに取り組める環境づくりが必要です。目標を設定することもそのひとつに含まれます。
目標を決めることで働き方や行動の指針となり、「業務の流れを効率的に覚える」「ミスを少なくする」など、個人の成長を促す効果があります。
また、目標を達成することで、仕事のやりがいを見つけるきっかけにもなり、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
目標設定を成功させるためには、目標を細分化することが重要です。目標をより具体化することによって、行動に移すまでの迷いを減らせます。
たとえば、同じミスを繰り返さないための目標設定として「ミスをしないように気を付ける」では、抽象的すぎて目標としての機能は果たされません。
一例として「指導を受けるときは、その場でメモを取る」「作業後に不備がないか、指さし確認を行う」など、より具体的な行動目標にまで落とし込むことが成功の秘訣です。
上述したように、具体的な行動計画を立てることによって、業務を早く覚えられ、同じようなミスを繰り返さないようになります。
目標と行動計画の正しい立て方を身に付けることによって、次第に自ら考えて行動できる人材へと成長できるでしょう。
目標設定の重要性
目標設定において重要なことは、現状と目標達成までの差を把握し、ゴールまでの道筋を明確にすることです。
目標達成に向けて、現状の自分に不足している部分を把握し、改善するための行動計画を立てられれば、目標設定は成功したといっても過言ではありません。
行動計画を明確にすることにより、仕事への取り組み方を改善し、モチベーションを維持させる効果が期待できます。
【建設業】個人目標を設定する際のポイント
建設業において、個人目標を立てる重要性については先述したとおりです。
ここでは個人目標を設定する際のポイントを説明します。
4つの構成要素を意識する
目標設定を成功させるためには、下記の4つの手順で目標の構成を考えると良いでしょう。
・目標を明確化する
・期日を決める
・具体的な行動を決める
・目標を振り返る
1.目標を明確化する
目標はできる限り明確なものを考えましょう。
抽象的な目標のままでは、何をもって達成したか判断しにくいため、達成率を著しく下げてしまいます。
数値など客観性のある要素を意識することで、進捗状況の把握や達成感が得られやすくなります。
たとえば、「業務開始15分前に出勤して掃除を行う」「資格取得に向けて週3回以上勉強する時間を確保する」など、時間や回数などを含めるところから始めると良いでしょう。
2.期日を決める
明確な目標を決めたあとは、達成するまでの期日を設定しましょう。達成時期だけでなく、途中経過を確認するための期日まで同時に考えられると、さらに目標達成率を上げられます。
ここでの期日は、10年先、3年先のような長期間ではなく、1年後や3か月後など短期間に設定することが大切です。
期間が長期的になってしまうと、モチベーションの維持が難しく、目標達成に向けて取り組んでいるプロジェクトが途中で頓挫してしまう可能性が高まるためです。
期日を短めに設定することで、目標や行動プランの管理がしやすくなります。
3.具体的な行動を決める
目標達成に向けた日々の行動計画を考えましょう。
行動計画を立てる際はすぐに行動できるように、できる限り具体的なレベルにまで落とし込むことが必要です。
大きな目標をもとに具体化された行動計画は、目標達成に近づく一歩となるでしょう。
一方、行動計画が抽象的だと、目標とは違う方向に行動してしまう可能性があるため要注意です。
行動計画は、目標達成に向けて進捗が一目でわかるように、定量的な要素を取り入れて設定しておくことが望ましいです。定量的な要素を盛り込むことで的確なフィードバックをもらいやすくなる効果も見込めます。
4.目標を振り返る
設定した期日には、必ず目標の振り返りを行いましょう。振り返ることで、進捗を確認するだけでなく、行動計画の見直しも行えます。
また、目標を振り返る際は、結果とあわせて行動したことに対する振り返りも大切です。
とくに、行動したことに対する振り返りは、モチベーションに対して大きな影響を与えます。
思ったような結果が得られなくても、実行できていることが自信へとつながり、取り組む方向性を修正することで成功に転じる可能性が大いにあるからです。
また、評価方法や評価基準がしっかり設けられていると、振り返る際に、「何が不足していたのか」、「どのくらい行動に移せたのか」、「行動の方向性は正しかったのか」などのフィードバックを受けやすくなります。
自社と個人の目標を関連付ける
魅力的で実用的な個人目標の多くは、SMARTの法則が用いられています。SMARTとは、目標設定するうえで重要な5項目の頭文字からとった言葉です。
それぞれの意味については以下の表をご覧ください。
SMARTの法則 | 意味 |
Specific | 具体的に |
Measurable | 測定可能な |
Achievable | 達成可能な |
Related | 経営目標に関連した |
Time-bound | 時間制約がある |
「具体性」や「測定可能」な要素をしっかりと目標に含められる人は多くいます。しかし、「経営目標に関連」した要素を含めることは意外に忘れがちです。
個人目標は会社の方針を理解し、利益を生む人材へ成長することを目的としているため、個人と会社の目標を関連付けることは重要な要素です。
たとえば、会社側が「顧客満足度の向上」という目標を掲げた際に、個人目標もそれに順ずる必要があります。
自社アンケートの結果、施工不良が原因で顧客満足度を下げていることがわかると、「施工不良件数を減らす」という大きな目標が浮かび上がってきます。
この目標をSMARTの法則に沿ってより具体的な目標へ組み変えると、「3か月後の施工不良率を8%下げるために、1工程ごとにダブルチェックを指さし確認で行うようにする」という具体的な目標ができます。
一方、会社の方針から外れた自分本位な目標は、達成しても評価されることが少ないです。かえってマイナス評価となってしまうこともあるでしょう。
そのため、個人目標は会社の方針を確認したうえで立てることが必要です。
効果的な個人目標を設定するには
建設業において効果的な個人目標を設定するために、以下のふたつを押さえておく必要があります。
・目標を共有や可視化する
・5Sを徹底する
それぞれ詳しく解説いたします。
目標の共有や可視化
業務のすべてのプロセスが可視化されることにより、目標達成に向けた課題が確認しやすくなります。担当する業務が会社全体の目標達成に結びつくことを実感できれば、モチベーションの向上につながります。
作業プロセスを可視化するために、生産管理システムなどのITツールを導入する企業も増えています。
目標達成への近道は5Sの徹底
5S活動とは、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字をとったものです。職場や工場などの環境を整えることで、さまざまなメリットが得られます。
たとえば、整理整頓による無駄の削減や、清掃による品質向上などです。ほかにも5S活動は、職場のモチベーション向上や社員の問題意識向上にもつながります。
一方、整理整頓が十分にされていない環境では、備品の管理がしにくく、作業効率を下げてしまうだけでなく、顧客に与える印象も悪くなるでしょう。
5S活動を徹底して行うことで、業務効率化や生産性の向上、従業員のモチベーション向上、顧客満足度の向上、事故発生率の低下などさまざまメリットが得られます。
まとめ
建設業において個人目標を設定することは、業務の効率化やスキルアップ、モチベーション向上に役立ちます。
個人目標の設定を成功させるには、SMARTの法則を理解し、実践することが必要です。
会社の方針や理念といった大きな目標を軸に、個人に求められる役割や能力の向上に結びつくような具体的な目標や課題を設定しなければなりません。
正しく目標を立てて、小さな課題をひとつずつ達成していく中で、最終的には自分で考え自立して行動できる人材へと成長するでしょう。