CADオペレーターの年収はいくら?雇用形態別の目安や将来性、キャリアプランも紹介

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転職先を選ぶ際に重要となる要素が「年収」です。CADオペレーターは専門的なスキルが求められる職業ですが、年収はどのくらいなのでしょうか。

この記事では、CADオペレーターの年収について、雇用形態別で紹介します。年収アップの方法についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

【雇用形態別】CADオペレーターの年収

CADオペレーターの年収は雇用形態によって大きく異なります。ここでは、正社員、派遣社員、フリーランスのCADオペレーターの年収について解説します。

正社員

正社員のCADオペレーターの年収は453.8万円です。

給与所得者の平均年収は460万円であることから、CADオペレーターの平均年収は他職種と同程度といえます。

しかし、CADオペレーターはスキルや実績が給与に反映されやすい職業なので、しっかりと経験を積めば高収入が期待できます。

出典:厚生労働省 job tag「CADオペレーター
出典:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査

派遣社員

派遣社員のCADオペレーターの平均時給は、1,800円程度です。月給に換算すると20〜30万円程度、年収にすると360万円程度が目安で、正社員と比べると給与は低めといえます。

ただし、スキルや経験次第では、派遣社員でも正社員より稼ぐことが可能です。また、派遣社員の場合は、比較的未経験でも始めやすい環境が整っていることや、入社後にさまざまな現場で経験が積めること、現場によっては休みの融通が利きやすいといったメリットがあります。

フリーランス

実績や経験を積んでフリーランスに転身しているCADオペレーターも多くいます。フリーランスのCADオペレーターの年収は稼働時間や案件数によってまちまちですが、案件単価は50万円ほどで設定されていることが多く、本数をこなせば高収入を目指せます。

フリーランスは正社員と違って年収の制限がなく、働き方次第で多く稼ぐことが可能です。とはいえ、自ら営業して案件を獲得していかなくてはならないため、フリーランスとして安定した収入を得るには十分な経験が必要になってくるでしょう。

年収の高いCADオペレーターになる方法①スキルを磨く

CADオペレーターとして高収入を目指す方法には、主に「スキルを磨く」「資格を取得する」の2つがあげられます。

スキルを磨いて、行える業務の幅を広げたり、質の高い成果物を提出できるようになったりすることで、年収アップが可能です。ここでは、高収入を得るために磨きたいスキルを4つ紹介します。

幅広くCADソフトを使いこなす

業界や企業によって、扱うCADソフトが異なる場合があります。ゆえに、幅広くCADソフトが扱えるようになれば、どのようなプロジェクトにも参加できるでしょう。

代表的なCADソフトには、「AutoCAD」「CATIA V5」「NX」などがあげられます。近年はBIMソフトウェアが注目されており、習熟には時間がかかりますが、扱えるようになれば市場価値を高められます。

業界によって主要なCADソフトは異なりますが、建設系であれば「Jw-cad」「Revit」「3D CAD」「CADWe’ll Tfas」「Archicad」などが定番です。活躍したい業界・分野で、どのようなCADソフトが使われるのか調べてみてください。

業界の専門知識を習得する

CADオペレーターとしてのスキルだけでなく、携わる業界の専門知識も取得することで、市場価値の高い人材になれます。建設、インテリア、機械設計など、自身が携わる業界のトレンドや最新技術を学び、質の高い成果物を提出しましょう。

専門知識を習得することで、現場の方が理解しやすい図面を作成できるようになります。「この人の図面は見やすい」「またこの人にお願いしたい」など、図面に自分だけの付加価値をつけることができれば、さらにやりがいもアップするでしょう。

関連記事:「CADオペレーターの将来性は?年収や必要なスキル、目指す方法を解説

高いコミュニケーションスキルを身に付ける

CADオペレーターは、ひとりで黙々と業務をこなすイメージをもたれがちです。しかし、設計者やデザイナーなどが用意した図面をコンピューターで処理する仕事のため、実際は社内外の人と接する機会があります。

コミュニケーション能力が乏しいとクライアントの要望を正確に把握したり、認識をすり合わせたりすることが難しくなります。

会社勤めの場合は、スムーズに業務を進める上でも社内外でのコミュニケーションは欠かせません。また、コミュニケーションスキルを磨くことで、部下の育成やマネジメントを担当する「管理職」へのキャリアアップも目指せます。責任のある役職に就くことで、その分給与アップにも期待できるでしょう。

関連記事:「CADオペレーターに向いている人の特徴!必要なスキルは?

作業の速さや正確性を上げる

作業の速さや正確性などのCADオペレーターとしての能力を高めることは、給与アップに直結します。

日々の業務において「図面にミスがないか」「効率を上げるにはどうしたら良いのか」を常に意識しましょう。作業の速さや正確性を上げるには、このような地道な努力が重要です。

年収の高いCADオペレーターになる方法②資格を取得する

CADオペレーターの仕事に資格は必須ではありません。しかし、資格を取得することで専門性が身につけられたり、信頼性を高められたりなど、高い評価にもつながります。また、資格手当を設けている会社であれば、毎月の給与にも反映され、キャリアアップにもつながるでしょう。

CADオペレーターに役立つ資格はいくつかありますが、ここではおすすめの資格を3つピックアップして紹介します。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、CADオペレーターとしての技能を証明する資格試験です。CADを利用する知識や図面を正しく理解し、作図をする技能などが求められます。CAD系資格において知名度が高く、定番であることから、CADオペレーターが最初に取得したい資格です。

CAD利用技術者試験には、大きく分けて「2次元CAD利用技術者試験」「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があります。それぞれレベルに応じた試験が用意されており、受験資格のない2級から段階的に取得可能です。

出典:ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会「CAD利用技術者試験

建築CAD検定試験

建築CAD検定試験は、建築業界で必要なCAD系のスキルが問われる資格試験です。建築用の図面を、CADを用いて正確にトレースする能力が試されるほか、建築の知識も求められます。建築会社や工務店、リフォーム会社などでCADオペレーターとして働く場合には、取得したい資格です。

建築CAD検定試験は、4級、3級、准2級、2級、准1級とレベルが分かれています。また、一般受験と団体受験があり、4級は高校での団体受験でしか受けられませんが、3級以上は誰でも受験可能です。

出典:一般社団法人 全国建築CAD連盟「建築 CAD検定

オートデスク認定資格プログラム

オートデスク認定資格プログラムは、AutoCADやRevit Architectureなどのオートデスク製品を扱う知識やスキルが問われる資格試験です。プログラムは、初心者向けの「オートデスク認定ユーザー」と、経験者向けの「オートデスク認定プロフェッショナル」の2種類あります。

オートデスク認定資格プログラムは、全世界で20万人以上が取得したグローバルな資格であるため、海外勤務を考えている人は取得すると良いでしょう。

出典:株式会社マルハン「オートデスク認定資格プログラム

【AI時代】CADオペレーターの将来性は?

近年、AIや自動化技術の進化により「CADオペレーターの仕事はAIに取って代わられるのではないか」と懸念する声が増えており、不安を感じている方も多いでしょう。 CADオペレーターの将来性は、担当する業務の範囲やスキルレベルによって大きく異なります。ここでは、AI時代でCADオペレーターが生き残っていくヒントとして、その将来性を解説します。

CADオペレーターが担う役割は変化していく

CADオペレーターの業務において、単純な図面作成やトレース作業といった定型的なルーティンワークは、AIに代替される可能性が高いと考えられています。

一方で、業務全体の流れを理解し、クライアントや設計士と綿密な連携を取りながら進める作業は、今後ますます人間の手による判断や対応が求められていくでしょう。

特に設計段階においては、創造的な発想や現場のニーズを的確にくみ取る力が不可欠であり、AIにも代替しきれません。

クライアントの要望を正確にヒアリングし、設計者の意図を図面に反映させるには、深い業界知識と建築・設計の基礎理解も必要です。このような能力を備えたCADオペレーターは、AIが進出しても長期的に活躍できるでしょう。

CADオペレーターの将来性が期待される分野

AI時代においては、特に建築業界や電気・電子業界でのCADオペレーターの将来性が期待されます。

建築業界ではBIMの普及が進み、従来の2D図面作成にとどまらず、3次元モデリングや建築データの一元管理といった高度なスキルが求められるようになっています。

また、電気・電子業界においても、回路設計や基板設計に対応できるCADオペレーターの需要は安定している状況です。近年では、IoTやスマートファクトリーの進展に伴い、単なる操作スキルだけでなく、高度な技術力と専門知識を併せもつCADオペレーターの価値がますます高まると予想されます。

関連記事:「BIMオペレーターになるには?仕事内容やスキルも解説

将来性の高いCADオペレーターの特徴

AIや自動化技術が急速に進化する中でも、以下のような能力があるCADオペレーターは、専門職として活躍できる可能性が十分にあります。

・クライアントと円滑にコミュニケーションできる
・クライアントのニーズを的確に汲み取り、設計に反映できる
・3次元モデリングやBIMなどの専門スキルに長けている
・複雑な状況やイレギュラーな課題にも柔軟に対応できる問題解決能力がある

CADオペレーターの将来性や長く働くためのポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

CADオペレーターの将来性は?年収や必要なスキル、目指す方法を解説

年収アップが見込める!CADオペレーターのキャリアパス

CADオペレーターとして経験を積んでいく中で、「もっと専門性を高めて収入を上げたい」「将来性のある職種にステップアップしたい」と考える方もいるでしょう。

ここでは、CADオペレーターから年収アップを目指せる代表的なキャリアパスについて、それぞれの職種の特徴や、活かせるスキルを紹介します。

職種

職種概要

CADオペレーターの経験が活かせるポイント

CAD設計士

指示通りに図面を作成するだけでなく、自ら設計を行う

設計から図面作成までを一貫して担当できる人材として希少な存在になる

BIMオペレーター

建築物の3Dモデリングに加え、コスト・スケジュール・施工方法などを一元管理する

・3D CADや建築製図の経験がBIM操作の基盤となる

・プロジェクト全体を見通す力が育つ

インテリアデザイナー

・室内空間のデザインを手掛ける専門職

・美しさと機能性を両立するデザインが求められる

図面作成や空間構成のスキルをそのまま活用でき、構造への理解が空間設計に役立つ

建築士

・建築物の設計から実施計画、施工監理まで関与

・法規や構造、安全性など幅広い知識が必要

CAD図面作成の技術がそのまま活かされる

独立・開業

個人の事務所を構え、自ら案件を受注して設計や製図を行う

CADと設計両方のスキルに加えて、案件対応力・提案力・マーケティング戦略が必要

自身の適性や目指す方向性に合わせて、将来のキャリア設計の参考にしてみてください。

CADオペレーターの魅力は「年収」以外にもある!

CADオペレーターの魅力は、年収の高さだけではありません。ここでは、CADオペレーターとして働く魅力を3つ紹介します。

成果が形になる

CADオペレーターとして、設計や作図を行った製品・建造物などが形になることで、やりがいを感じられる点も魅力です。自動車やビル、住宅、家具、その他建造物など、日常生活で自分が関わったものを見つけたときは、感慨深いことでしょう。

また、自分の成果物が形として残ることで、「人の役に立っている」「社会に貢献できている」と実感しやすくなります。

活躍の場が広い

CADオペレーターが関わる業界・分野は、建設、自動車、機械、宝飾、インテリア、エンターテイメントなど幅広くあります。ゆえに、幅広い業界の中から自分の好きな分野を選んで働ける点が魅力です。好きな分野に携わることで、日々の業務が楽しく感じられたり、モチベーション高く働けたりします。

実力が評価されやすい

CADオペレーターの仕事は、学歴や資格よりもスキルが重視されます。そのため、「学歴に自信がない」「資格がない」といった場合でも、実力さえあれば高収入を得られます。

「CADソフトを扱うスキル」「設計者やデザイナー、現場の意図を汲み取るスキル」「業界の専門知識」などを磨き、市場価値の高い人材を目指してみてください。

まとめ

CADオペレーターの平均年収は、453.8万円です。幅広くCADソフトを使いこなせるようになったり、業界の専門知識を習得したりすれば、さらなる年収アップにも期待できます。

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