日本の高度な建築技術を世界に届ける、グローバル人材の架け橋

韓国出身で、大学では歴史を専攻していた全昭羅(ジョンソラ)さん。大学卒業後は、韓国の大手IT系グローバル企業に人事担当として就職。5年半のキャリアを積み、2023年に共同エンジニアリングに転職されました。現在、経験を活かして採用業務などで活躍中です。今回は、仕事の醍醐味や採用時のエピソードを中心に、日本と海外の経験で感じた違いなども語ってもらいました。

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もともと興味があった日本文化。思い切って日本企業に飛び込む!

──転職前の経歴と、共同エンジニアリングに入社されたきっかけを教えてください。

大学では歴史学を専門に学んでいました。そのため同級生たちは、学んだことをそのまま活かせる「博物館の先生」といった進路を選ぶ人が多かったのですが、私の場合は「好きなことを仕事にして、嫌いになってしまうのは避けたい」という思いがあったので、あえて違う仕事に飛び込もうと考えていました。その結果、IT企業に就職し、社員の採用に携わることとなったのですが、その中で、「人と関わるのが好き」「面接を通じて自分が知らない業界を学ぶことができ、知識の幅を広げられる」といった気づきや経験を得て、人事の仕事のおもしろさに目覚めました。

共同エンジニアリングには、日本のドラマやアニメが大好きだったのが高じて、「実際に日本に住んでみたい!」という気持ちが強くなり、転職先として日本企業を探している中で出会いました。海外出身である私を「人事部で採用する」という企業は少なかったのですが、当社では採用メンバーとしての仕事を約束されたため、すぐに入社を決めましたね。フランクなコミュニケーションを通じて熱意を伝えてくださった面接官の存在や、会社としての社会的影響力の大きさも入社への気持ちを後押ししました。

──現在の仕事で、「楽しい」と感じることはなんでしょうか?

今は技術社員の中途採用を担当しており、1日に3名ほどの方と面接でお会いしています。求職者の職務経歴をうかがう中で「こんな仕事があるんだ」と、職種の疑似体験をできるところが楽しいですね。また、日本人と関わること自体が外国籍の私からすると、新鮮で興味深い体験になっています。中には、韓国の文化に興味を持ってくれる方もいて、“異文化交流”ができるところもおもしろいですよ。

──仕事を始められたころに不安に思ったことや、今感じている「やりがい」を教えてください。

入社したての頃は、「本当に面接した方々の役に立っているのか?」という不安がありました。しかし、私の業務領域が「面接や研修をして終わり」ではなく、現場に出た後のフォローも含まれていることが幸いして、不安がやりがいに変わりました。たとえば現場配属後、2週間に1回ほど連絡を取り合うのですが、「今の現場で不安はないですか?」とヒアリングをする中で「満足しています」「長く働きたい職場です」という喜びの声を聞くと、こちらまでうれしくなります。

きめ細やかなフォロー体制で、技術社員を輝かせる

──求職者とのコミュニケーションで、とくに心がけていることはありますか?

まず、面接と内定のときに「齟齬がないようにする」ことに注力しています。業務内容や待遇など、書面上の認識はもちろん、“細かい認識の違い”があると当社への信頼が落ちてしまうので気を配っています。また、育ってきた言葉、文化が違う方々とコミュニケーションをとることになるので、相手の気持ちに寄り添うことは、前職以上に大切にしています。例えば、「大学を中退した」というご経歴の方に、いきなりその理由をうかがうのではなく、中学や高校時代のお話からしてもらうことで、緊張が解けるまで待つようにしています。ご本人が自然と話せるようになるまで、無理に聞き出すことがないよう、十分に注意をしています。一人ひとり価値観も違うので、どのような話し方が一番適しているかを、常に考え、先輩やチームとも意見を交わしています。

──印象に残っているエピソードを教えてください。

最初は、「施工管理」として応募された方がいらっしゃったのですが、詳しくお話を聞くと“化学に興味がある”ことがわかりました。そこで、当社にはO&Mという、プラントの保守などを行う分野があり、業界の中でも化学の知識が求められることが多いため、「O&Mに応募を切り替えてみるのはいかがですか?」と提案したのです。毎日30分くらい電話しながら、ときには一緒に業界のトレンドなどを調べる中で「O&Mの技術者として働きます」と決断され、無事配属となりました。後日、クライアントの社長から直々に「あの技術者の方、本当に良く頑張ってくれているよ」とお褒めの言葉をいただいたとき、達成感を覚えましたね。

──日々面接をされている中で「活躍される方の特徴」はありますか?

施工管理はマネジメントを担う仕事なので、「コミュニケーション能力」が重要です。あとは、現場で学ぶことが多いので「好奇心が強く、知らないことを勉強し続けるチャレンジ精神」も大切だと思います。中には、慣れるまで緊張される方もいらっしゃいますので、そのあたりは慎重に面接で引き出せるように工夫を凝らしているところです。たとえば、最初の面接で、不安そうにされている方とお話しする機会がありました。職務経歴では接客のご経験があり、お話をうかがう中でも実直な人柄が伝わってきたので、少しコミュニケーションの時間を長く取ってみることにしました。すると、とても円滑なコミュニケーションに発展。ご本人の良い部分が業務ともマッチしており、採用後は大いに活躍していらっしゃいます。

安心感と、高度な建築技術を持つ日本企業の魅力

──今頭に思い浮かんでいる、求職者のために取り組みたいことを教えてください。

技術社員が現場でどう活躍しているかは、常に見て確かめたいです。ご本人や現場から「頑張っている」「活躍している」と聞くだけではなく、実際に会って活躍を目の当たりにできれば、それをリアルな情報としてご紹介できます。そうすれば、ご自身のキャリアプランを考えていただく中で、よりイメージを膨らませ、適切な道を選ぶ手助けができるのでは…と考えています。建設現場は基本的に出入りが厳しく制限されているため、なかなか出向くことができないのですが、より良い面接を行うためにもぜひ続けていきたいです。

──海外の視点から見て、日本の建築技術や企業風土に違いなどは感じますか?

私はソウル出身で、以前は地震を感じることは少なかったのですが、最近は増えているイメージです。高層ビルが立ち並んでいる街だけに、大きな地震がきたら危険なので、日本の強固な耐震構造の建築技術は、必要不可欠だと肌で感じています。

社風の違いとして真っ先に思い浮かぶのは「待遇面」ですね。住宅や交通手当が充実している印象があります。ただ、電車の運賃についてはソウルが極めて安いので日本の高さに驚き「これは手当が出ないと生活できない!」と感じました(笑)。それ以外にも、「賞与が安定して出る」「気軽に相談ができる職場の雰囲気」というところは、働く上での安心感につながっています。

──最後に、グローバルな人材採用に向けての想いを教えてください。

日本の建築技術は世界トップクラスですし、今後さまざまな国から技術を学びにくるグローバル人材が増加すると思っています。当社ではすでにモンゴルや韓国、ミャンマーなどで選考会を行うなどグローバル人材の獲得に動いていますが、その動きは加速することでしょう。その最前線を担うのが採用部門だと思うので、私も会社とともに挑戦し続ける覚悟です。