美術大学から建設業界のDX支援へ。「現場第一」を胸に刻み、フレッシュにキャリアをスタート

2025年4月に共同エンジニアリング株式会社に新卒入社した杉浦薫さん。美術大学出身という経歴を経て、建設業界の「現場DX支援」という専門性の高い業務に携わっています。入社から約3か月が経った今、どのような学びと成長を重ねているのか、その奮闘を追いました。

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プライベートと両立できる条件、信頼関係が決め手となり入社

――美術大学での学びと、共同エンジニアリングへの入社の経緯を教えてください。

美術大学では、作品制作のかたわら、主に絵画や美術に関する理論、美術史を学んでいました。一方で、物流倉庫でのアルバイトにも3年半続け現場での作業やチームワークの大切さを体感しました。

就職を考え始めた当初は、特定の業界へのこだわりはありませんでした。就職活動を始めるのが遅く、趣味である音楽ライブの鑑賞などプライベートとの両立を重視し、特定の業界にこだわらず、自分の生活スタイルに合う働き方を軸に企業を探しました。

こうした条件で探す中で当社を見つけ、もともと学生時代から建物を見るのが好きだったので、普通に生活していたら関わることのない建物の現場に携われるのはおもしろいかもしれないと、建設業界での仕事に興味を持ちました。

――数ある企業の中から共同エンジニアリングを選んだ決め手は何でしたか?

複数の会社から内定をいただいていたのですが、学生時代から好きだったものづくりに携われることと、報酬面や福利厚生面などの条件が最も良かったという二点です。

さらに、採用担当者の誠実さも好印象でした。トントン拍子で話が進んでいく中でも、率直にコミュニケーションを取ってくれる姿勢から、「誠実な人が採用に関わっている会社なら、社風も期待していいに違いない」と感じました。総合的に見て、条件面だけでなく、信頼関係を築くことができそうだと感じたことも入社の後押しになりました。

「現場第一」を胸に刻み、伴走型のDX支援を

――現在は「現場へのDX支援」に携わっています。どのような業務なのでしょうか?

土木工事現場に特化したDX支援を行っています。これまで紙やExcelで管理されていた施工管理業務を、専用のデジタルツールに集約することで、業務の効率化やミスの防止を図る仕事です。主に、ツールの導入支援と運用サポートを担当しています。

入社当初の私は、大学の課題でWordやExcelを使ってレポートや表を作成する程度のパソコンスキルしかありませんでしたが、近くで先輩が丁寧に指導してくださっているおかげで日々理解が深まっています。現在は、ツールに関して、ひたすら知識を取り込みつつ、実際に現場でどのような流れで支援しているのか学びながら実践している段階です。

現場の担当者から「この書類はどう作ればいい?」「操作方法がわからない」といった相談を受け、それに対して解決策を提案するのが私の役割です。

効果について、数値化は難しい部分もありますが、現場によっては1作業にかかる時間が何十分も短縮されたり、作業量が減ったりしているところもあります。職人さんにも、紙に印刷する必要がなくなったり、図面の共有がスムーズになったりする点で好評をいただいています。

――日々の業務を通じて感じるおもしろさと難しさについて聞かせてください。

建設現場を実際に訪れ、大規模な工事の進行を間近で見ることができる点にとても魅力を感じています。高速道路の橋脚建設現場や水道管敷設工事など、大規模建設の過程を間近で詳しく説明してもらえる機会があります。ICT部門とはいえ、こうした現場の知識は必要ですし、何よりものづくりのおもしろさの一端に触れられるのは貴重な機会です。

また、現場から感謝の言葉をもらったときには、自分の支援が役立っている実感が得られ、大きなやりがいを感じます。

一方で、難しさもあります。私たちの支援は、現場に5日程度しか滞在できない中で、ツール導入から定着までを短期間で進める必要があります。限られた時間の中で成果を出すには、事前準備と現場での柔軟な対応力が求められます。

さらに、建設業界全体としてデジタル化が遅れている傾向があり、とくに年配の職人の方にとってはスマートデバイスの操作自体がハードルになることもあります。そのため、誰にでも伝わりやすい説明を意識し、常に伝え方を見直すようにしています。

――DX支援において、どのようなことを心がけていますか?

「現場第一」という価値観を常に意識しています。これは会社全体で大切にされている考え方で、どんなに優れたツールであっても、現場の実情や要望を無視しては意味がない、という姿勢です。私たちが「これを使ったら便利になるのに」と思っていても、こちらには見えていない事情やルール、雰囲気が、現場にはあるものです。現場の実情を理解し尊重することが、何より大切なのです。

現場こそが会社の根幹であり、最前線で努力を続けている方々の力になれることが、私たちの役割です。最近では、全現場でツールの導入が進められていますが、現場側もDXの必要性を理解してくれているので、板挟みになるようなことはほとんどありません。時代の流れとして、「デジタル化の波には乗らなければならない」という共通認識があるように感じています。

共同エンジニアリングの魅力は「成長を支える環境」

――入社後に感じている共同エンジニアリングの魅力を教えてください。

未経験でも成長できる基盤が整っている点です。正社員として安定した雇用でありながら、多様な現場を経験できるという点は技術を習得ししていくうえで素晴らしいメリットだと思います。

また、土木の知識を深めると支援業務がより効果的に行えるため、「土木施工管理技士」の学科試験に挑戦したいと考えています。会社で定期的に資格対策講座が開催されているので、施工管理ではない私でも挑戦しやすい環境が整っています。

――今後のキャリアに向けた抱負や目標について聞かせてください。

まずは、相手の立場に立って準備や段取りを丁寧に行い、現場の方々に信頼される存在になることが目標です。そのうえで、説明力やコミュニケーション力を高め、課題解決に伴走できるようになりたいと思っています。

スキルアップの面では、土木施工管理技士の学科試験をはじめ、幅広い分野の資格取得を積極的に取り組んでいきたいと思います。現在は基礎的なIT知識を身につけるため、「ITパスポート」の勉強をしています。どんどんステップアップして、ICT関連の資格を取得していきたいです。

この3か月を振り返ると、多くの方々に支えられながら成長してきた実感があります。今後も「現場第一」の心構えを大切にしながら、建設業界のDXに貢献していきたいと考えています。

※2025年7月18日時点の記事です