新卒入社後、3つの現場で巨大プロジェクトの施工管理職として活躍
──就職活動から、応募に至った経緯を教えてください。
きっかけは、学生時代に所属していた吹奏楽部での活動に遡ります。当時100人を超える部員をまとめる全体統括という立場を任されており、多くの人と関わりながら一つの目標に向かって進んでいくことに大きなやりがいを感じていました。そのため将来は、「たくさんの人と関わる」「人をまとめて進めていく」仕事に就きたいと考えるようになりました。
「人と関わる」という軸で就職活動を始め、エージェントから提案の1つが「建設の施工管理」でした。ちょうどその頃、通学中にある建築現場の朝礼を見かけ、一体感があり活気に溢れる雰囲気に魅了され、少しずつ建築業界に興味を抱くようになりました。
最初は、建設現場で働く姿をイメージできませんでしたが、当社のホームページに掲載されている社員インタビューや採用担当の方の話を通じて、業務への理解が深めることができました。さらに、当社では「活躍している女性も多くいる」ことを知り、自分の働く姿をより具体的に想像できたのは大きかったですね。そして、私もこの仕事に挑戦したいと思い、応募に至ったというわけです。
──入社後、施工管理職として活躍していたと聞いております。当時の業務内容を教えてください。
私は、最初の職場見学先だったゼネコンに配属が決まりました。もともと「大きな建築物に携わりたい」と希望していたので、ワクワクした記憶があります。
現在に至るまで、施工管理として3つの現場プロジェクトを経験。1つ目は、世界スポーツイベントで使用される競技場の維持管理を1年担当しました。2つ目は、世界的に知られている外資系メーカーの日本法人本社の新築工事に2年携わりました。3つ目は昨年まで、都心の過去最大級の再開発プロジェクトに参画。約300名の施工管理職と約5,000名もの職人さんが関わった巨大プロジェクトでした。
──ターニングポイントになった現場はありますか?
プロジェクト開始前から参画し、竣工までを見届けた2つ目の現場です。それまでは、「上司からの指示書を、齟齬なく職人さんに伝達すること」がミッションだと思っていました。しかし、職人さんと連携しつつ仕事を進めるなかで、単に指示を伝えるだけではなく、理由や根拠をもって説明することの大切さに思い至ったのです。例えば、「安全面で不可欠なので、お願いします」といった形でご依頼することで、より納得していただきやすいという実感を持ちました。それ以降、各指示の背景を、まずは自身の中でしっかり理解するように努めています。
大切な職人さんだからこそ、必要不可欠なことは妥協なく伝える
──現在の業務内容を教えてください。
現在は、地上25階地下5階の有名な金融機関本社の解体工事の、新規入場者教育の対応や安全書類関係(グリーンファイル)の管理をしています。新規入場者教育とは、建設現場に初めて入る職人さんに向けて、怪我がないように安全ルールを浸透させるとともに、緊急時の連絡先などを的確に確認する業務です。教育記録を管理し、受講者の確認、書類整理、入場許可証の発行を行い、安全な作業環境を確保することが重要で、直近の2月、3月で400名を担当しました。
グリーンファイルとは、建設現場の安全を守るために、工事の前に職人さんの名簿や資格証、健康診断の結果、安全教育の記録などを整理し、事故を防ぐ目的で作成される書類になります。こちらはクラウドサービスを使っているので、基本的に元請会社や協力会社がシステムに入力した内容を確認する業務です。解体工事の規模は、主要な施工会社が1社で、その会社と契約を結んでいるパートナー企業が約40社です。
──仕事上、意識していることはありますか?
職人さんとの関係性を深めつつ、一方で馴れ合いになることなく「安全第一」「法令遵守」を軸に行動しています。例えば、「面倒だから、確認書類を事務所に置いておきたい」という要望があっても、「法令上の義務なので、常時携帯してください」と、職人さんへのリスペクトを大切にしつつも、言うべきことはしっかりと伝えることを心がけています。
また、もともと施工管理職として現場を経験していたので、安全を喚起する看板は、どこに立てれば効果的か」を考えて用意したり、「作業内容を先読みして、あらかじめ職人さんに必要事項を伝える」といったところを意識したりしています。例えば、解体作業でコンクリートを削る際、振動で手を痛めてしまう可能性があるため「防振手袋」の使用が不可欠です。そこで事前に「用意してから現場に出てください」とお願いしています。
知見を蓄積し続けることで、みんなから頼られる存在を目指す
──働く上で、やりがいを感じる瞬間は?また、記憶に残っている出来事はありますか。
今の業務では、現場のことを意識するなかで「花松さんの仕事の進め方は安全で心強いです」と、職人さんたちから評価をいただいたときに、やりがいを感じます。また、記憶に残っているのは、施工管理職として現場に出ていたとき、職人さんたちから助けてもらった出来事です。たまたま交通渋滞で、コンクリートの打設工事に必要な生コンを運ぶミキサー車が遅れるという事態が起こりました。職人さんたちからすると予定と違う段取りになるため、現場に緊張感が走ったのです。そのとき、施工管理職として「指示を出す」というスタンスではなく、「遅れていることをお詫び」して協力を仰ぎました。すると心の奥底からの想いが伝わり「工程を変えて、作業を進めよう」と職人さんたちが一致団結してくれたのです。困難な状況の中でも試行錯誤をして現場がまとまった瞬間は、やりがいを感じうれしい経験でした。
──今後の目標について教えてください。
現在の業務を通して知識や経験を積み上げ、頼られる存在になることです。例えば、外国から日本に働きにきてくれている技術者の場合、「どの在留資格であれば、現場に入れるのか?」を確認する上で、複雑なフローなどが存在します。そういった難しい制度などを自分で理解し、正しい説明ができることを目指しています。
──入社を検討している人に、一言メッセージをお願いします。
「わからないことがあれば、素直に聞いて教わる姿勢」が大切だと思います。積極的に質問することで仕事を早く覚えることができ、率先して取り組めるようになります。そうした努力や成果は、クライアントからの評価に反映され、ひいては共同エンジニアリングへの貢献につながっていると感じます。
※2025年5月12日時点の記事です。