国の課題に「建設DX」で挑む!新設部署の軌跡

今、業界全体が「建設業界2024年問題」に直面し、働き方改革や業務効率化・ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)などのワードがトレンドになっています。共同エンジニアリングでは“デジタル技術を導入し、建設プロジェクトの効率化とコスト削減を実現すること”をミッションに掲げる「ICT推進部」設立。今回は、最先端の技術を駆使して活躍中の米本 和さんに、技術者のパイオニアとしての役割や業務のやりがいなどを伺いました。

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現場での経験が、次世代技術の礎に

──共同エンジニアリングに入社された理由を教えてください。

転職の理由と志向にマッチしたからです。入社以前、大学では経済学部に所属しマーケティングや生産管理の効率化などを学び、前職では事務職をしていました。仕事自体に不満はなかったのですが、転職を考えた理由が3点ありました。1点目は「専門的なスキルを身に付け、長く活躍できる仕事がしたい」ということでした。ライフステージに応じて一旦仕事から離れることがあっても、再び戻れるような専門的スキルを身に付けたいと考えました。2点目は「変化があり、周りと共に成長できる環境」でした。3点目は「建築物が好き」というシンプルな理由です。当社は3点すべてが当てはまっていることに加え、研修制度も充実していることで「未経験からでも安心して挑戦できる」ことが決め手となり入社しました。

──新設部署である「ICT推進部」参画に決まったときと現在の、率直な気持ちをお聞かせください。

施工管理として現場を2年経験し、自身で社内公募に応募し、書類選考や面接などを経て参画が決定したのですが、とてもうれしい気持ちでしたね。現在ICT推進部では、「点群計測と3Dモデル化」「建設DX推進員の派遣」「建設業界向けソリューション提案」の3つのサービスを展開しています。その中で、私は1つ目のサービス「点群計測と3Dモデル化」に携わっています。最先端の技術を活用することで、従来の方法より時間短縮を図り設計図の精度を高めることが可能なので、現場が抱える課題解決に貢献していると実感できます。この新しいアプローチがあたりまえになれば、建設業界は大きく変わると思っています。まだ業界に浸透していない段階でこの領域の仕事に携わりノウハウや知見を得られることが、仕事の醍醐味だと感じます。

──「点群計測と3Dモデル化」とは、具体的にどのような技術でしょうか?

建物や構造物などの情報を把握するために、360度カメラ(3Dスキャナー)からレーザーを飛ばし、X・Y・Zの三次元座標を計測し、計測したデータを基に立体的な図面を作成する技術です。ダクトや配管などをモデリングする「衛生設備」ではある程度、この技術導入が進んでいます。一方で、部材が多岐にわたる「電気設備」では、データ入力が膨大な点や作業手順が複雑という点がボトルネックとなっており、今の技術ではまだ追いついていないのが実情です。しかし、ただ手をこまねいているだけでは前に進めないので、業界ニュースに対して常にアンテナを張り、活用につながる方法を積極的に模索するなどして、最新技術で現場のデジタル化や効率化のサポートを推進していきたいと考えています。

毎日の仕事が、業界変革につながるというおもしろさ

──業務内容について教えてください。

現場での計測作業から図面作成までを担当しています。幅広く経験を積めるのが楽しい仕事です。計測は専用の「3Dレーザースキャナー」と呼ばれる機械を使って、1台につき撮影者と補佐1名で実施し、位置情報を点の集合体である「点群データ」として記録。その「点群データ」へ3DCADを用いて合成処理を行い、立体的にモデリングします。ただ、図面の作成プロセスでは半自動というのが現状で手修正が必要となります。たとえば、「カメラに映りきらなかった箇所の追加修正」といった作業が必要です。将来的に技術が進歩して全自動化になれば、さらなる効率化が実現するので、そのときが待ち遠しいと感じています。また、今の業務では施工管理として現場で培った3DCAD操作の経験や、設備の知識がとても役立っています。

──仕事で不安に感じることはありますか?また、やりがいについてお聞かせください。

新設の部署に入ったばかりなので学ぶことが多く、その点は少し大変だと感じることはあります。ただ、同部署のメンバーにしっかりとサポートしていただいているので不安に思うことはないですね。やりがいは、先進的な技術を使って、業界に変革をもたらすような興味深い挑戦ができるところです。たとえば、従来のやり方では、人間の目で床下や天井の中を手作業で計測しており「奥の方がわからない」「数日から数週間など、長い時間が必要」といった課題がありました。ICT推進部のように3Dレーザースキャナーを使用すると、広範囲な建物や設備のデータを数時間~数日ほどで計測することができます。また、事務所に戻った後も、その撮影した写真やデータから、正確かつスムーズに状況を把握することができます。最新のツールを使うなかで試行錯誤することも少なくありませんが、その苦労が実ったときの達成感はひとしおです。

──最新のテクノロジーを駆使し、お客様に貢献したエピソードはありますか?

最近は、古い建物や設備の改修に関して「現地調査のために、最適な提案をしてほしい」というご相談が増えています。

お客様が「事前に想定していた図面」と「私が作成した図面」を比較し、効率的で機能的にも優れていると評価して私の図面を選んでくださることがあります。私は直接お客様とやり取りする機会は少ないのですが、営業担当者を通じて高評価をいただいたと聞くと、とても嬉しく感じます。

現地調査から3D計測を行った際、既存の図面と点群計測によって得られた配管やダクトのデータに誤差が見つかることが多々あります。このため、現状を正確に把握するための緻密なデータ作成が重要です。その後、建物の形状や設備の状態に応じた新しい図面を作成します。

安全性を最優先に考えながら、既存の配管を活かして作業工数を減らす方法を模索するなど、コストや効率性も常に意識しています。

多様な仲間たちと、未来を切り拓く

──「ICT推進部」のメンバーは現在10名とのことですが、組織構成と部署の雰囲気を教えてください。

男女比率は半々で、50代2名、30代2名、20代6名と年齢も幅広いです。雰囲気はとてもあたたかく、新しい仲間を歓迎するムードがあり、私もすぐに馴染むことができました。メンバーの経歴や国籍も多様で、活気があります。業務以外でコミュニケーションをとることも盛んです。「3D計測サービス」の仕事は点群データ合成から図面作成までPCでの作業が多いため、リフレッシュするために休憩時間中お互いによくコミュニケーションを取り雑談しています。また、みんなが「最先端の技術で新しいことに挑戦する」という前向きな姿勢を持っており、チャレンジ精神旺盛なメンバーが集まっているのも特徴です。

──今後、どのようなキャリアビジョンを描いていますか?

施工管理として建築や電気の現場を経験してきたことが、今の業務の基盤になっています。今後もICTなどの専門的なノウハウや知見を深め、建設業全般の知識を学び続けていきたいです。最終的には、「ICTツール」の導入から定着までを支援し、業務効率化や安全性の向上、コスト削減、人手不足の解消など、業界の課題解決を実現することが目標です。現在「ICT推進部」では、建設業界に革新をもたらす仲間を募集しています。未来を共に創り上げる仕事に興味がある方、ぜひ一緒に働きましょう。