「私を超えてほしい」後進の育成に全力を注ぐ、ベテランのチームづくり

技術者の一家に生まれ、工業高校卒業後は父親の建築会社で設備の営業や職人などを担当後、31歳で転職して施工管理の道へ。以来、18年間ずっと複数の現場でキャリアを積み重ねてきた鶴田幸秀さん。そんな、鶴田さんが共同エンジニアリングを選んだ理由は「面接での中田部長の魅力」「レスポンスの速さなどの対応の素晴らしさ」です。今回は、業界の表も裏も知り尽くす59歳のベテランに、仕事のやりがいや共同エンジニアリングの魅力について語ってもらいました。

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業界の助け舟になる、新規プロジェクト立ち上げに参画

──現在の業務内容を教えてください。

共同エンジニアリングに入社当初は、施工管理として勤務。中田部長から誘っていただき、昨年末から『建築技術部』の立ち上げに参画し、同部門を任されています部署のミッションは、「施工管理の業務量削減」です。国の施策として2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、違反すると罰則が科せられるようになり、業界全体で改善に取り組んでいる分野を支援する事業になります。具体的には、「鉄筋工事の写真撮影や検査」など現場監督が抱えている業務の一部を担うサービスを提供しています。

2005年に社会問題になった偽装工事が発覚して以降、建物の強度を保ち品質を担保するための建築基準法が厳しくなり、鉄筋の数や長さなどのチェックやその証拠を写真に残すことが義務化されました。通常はその作業を施工管理が担うのですが、作業に大きく時間が取られてしまう現状があります。なおかつ新人が任されるケースが多いのですが、教育の時間が確保しきれない現実もありました。そこで我々の出番です。チームには経験者も集まっているので、的確に作業を実施することができます。

──どんなときに、仕事の魅力を感じますか?

何もない状態からスタートし、組織や事業をビルディングしていく魅力がありますね。今、ゼネコンのお客様とお付き合いがあるのですが、始まったばかりのプロジェクトなので会話を尽くして「ここまでして欲しい」というニーズを引き出しつつ、こちらが業務過多にならないように提供できるサービスを考えて提案するという、交渉術の醍醐味を感じています。また、お客様との間で試行錯誤をしながら業務を推進しているのですが、「お互いにカバーし合いましょう」とおっしゃってくださるなど、恵まれた環境で着実に社内にナレッジを蓄えています。

──新規プロジェクトを任され、強力に推進できる秘訣はなんでしょうか?

もともと私が、「できない、やりたくない」という言葉を絶対に言いたくない、ポジティブな人間だからでしょうね(笑)打ち合わせや交渉など、最初の段階で少しでも「無理だ」という考えが頭をよぎると、先方がその機微を読み取ると思います。だから、絶対にそうした表情を見せないように、常に心構えをしています。こうした思考回路はこれまでの経験の中で培われたもので、例えば職人さんでも、周りが躊躇する中で「できます!」というタイプの方はメキメキとのし上がっていくのを目の当たりにしていました。「やる」と言った以上は、そのために勉強も努力もするので結果につながるのです。

現場での経験を、マネジメントで存分に活かす

──施工管理時代のやりがいや、共同エンジニアリングの魅力を教えてください。

昭和のころの施工管理は長時間残業が当たり前で、現場の事務所にみんなで寝泊まりしたあとすぐに業務に取り掛かるような、今の時代では考えられない過酷な環境。そんななか、プロジェクトを完了させたときの高揚感や仲間との一体感はひとしおでした。現在の労働環境はかなり改善されていますが、やりがいや達成感はそのまま残っていると感じます。

当社のいいところは「人」ですね。たとえば中田部長は長いお付き合いになりますが、相談をすると100倍くらいの中身の濃さで返してくれます。お客様先でのちょっとした悩みを伝えたところ、次の日に現場で「中田部長から聞いています」と改善されていたこともありました。正直なことを申し上げると私個人としては「会社の魅力」はもちろんですが、中田部長の人柄に惹かれたからこそ、当社でのさまざまな挑戦を楽しめているところがあります。

──新規プロジェクトのマネジメントや育成で、心がけていることはなんでしょうか?

今の時代に合わせた、わかりやすく丁寧な言葉で説明することが大切です。言葉や文章だけでなく、絵を用いたりすることでいかに理解を深めてもらうかに心を砕いています。「やりすぎくらいが、ちょうどいい」ですよ。育成の考え方としては、「オール5」にする必要はなく、全員が平均点を取れるレベルまで引き上げることが目標です。人の成長をサポートしたり、見守ったりするのがもともと好きなので、非常にやりがいを感じています。

資格の勉強を頑張っていたメンバーが、「無事合格しました!」と喜んで報告してくれるなど、成長している様子を見るとこちらまでうれしくなります。振り返ってみると子どものころから面倒見が良いタイプで、従兄弟など自分よりも幼い子どもたちが集まっていると、みんなを可愛がっていた記憶があります。

──部署の雰囲気や、メンバーに対して配慮されていることはありますか。

冗談を言い合う和やかな雰囲気で、垣根がないのが特徴です。親子ほど年齢が離れているメンバーに対して、私の方が謝ることも多いという空気感です(笑)。実をいうと、今の部署は、能力は高いのに現場で辛い思いをしたメンバーも集まっています。例えば「丁寧過ぎて時間がかかるが、その分完璧な書類を仕上げる」という方の場合、現場に出ると「仕事が遅い」という表面だけの評価になってしまうことがあります。しかし、ミスが許されない大事な書類の作成では才能が活かされます。私はそうした“個性”を尊重してのばしていきたいと考えています。そのため部署内では、まずは経験の有無をとわずメンバーに仕事を任せてみて、個性を活かして働いてもらい、できない部分は我々ベテランが補佐する体制をとっています。そうすることで新たなメンバーの才能に私自身が気づかされることも多いのです。中田部長には「素晴らしいプロジェクトを任せてもらったな」と、心底うれしく感じています。

ダイバーシティな環境で、自分の強みを磨いて活躍へ

──メンバーの成長エピソードを教えてください。

いっぱいありますよ。例えば、先日採用した韓国人のメンバーは自国の大学で土木建築を学び、首席で卒業した逸材です。ただ、日本の建築物に関しての知識はなかったので、そうした技術などを学びたいと入社してくれました。一緒に働いているうちにスポンジが水を吸うように知識を吸収し、語学力も急速に向上しています。実はうちの部署では、2年以上先の「若手日本人の不足」を見据えて、外国人人財の積極的な採用に動いていて、外国籍だけのチームをつくろうと計画中です。外国人が安心して働けるために、どんな組織づくりをすれば良いのか、常に考えを巡らせています。すでに、モンゴルからの人財が来ることが決まっており、外国人が日本の建築技術を継承し、成長して活躍する道筋を立てています。

──「一緒に働きたい」と思う人物像について聞かせてください。

一言で表すと「やる気のある人」です。話しぶりや態度などから、頑張りたいという気持ちがある人と感じると、こちらも「一緒に頑張ろう」という気持ちになりますね。今の部署は9人が活躍中ですが、現場から異動したメンバーも含めてみんな目が輝いています。中には、前の配属先から環境が変わったことで苦労したメンバーもいますが、それでも笑顔で働いてくれている姿を見ると嬉しくなりますね。現在、国籍もバックボーンも多様なメンバーが、力を発揮できる環境を整えています。やる気さえあればどんな方でも大歓迎です。次世代へのステップとなるよう、私が培ってきたノウハウや知見をあますことなくお伝えして、育成する方針です。