ゼネコンとデベロッパーの違いとは。役割と仕事内容の違いを解説

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「ゼネコン」「デベロッパー」は、どちらも建築業界の企業を指しますが、担当領域や仕事内容は大きく異なることをご存知でしょうか。 この記事では、ゼネコンとデベロッパーの違いや、それぞれの仕事内容について解説します。

ゼネコンとデベロッパーの違いは「担当領域」

建築を担当する「ゼネコン」と不動産の企画・開発を行う「デベロッパー」は、発注側・受注側の関係ではありますが、「目的の建物を完成させる」という点では協力関係にあります。ここでは、ゼネコンとデベロッパーの特徴や違いについて解説します。

【ゼネコン】建設を担当する

ゼネコンは、道路・鉄道・ビル・ホテル・ダム・学校など、大規模な土木工事や建築工事などを担当する総合建設業です。

もともとゼネコンとは「ゼネラル・コンダクター」の略で、総合建設業者を意味します。

国や自治体、民間企業から工事を請け負うと、土木業者や建築業者といった下請業者に発注できるのもゼネコンの特徴です。ゼネコンから発注を受ける業者を「サブコン」といいます。すなわち、ゼネコンはプロジェクトを指揮する立場となるのです。

ゼネコンには大きく分けて3種類あります。ゼネコンのなかでも規模の大きい企業を「スーパーゼネコン」、海洋土木を専門に扱う企業を「マリンコントラクター(マリコン)」、そして道路塗装をメインに行うゼネコンの3つです。

【デベロッパー】企画・販売を担当する

デベロッパー(developer)は、「開発者」を意味する言葉です。都市開発・再開発・宅地開発・マンション開発といった、不動産物件の開発事業を行います。

デベロッパーには大きく分けて「総合デベロッパー」「専門デベロッパー」の2種類があります。総合デベロッパーはオフィスビルや商業施設、ホテル・リゾート、住宅など、さまざまな種類の開発を行う企業です。

対して専門デベロッパーは、特定の事業に絞って開発を行います。

【ゼネコンとデベロッパーの違い】仕事内容を比較する

ここでは、ゼネコンとデベロッパーの仕事内容を紹介します。

ゼネコンの主な4つの仕事

ゼネコンは大手の建築業者であるため、さまざまな職種があります。ここでは、ゼネコンの主な職種を4つ紹介します。

営業

民間企業や自治体といった取引先に営業を行う仕事です。ゼネコンが仕事を獲得する方法に「コンペ」があります。デベロッパーや官公庁などの発注者が「こんな建物を建てたい」と企画したものに対し、多くのゼネコンが提案を出します。そのなかで最も優れた提案を出したゼネコンが、案件獲得となる仕組みです。

また、コンペ以外にも発注者が直接ゼネコンへ指名依頼する場合もあります。その際は、取引先の要望をヒアリングし、企画書をまとめます

建築業界は数千億といった巨額の金額が動くことも少なくありません。長期的なプロジェクトであり、意思決定も慎重に行われます。そのため、契約を勝ち取るのは容易ではありません。

設計

発注者の希望に沿った建築物を作るために、図面や模型などを用いて建物を設計する仕事です。主に、建物の内装・外観のデザインを設計、安全性能を計算して構造を設計、建築物を利用する際の空調や電気といった設備の設計などを行います。

設計では建築士の資格をはじめ、CADの知識・スキルも欠かせません。自社で設計を行うゼネコンもありますが、外部に委託するケースもあります。

施工管理

施工管理は工事全体を指揮する仕事です。工事日程の調整や重機の手配などを行い、スムーズに作業が進むようにします。また、下請業者の専門性や得意分野を見極め、適材適所に配置するのも施工管理の役割のひとつです。

ゼネコンが受注するプロジェクトには複数の会社が参加し、それにともない多くの作業員が集まります。その会社・作業員らをひとつにまとめ上げるリーダーシップも、ゼネコンの施工管理には欠かせない重要なスキルです。

研究

新しい資材や建築工法、エネルギー、技術などの研究・開発を行う仕事です。ゼネコンに限った話ではありませんが、ものづくりや建築では、コストを抑えつつ高品質なものを作ることが求められます。

建築業界のなかでも研究職がある点は、ほかの建築業者との大きな違いといえます。ライバル企業との競争に勝つためにも、独自の技術を開発し、効率の改善を図る取り組みが欠かせません

デベロッパーの主な6つの仕事

続いて、デベロッパーの主な仕事を6つ紹介します。

用地取得

建築物や施設の開発で必要となる土地を取得する仕事です。建物を建てるためには、当然ながら土地がなくては話が進みません。用地取得のために、まずは土地の情報収集を行います。

地権者や不動産会社から情報を集め、開発に適しているか、その土地にどのような需要があるのかを分析・検討します。

また、土地を手に入れるためには、地権者と交渉が必要です。地権者が複数いる場合や交渉内容によっては、多くの時間がかかってしまうこともあります。

企画

土地を手に入れたら、どのような建物や施設を建てるのか企画します。立地の調査・情報収集を行い、その土地に求められる建物とは何なのか、具体的に練っていく仕事です。土地の歴史や周囲の環境を調べることもあります。

コンセプトや方向性がある程度決まったら、実際に設計図や外観デザインを作ります。設計士やデザイナーらと協力し、話し合いながら作成するのが一般的です。設計が完了したら、ゼネコンに工事を依頼します。

建築管理

建築管理とは、建物の品質や工事状況を管理する仕事です。設計書ができたら、実際の建築工事はゼネコンに委託します。そしてゼネコンが下請業者を集め、工事を進めるのが一般的です。そのため、基本的にはゼネコンが施工管理を行います。

とはいえ、デベロッパーは発注者側として契約どおりに進んでいるか工事状況を確認しなくてはいけません。ときには関係企業とコミュニケーションを取り、まとめ役を担うこともあります。このように工事現場全体の統括をし、管理していく仕事が建築管理です。

マーケティング

一般的にマーケティングとは、市場調査や販売戦略を練る仕事を指します。デベロッパーにおいても、開発事業における調査や戦略を練ることは欠かせません。

マンション開発においても、都心からの距離やエリアの特性、周辺環境といったさまざまな項目を調査します。そのうえで、どのようなマンションを建てるのか、またいくらで販売するかなどを決めなくてはいけません。

商業施設では、メインのターゲットを決めてテナントを募集します。このように売上を大きく左右する重要な仕事がマーケティングです。

法務・総務管理

法務は、事業の法律面を管理する仕事です。賃貸の契約においても、さまざまな法律に基づき行われます。不動産の売買でも同様です。デベロッパーが関わる大規模な案件では、さまざまな企業と契約を結びます。そういった書類の作成やチェックなどが法務の仕事です。

総務は、すべての事務を処理する仕事のことです。備品の発注から問い合わせの対応、取引先との接待など、幅広く業務を行います。

不動産販売

完成させた建物や施設を販売する仕事です。建物が完成しても、入居者がいなければ収益が入りません。デベロッパーの主な収入は、建物の家賃収益や販売収益です。不動産会社や管理会社らと協力し、開発地のコンセプトに合う企業や借主を探します。

住宅開発であれば、マーケティングの結果をもとに、販売計画を立案し、広告業務を行うこともあります。

まとめ

ゼネコンは大規模な工事をメインにする建設業者であるのに対し、デベロッパーは不動産物件を企画・販売する業者を指します。

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